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撮って、書いて 小林昂祐/写真家 執筆家

写真家・フォトグラファーという職業だけでなく、+αの肩書きを持つパラレルワーカー。写真以外の仕事に携わる理由、そしてそれぞれの仕事がもたらす相乗効果とはいったいどんなものなのか。二足の草鞋を履く4名に、自分らしく生き抜くためのヒントを教えていただきました。
「パラレルワーカーという生き方」2人目は、写真家/執筆家の小林昂祐さんです。

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目次

プロフィール

小林昂祐

1985年生まれ、東京都出身。カメラ歴は約20年。10年分の旅と山をまとめた書籍を刊行予定。
愛用カメラ:LEICA M10-P、Sony α9 II、makina 67、RICOH GR1s
愛用レンズ:Summicron 50mm F2 2nd、LEICA Noctilux-M f1.2/50mm

What’s Your Job?

<Job1>写真家

国内外の旅先で見つけた景色を撮影

18歳頃、旅が好きでカメラを持つようになったのが写真を始めたきっかけです。20代前半、好きだった雑誌に影響されて、旅と写真という仕事があることを知りました。国内外ともに山など自然のある場所に赴くことが多いです。

<Job2>執筆家

旅や自然を中心とした媒体に寄稿

22歳、旅雑誌「TRANSIT」編集部に勤め、26歳頃から紀行文やルポを掲載。29歳で独立し、自主企画媒体の制作や企業のコンテンツ制作をスタート。著書に西表島を特集した「NatureBoy」、おやつの世界を巡る「OYATTU magazine」などがあります。また雑誌「BRUTUS」「FRaU」や、ウェブメディア、企業のオウンドメディアなどにも寄稿。

撮って、書いて

「モンゴル北東部のツァータン族の村にて。タイガの大地に生息するトナカイとともに遊牧生活をする家族のゲルに滞在。動物と暮らす民族の取材は継続的に行いたいと思い、数回この村を訪れています。写真学校のパンフレットにコラムとともに掲載されました」。

「『TRANSIT』43号ネパール特集で辺境・ドルポを旅したときの一枚。山奥の村の僧院で出会った尼さん。冬を迎えるにあたり、村人たちは寒さから逃れるために里へと降りるなか、僧院を守るために残るのだと話してくれました」。

伝える手段として写真と文章があった

「ヒマラヤのなかでも最も美しい谷とされるランタン渓谷。現地の村を転々としながら山奥へと分け入り、1950年代にこの地を冒険したH.W.ティルマンの軌跡を辿った3週間の旅でした」。

「雑誌やWEB媒体を中心に、国内外の紀行やルポ、インタビューなどの記事制作をしています。学生時代から旅が好きで、出掛けた先で写真を撮り文章を書いているうちに、気付けば仕事になっていたように思います。『カメラが好き』『撮影がしたい』というよりは、旅をして伝えたいことを見つけ、伝える手段として写真と文章があった、そんな感じです。よく『ひとりで両方やるの大変じゃない?』と聞かれることがあります。カメラマンとライターで作る記事はチームで作り上げていく楽しさがありますが、ひとりで取材から撮影、アウトプットまでを行う方が、出来上がったものに整合性を持たせやすいのかなと思っています。取材先が遠方になることも多いので、結果ひとりということも否めませんが」。

自分が感じ、伝えたいことをダイレクトに届けられるのがメリット

「アメリカのヨセミテにて。クライミングカルチャーを象徴するハーフドームを撮りました。有名かつアイコニックなロケーションだったので、メジャーなビューポイントから離れた場所で夜間に撮影。どちらも(ランタン渓谷も)アウトドアブランド・カリマーの撮影を兼ねて訪れました」。

「取材時に大切にしているのは、すぐに撮影せず、先にインプットの時間を設けること。伝えたいことが明確になってから、どのような撮影をするか考えるようにしています。写真の説明となる文章、またその逆にならないよう、それぞれが単体でも成立するようなものを心がけています」。
今後やってみたいことは?「デジタルデバイスは、身近で広まりやすい一方、見る環境が人によって異なるので、写真のいいところを伝えきれていないと感じています。仕上げまで手が届く紙媒体が理想的。作品集、書籍的なものを作りたいと思っています」。

GENIC vol.70【パラレルワーカーという生き方】
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.70

2024年4月号の特集は「撮るという仕事」。
写真を愛するすべての人に知ってほしい、撮るという仕事の真実。写真で生きることを選んだプロフェッショナルたちは、どんな道を歩き今に辿りついたのか?どんな喜びやプレッシャーがあるのか?写真の見方が必ず変わる特集です。

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