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【街の被写体、それぞれの視点:14】高橋直哉<グラフィカルに切り取る「光」と「影」>

光、人、風、感情。その日、その瞬間にだけ作り出される、偶然性を多分に秘めた路上の光景を、自分なりのテーマで切り取るフォトグラファーたちがいます。どこか遠くに出かけなくても、撮りたくなるシーンはすぐそこにある。
そんな気づきをくれる、多彩なストリートフォトグラフィーをご覧ください。街が紡ぐ物語の一部です。
14人目は、写真と真摯に向き合いながら自分らしさを追求するフォトグラファー、高橋直哉さんです。

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高橋直哉

フォトグラファー 都市風景の撮影を経て、2018年頃からストリートフォトを軸に独自の作品づくりに打ち込む。雑誌への作品提供やイベント出演の他、近年は海外の写真展参加も精力的に行っている。
愛用カメラ:FUJIFILM X100V/X-Pro3、RICOH GR III/GR IIIx
愛用レンズ:FUJIFILM XF56mmF1.2 R

グラフィカルに切り取る「光」と「影」

撮影スタイルは逃げないことがモットー

「日本橋で撮影したこの一枚は、仕事前の7時か8時頃に撮影しました。この場所は時間を選べば光と影が綺麗そうだなと予想していて、狙って撮りに行っています。道を歩く人は少なかったのですが、小さな光に通行人が入る瞬間を撮りました」。

「陰影を写す写真は、モノクロームの作品も多いですよね。でも僕の場合、実は最初に目に飛び込んでくるのは"色"なんです。被写体の色に惹かれて、そこから光と影を写しています」。
そんな高橋さんの作品には、インスタグラムで「Great composition!」といった構図に対する多くの賞賛コメントが。
「意識的ではないですが、影を余白と捉えて、光で起こる偶然の瞬間を、大胆な構図で切り取るようにしています。瞬間的に撮ることももちろんありますが、光と影、そして色という条件が整ったと思ったら、そこで起こる"いい偶然"を多少待つこともあります」。

影を余白に、光で起こるドラマはいっそう引き立つ

「大阪で撮影しました。2時間くらい前にこの場所を見つけて撮っていたけれど、もう少し違う写真が撮れそうな予感がありました。時間を置いてもう一度行ってみて、撮れた一枚です」。

色に惹かれる、色を生かす。それが自分らしさにつながる

「汐留にある、撮影スポットとしても知られる場所。僕は陸橋の上から撮っているんですけど、緑の色と光が綺麗だと感じました」。

「被写体の男性も、僕自身も歩いている状態で瞬間的に撮った一枚です。2階の古着屋からこの男性が降りてくるのが見えていて、青とオレンジの電飾の前で撮ったらよさそうと瞬間的に思いました」。

「撮影地は銀座。光と影もそうなのですが、この写真は左のマネキンと右の人物という対比にも惹かれていました。マネキンの赤も好み。人の往来が多かったので、タイミングを狙って撮った感じです」。

写真的であるより、グラフィックのような印象であることもまた、高橋さんならでは。
「僕の写真を見た人から、『ポスターみたい』って言われたこともありました。撮影地は東京がメイン。東京の街は印象的で大きな建造物にあふれ、そこでの人の営みは小さく、双方は対極に位置するもののようにも感じられて面白いです。最近は肖像権についてセンシティブですが、撮影スタイルは"逃げないこと"がモットー。カメラを構えて、撮っている姿はあえて見せています。避けたり、嫌な顔をされたりしたら撮りません。思い描いたものが撮れた時は本当に嬉しいと感じますね」。

高橋直哉(@takahashi_naoya_candid) Instagram
高橋直哉(@takahashi_naoya) Instagram
高橋直哉 Twitter

GENIC vol.63 【街の被写体、それぞれの視点】
Edit:Chikako Kawamoto

GENIC vol.63

GENIC7月号のテーマは「Street Photography」。
ただの一瞬だって同じシーンはやってこない。切り取るのは瞬間の物語。人々の息吹を感じる雑踏、昨日の余韻が薫る路地、光と影が落としたアート、行き交う人が生み出すドラマ…。想像力を掻き立てるストリートフォトグラフィーと、撮り手の想いをお届けします。

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