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People, Trust, Color Bleg Bayraktar|連載「Eyes on the Street それぞれの視点が語る街角」第3回

街の中で、どこに目を留め、何を感じ取るのか。写真家たちがそれぞれの視点で拾い上げた断片や人々の姿は、街を見るまなざしに新しい角度を与えてくれます。知っているようで知らない街角、初めて見る街の表情。十人十色のストリートフォトグラフィーをお届けします。全9回の連載、第3回は世界中で大流行中のストリートスナップ動画を発信する、コンテンツクリエイターでフォトグラファーのBleg Bayraktarさんです。

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目次

プロフィール

Bleg Bayraktar

コンテンツクリエイター/フォトグラファー 2000年生まれ、ベルギー出身、韓国在住。2023年にファイナンスの学位を取得し、2024年は銀行に勤務。2025年に写真とコンテンツ制作へフルタイムで転向。2026年、初の写真集を制作、初の写真展を開催。
愛用カメラ:Sony α7C II、FUJIFILM X100VI
愛用レンズ:FE 24-50mm F2.8 G、Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA

People, Trust, Color

僕のライフスタイルは「人を撮ること」で成り立っている

「ソウルの店先に立っていた彼のタトゥーが目に入りました。彼の存在感と周囲の環境がバランスよく見えるよう、シンプルな構図に。外見の強さと落ち着いた雰囲気の対比が印象的でした」。

あえて内面的な部分から距離を置き、グラフィカルに切り取ることを意識している。

「彼女の髪型が強く印象に残り、その個性を際立たせたかった。渋谷スクランブル交差点の光を逆光として利用しました」。

「ソウルの道端でお菓子を食べていたところに声をかけました。年齢に関係なく、誰もが自分らしくファッションを楽しめるということを表現したかった1枚」。

「イスタンブールの路上で水を売っていた男性。彼の優しく無垢なまなざしを捉えたかった。表情がとても穏やかで誠実に感じられました」。

「このままデスクの前で人生を終えたくない」。本当にやりたいことに耳を傾けた

世界中を旅しながら、カメラ付き眼鏡で街角の人々に声をかけ、そのやり取りを動画で切り取る──そんな独自のスタイルがSNSで大きな共感を呼び、わずか1年で150万人以上のフォロワーを獲得したBlegさん。「ロックダウン中、アジアのストリート写真をよく眺めていました。生命力があり、物語に満ちていて、遠い世界のものなのに『自分もその世界を体験したい』と強く思ったのを覚えています。最初は祖父のフィルムカメラを借りて撮り始め、その後、母と兄から初めてのカメラをプレゼントしてもらい、写真が日常の一部になっていきました。僕はとてもシャイですが、人に対する深い好奇心があり、話したい、知りたい、撮りたいという気持ちがずっとありました。ストリート、ライブ、ポートレート、ウェディングなど様々な撮影を経験しましたが、完全にコミットするまでには時間がかかりました。転機は4年前。日本の一橋大学への交換留学中に初めてストリートポートレートに挑戦。勇気を出して声をかけて撮ったものの、精神的にとても疲れてしまい『もう二度とやらない』と思いました。それでベルギーに戻り、学位を取り、金融の仕事に就きましたが、どこか満たされない感覚が残っていて。“正しい道”を歩いているはずなのに、心が追いついていないような感覚。そしてある時、『このままデスクの前で人生を終えたくない』と気づき、本当にやりたいことに耳を傾けることにしました。2024年、2週間の休暇を使って日本に戻り、すべてをやり直す決意をしました。そこから旅も写真も本当のスタートを切ったのです。作品や経験をSNSで発信し始めると、8か月でフォロワーは100万人を超えました。現在の住まいは韓国のソウル。これまで訪れた国の中で、最も心地よく感じられた場所。独特のエネルギーとリズムがあり、自分の感性と深く響き合い、作品づくりの大きなインスピレーションになっています。ソウルに落ち着く前は、約9か月間旅をしていました。新しい場所・人・文化を知ることが好きで、写真はその好奇心を補完してくれる存在。旅をするときは、常に写真が目的の中心にあります。僕のライフスタイルは“人を撮ること”を中心に成り立っています」。

人は見た目こそ違っても、その奥にあるものは皆同じ

「彼女は、僕が写真に本気で向き合うと決めた頃に撮影した人物のひとり。ヘアスタイルが目を引き、街の中で自然と際立って見えました。彼女の強さと個性、存在感を際立たせつつ、背景の文脈も残すため、ミニマルな構図に」。

「音楽を聴きながら大阪の街を歩いていた彼。シャープなフェイスラインと落ち着いた雰囲気に惹かれて」。

「集中しているようで、声をかけるのをためらったが、話してみるととても優しい人でした。彼のスタイルに合う背景を選んでフレーミング」。

その場に自然に現れる“誰か”がフレームを完成させてくれる

「昼休みにベンチでくつろいでいた二人。肩の力が抜けていて、飾らない姿が魅力的でした」。

カメラは自分の内側と外の世界をつなぐ“橋”になり得る

「僕はとても内向的な性格ですが、Steve McCurry、Billy Dinh、Monaris、Pape Sanといった写真家たちに強く影響を受けました。彼らが写真を通して人とつながる姿を見て、カメラが自分の内側と外の世界をつなぐ“橋”になり得ると気づきました。最初は遠くから人を撮るだけでしたが、今はストリートポートレートが好きになりました。人に近づくことに以前よりずっと慣れたからです。僕の撮影スタイルは完全にスナップ。考えすぎないほうがうまくいきます。迷っていると、瞬間はすぐに消えてしまう。声をかける前はいつも緊張しますが、相手が心を開いてくれた瞬間、緊張は消えます。そこからは直感的で、流れに身を任せるような感覚になり、その状態で撮った写真が一番強いと感じることが多いです。被写体は性別や年齢などのカテゴリーではなく、『その街で生きる日常の人々』です。その人の存在感、スタイル、帽子やタトゥー、髪型、あるいはその場の状況など、心に触れた瞬間を基準にしています。人は見た目こそ違っても、その奥にあるものは皆同じだと感じています。ストリートポートレートを始め、この一年で学んだ大切なことはとてもシンプルで“外に出ること”。考えすぎても、待っていても写真は生まれないから。ちゃんと外に出て、強い自然光や良い構図を見つけたときは、歩く速度を落として観察します。その場に自然に現れる“誰か”がフレームを完成させてくれる感覚です。被写体とその場の空気が自然に溶け合っているような、そこにいることが必然に感じられる瞬間が好きです。見る人には日常の中にある美しさを感じてほしいです。人や瞬間の中に、誰もが見落としがちな美しさがあるからです。私にとってのストリートフォトグラフィーやストリートポートレートとは、『自分の目で見た世界を、そのまま世界に見せてあげるための方法』だと思っています。今後も世界中を旅し、すべての国で人々を撮りたいです」。

STREET PHOTOGRAPHY Q&A

Q. ストリートフォトに必要なマインドは?

A. 好奇心、自発性、良い意図

Q. あなたのストリートフォトに欠かせない要素とは?

A. 人、信頼、色

Q. 撮影時に大切にしているルールは?

A. 敬意、直感に従う、撮った後もその場に留まること

GENIC vol.78【Eyes on the Street それぞれの視点が語る街角】
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.78

2026年4月号のテーマは「Street Photography 名もなき瞬間」
街にある無数の光景の中で、理由もなく心をつかまれる一瞬がある。
カメラを向けると、世界が少しだけ深く息をする気がして、そっとその瞬間をすくいあげる。
誰かの日常、街の呼吸。
そこには、題名のない小さな物語が潜んでいる。
私たちはまた今日も、名もなき瞬間に出会いに、街に出る。
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