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【DEAR MY PEOPLE 愛する人を撮る #7】スギノ

「大切な人をカメラに収めたい」。写真を愛するクリエイターにとって、それはとても自然な感情。かけがえのない時間を切り取りたい、愛しい気持ちを写真で表現したい、その人が生きた証を残したい…。
「愛する人」をとらえたクリエイターたちの写真には、それぞれの深い愛が込められています。
#7は、祖父である89歳の広信さんを撮る、会社員のスギノさんです。

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スギノ

会社員 家に引きこもりがちな祖父とのコミュニケーションと祖父の運動を兼ねて、2年前に自身の洋服を祖父に着せて撮影をスタート。祖父・広信の名でSNSに投稿し、話題を集めている。
愛用カメラ:iPhoneX

広信・89歳のファッションショー

祖父を撮ることは、自分と祖父をつなぐコミュニケーションツール

祖父の生きるモチベーションを保つために、撮影をスタート

孫であるスギノさんの服をスタイリッシュに着こなす89歳の祖父・広信さんを、自宅前で撮影しているスギノさん。
「祖母が他界し、生きるモチベーションが目に見えて下がっていく祖父を見て、何か運動を兼ねた楽しいことをできないかと思ったのが撮影を始めたきっかけです。初めて私の服を祖父が着用した時、予想以上におしゃれに着こなしたため、自分の写真フォルダだけにとどめるのはもったいない! と、SNSへの投稿を始めました。予想以上に大きな反響があり、医療や福祉関係の方々、家族を思い出すきっかけになったという方、学生さんからの論文や研究のヒントになったなど、たくさんコメントを頂きました。誰かのプラスになっていると感じ、祖父の魅力が国内外問わずいろいろな人に伝わっていることをうれしく思っています」。

「祖父を撮ることは、2人をつなぐコミュニケーションツールです。私にとってじいちゃんは、友達のような存在。私が実家に帰るとまず祖父の顔をこねくりまわし、そのあと仕返しをされ…最後はあられを食べながら一緒にテレビを見ます。祖父を撮る時に大切にしているのは、カッコいいと可愛いのバランス、そして祖父自身のやる気。これからも、このままのスタイルで撮り続けたいと思っています」。

「撮影の服は、すべて私の普段着。実家に帰る際、ワンコーデを持ち込んで祖父に着用してもらいます。袖が余ったり、裾を擦ったり、基本的にオーバーサイズですが、これはこれで”味”だと解釈しています(笑)。アカウントを見た時の統一感と、一目で広信とわかってもらうために、撮影場所はすべて祖父の自宅前」。

「祖父のカッコいい表情、可愛い表情、着こなしや洋服のディテール、手に持った実家にあるワケのわからない小物とのアンバランス感など、スワイプするごとにワクワクしてもらうことを目指しています」。

「恥ずかしがり屋の祖父自身も『服のサイズが大きすぎる』など、やいのやいの言いながらも楽しんでいるようです。撮影時の祖父へのオーダーは、立ち位置とポケットへの手の入れ方くらい。あとは褒めて、じいちゃんの照れた表情を撮ります」。

広信 Instagram

GENIC VOL.59 【DEAR MY PEOPLE 愛する人を撮る】
Edit: Satoko Takeda

GENIC VOL.59

特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。

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