瀧本幹也
写真家 1974年生まれ。代表作の『BAUHAUS DESSAU ∴ MIKIYA TAKIMOTO』では、現代デザインの基となったドイツの造形学校バウハウス・デッサウを構成的にとらえ、抽象絵画のような独特な視点で表現した。また『LAND SPACE』では長きにわたりこの大地に育まれてきた自然の壮大さと、人類の手によって生み出された先端文明である宇宙産業の造形美との相似形に着目し「LAND」「SPACE」という一見対極に見えるふたつの視点から、なぜか地球を俯瞰しているかのごとき感覚を与えた。写真と映像で培った豊富な経験と表現者としての視点を見いだされ、是枝裕和監督の映画『そして父になる』『海街diary』『三度目の殺人』では撮影監督を務め、独自の映像世界をつくり出した。主な展覧会に「CHAOS」(Galerie Clémentine de la Féronnière、パリ、2018)、「CHAOS 2020」(妙満寺、京都市、2020)、「PRIÈRE」(大阪市中央公会堂、大阪、2021)、「隈研吾展」(東京国立近代美術館、東京、2021)があり、『CHAOS 2023』(OGATA Paris、パリ、2023)および、『MONOSPINAL』(MYD Gallery、東京、2023)にて新作を発表。
山口誠
建築家 1972年千葉県生まれ。東京芸術大学大学院建築専攻修士課程修了。2001年に山口誠建築設計事務所、2007年に山口誠デザイン設立。国内外でプロジェクトを手がけ、高い作品性は世界的な評価を得ている。MYD Gallery主催。「借景 - 隣り合うマチエール」をテーマに公文健太郎氏と旅を続けている。
建築家と写真家の関わりによって再構築された、もう⼀つの「MONOSPINAL」
建築家 ⼭⼝誠の設計によって東京 浅草橋に建築された「MONOSPINAL(モノスパイナル)」。外観を9層の斜壁に囲まれ、中の様⼦を窺い知ることはできません。空へと向かって広がる逆勾配型の斜壁は、⾼架線路や雑居ビルが密集する浅草橋という街において、周囲からの⾳、光、⾵をコントロールし、建築に⾼い⾃律性をもたらしています。
この容易には説明し難い建築を⾒たとき、⾃らの写真で捉えてみたいという衝動に駆られたという瀧本幹也は、MONOSPINALが持つ幾何学的な線と⾯に着⽬。それを⼿がかりとして、4×5インチフィルムの⼤判カメラで切り取っていくことを試みました。本展では、そこで⽣まれた10点の写真作品が掲出されています。
“部分”にフォーカスしたこれらの作品は、情報が削ぎ落とされ、無機的に描かれた絵画のようですが、よく⾒ると、撮影時に緻密に計算された光の影響で斜壁の質感が残されています。それが“⽣きている建築であること”を教えてくれるようです。
建築を撮るという⾏為は、建築家が⼆次元から三次元に起こしたものを、再び⼆次元に変換する作業だと瀧本幹也は語る。そのとき、写真家の建築への眼差しが表れる。本展を訪れた⼈は、建築家と写真家の関わりによって再構築されたもう⼀つのMONOSPINALに出会うことになるだろう。
写真展「MONOSPINAL」情報
開催日時
2023年12月9日(土)~2024年5月25日(土)10:00~19:00
※予約制。土曜日12:00~17:00のみ予約不要
休廊日: 日曜、祝日
入場料
無料
会場
MYD Gallery
〒106-0047 東京都港区南麻布2-8-17鳥海ビル1F
行き方・アクセス
<電車>
東京メトロ南北線、都営地下鉄三田線「白金高輪駅」4番出口から徒歩で7分
東京メトロ南北線、都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」1番出口から徒歩で9分
- 【お問い合わせ先】
- MYD Gallery
- www.mydgallery.jp