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奇妙な実験室 micalie

オリジナリティ溢れる作風で、自分らしい作品を生み出している5名の表現者たち。自身のアイデンティティを反映したテーマへの想いは、価値観や生き方にも繋がっています。何を大切に考え、作品を作り出しているのか?その内なる思考に迫ります。
個性的なテーマに込めた、その想い「My Identity Through My Theme」。4人目は、小物や自然物を使い、思わず二度見してしまうような作品を撮影するアーティスト、micalieさんです。

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目次

プロフィール

micalie

神奈川県出身。趣味としてInstagramをスタートし、iPhoneやデジタルカメラで撮った作品を発信。小物や自然物を使い、思わず二度見してしまうような作品を目指して日々楽しく撮影を行う。
愛用カメラ:iPhone 13、Sony α7 II
愛用レンズ:Voigtländer NOKTON classic 35mm F1.4

My Identity Through My Theme

奇妙な実験室

「いつも撮影に使っている部屋を主役に。こちらは偶然の産物で、別の撮影用に用意していた鏡が窓からの光を受けて反対側の壁を照らしていました。それがとてもかっこよかったので急遽想像を始めました。鏡を追加してスポットライトのように壁に光の帯をつくり、その先に花を生けました。『クセが強めのいけばなクラブ』というイメージです」。

自分の空想や想像を写し出す作業はとても幸せな時間

「ハンプティダンプティを復活させる実験。テープで割れた卵を留めてみましたが、童謡の通り元には戻りませんでした。小道具と身体の掛け合わせは奇妙な雰囲気をつくりやすいのですが、小道具だけで違和感を出すのは難しかったです」。

実験室から飛び出して別の空間ごと奇妙な世界を撮ってみたい

「瓶の中に入りたくて、遠近法を使って『瓶詰め』されているように。私の写真の中でも奇妙度が高い写真だと思います。瓶から身体がはみ出してしまって、何度も撮り直しました」。

「【実験室】と名付けた私のInstagramには、花や影や手足などを実験材料にさまざまな作品を載せています。私の偏愛する不思議で奇妙な世界をつくるには、想像を膨らませたり、さまざまなアイテムで表現できるか試してみたりと、実験がつきもの。私の作品は、自分の身体をベースにして撮影することが多いですが、肌を植物の影で染めたり、透ける素材で身体を包んだりして、あれこれ楽しんでいます。楽しいということは、きっと私に合った自分らしい表現方法なのだろうと思っています」。

アンバランスの世界は私のこころを満たしてくれる

「丸まった布団からはみ出る足。単純な写真ですが妙に想像したくなる写真になったと思っています。人間の足だけどそうじゃないかもしれない、と疑わせたくて足の位置でモンスター感を演出」。

「写真に謎を残すのが好きです。顔の詳細を隠したり、違和感のある景色を写したり…。謎=よくわからないものをつくっていくことが自分っぽいなと思っています。綺麗なもの、かわいいもの、穏やかなものなどには安定した良さがありますが、そこに少しの毒っけを加えてバランスを崩したくなる時があります。アンバランスな世界が私のこころを満たしてくれるんです。こういった作風になったきっかけは、写真を始めて少し経った頃、水たまりを作品にしたこと。水たまりに映った景色の写真を逆さにしたんです。水面で歪んだ建物や空が、まるで奇妙な物語の舞台のように見えて印象ががらりと変わり、自分の視点から新しい世界を生み出せることに、楽しさを感じました。それから不思議で奇妙な世界を収集するように撮影対象を徐々に拡げていき、今に至ります。実験室と呼んでいる、小さな窓から光が入る狭い部屋で、ひとり空想や妄想の世界にひたり写真を撮っている時が、一番好きな時間です」。

「タイトルは『発症』。実験は成功なのか失敗なのか、顔からは色とりどりの花が咲きこぼれています。怖いけど綺麗、近づけないけど見ていたい、そんな印象を持ってもらえたら」。

GENIC vol.71【My World, My Essence 私の写真世界】
Edit:Izumi Hashimoto

GENIC vol.71

2024年7月号の特集は「私の写真世界」。
写真は生き様が反映されるアート。何を感じ、何を受け取って生きてきたのか。写真に投影されるのは、自分自身です。自分らしさとはいったい何なのか?その回答が見つかる「作品」特集。私の写真世界へようこそ。

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