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見えるもの見えないもの/古屋呂敏のFocal Length Vol.8

古屋呂敏<連載コラム>第3月曜日更新

その瞬間を永遠にしたいと願いながら、シャッターを切る。
心の揺れるままに、心の色のままに。
自分だけに見えていたその一瞬の世界は、
写真に残すことでさらに愛しく想えるものになる。
だから僕は、きっと永遠に写真を撮り続ける。

───俳優、カメラマンとして活躍する古屋呂敏の「Focal Length」。
連載を通して、写真だけではなく、
人との距離感、 生きるスタンスなど
さまざまな「焦点距離」をお届けします。
【撮影&テキスト:古屋呂敏 撮影機材:Nikon Z f】

  • 作成日:

Focal Length
今回のテーマは「見えるもの見えないもの」。

フォトグラファーとしてたくさんの写真を撮影していく中で、写真を始めて良かったと思うことは、色々な出会いにより、自分の知らない世界に触れられること。

今回、撮影させていただいたのは秋元真夏さん。

Z f + AI Nikkor 50mm f/1.2S( + マウントアダプター FTZ II)

Z f + AI Nikkor 50mm f/1.2S( + マウントアダプター FTZ II)

英語のことわざで「Don't judge a book by its cover」、表紙で本の良し悪しを判断してはならぬ、というものがある。

本によっては表紙のイメージと内容が違うことが多々あるが、ポートレート写真はある種、その人の表紙であり、その人がどんな人物なのか、最初に入ってくる情報。
その人の経験や、時間、タイミングによってその表紙はどんどん更新されていく。

しかしフォトグラファーとして撮影する瞬間瞬間では、その現場の空気感や本人が出す雰囲気、先ほどの話でいう本の中身を体感することができる。

Z f + AI Nikkor 50mm f/1.2S( + マウントアダプター FTZ II)
ディープトーンモノクローム

Z f + Nikon NIKKOR-H Auto 85mm F1.8( + マウントアダプター FTZ II)
ディープトーンモノクローム

柔らかい印象とは異なり、カメラを向けると目の奥の強さを感じる。
それは、たくさんの責任を背負ってきた目。
この業界では常に競争という環境下に置かれ、自分のことで必死になってしまう場合が多い。
その中で、多くの仲間と同じ方向に走ることがどれほど大変で難しいか。
当事者にしかわからない経験。

彼女は長年自分のことだけでなく、共に戦う仲間のことも背負ってきた。
そんな彼女が一人の旅をスタートさせた。

そんな「今」の彼女だから生まれる表情。

Z f + AI Nikkor 50mm f/1.2S( + マウントアダプター FTZ II)

Z f + AI Nikkor 50mm f/1.2S( + マウントアダプター FTZ II)

Z f + AI Nikkor 50mm f/1.2S( + マウントアダプター FTZ II)

彼女の柔らかい印象とは違い、撮影中に話す言葉にブレはない。
一人の旅を、一歩一歩しっかりと確かめて、むしろ強く歩いていこうとする想いを感じる。

多くの人ができない経験を、景色を彼女は見てきた。

カメラを通じて、彼女の目を通して、彼女が見てきた景色を少しでも捉えようと
一瞬一瞬をガムシャラに追いかける。

Z f + AI Nikkor 50mm f/1.2S( + マウントアダプター FTZ II)
ディープトーンモノクローム

撮影終わりに、たくさんの写真を撮らせていただいてありがとうございますと伝えると、彼女は軽く笑った。

あ、、、
まなったんだ。

Z f + Nikon NIKKOR-H Auto 85mm F1.8( + マウントアダプター FTZ II)

Thank you Manatsu Akimoto

秋元真夏 Instagram
秋元真夏 X

Stylist:akiyoshi morita
HairMake:Haiji

古屋呂敏

俳優・フォトグラファー 1990年、京都生まれ滋賀/ハワイ育ち。カメラ歴は7年。Nikon Z fを愛用。父はハワイ島出身の日系アメリカ人、母は日本人。俳優のみならず、カメラマン、映像クリエイターROBIN FURUYAとしても活動。CHANEL、FENDI、ISETAN、SK-IIなどの映像制作も手掛ける。2022年には初の写真展「reflection(リフレクション)」、2023年9月には第2回写真展「Love Wind」を開催。

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