tomosaki
フリーランスフォトグラファー 2000年1月19日、福井県福井市生まれ。2020年、コロナをきっかけにカメラを本格的に始める。地元福井を背景に青春や物語を感じる写真をSNSに投稿。2022年『あの頃にみた青は、』をKADOKAWAより出版。 2023年に看護師を辞め、フリーランスフォトグラファーへ転身。福井県と関東を拠点に、地方創生やウェディング撮影など幅広く活動している。
【BIOGRAPHY】
<2000>
福井県福井市で誕生
<2018>
看護師に憧れ、看護専門学校に入学
友達との思い出をきれいに残そうと初めてカメラ(Nikon D5600)を購入
<2020>
コロナの自粛期間中にAkine Cocoさんの写真に出会い感銘を受け、本格的にカメラを始める
「東京カメラ部10選U-22フォトコンテスト」入選
Nikon Z 5を購入
<2021>
友達の依頼をきっかけにウェディング撮影を始める
<2022>
KADOKAWAより初の写真集『あの頃にみた青は、 tomosaki作品集』を出版
モッシュブックスより『L&SCAPE 撮りたい世界が地元(ここ)にある』(Akine Coco共著)を出版
NikonZ 8を購入
<2023>
看護師として勤めていた病院を退職
フリーランスフォトグラファーへ転身
私とカメラの関係の始まり
高校生の頃から撮ることに興味を持ち、コロナ禍より、本格的に写真を始める
写真を本格的に始めようと思ったきっかけはコロナ禍です。学校が休校となり、暇を持て余していたのでSNSに張り付く毎日を送っていました。そんな時にふとタイムラインに流れてきたのがAkine Cocoさんの写真でした。Akineさんは同じ福井県で活動されているフォトグラファーさんで、タイムラインに流れてきた写真に写っていた場所は偶然にも近所。「こんな何もない地元で、こんな素敵な写真が撮れるの!?」と驚いたのを今でも覚えています。それまでは友達と旅行に行くときにしかカメラを使っていなかったので、机の引き出しの奥に入れっぱなしでしたが、そこから毎日のように写真を撮るようになり、今に至ります。
ただ、高校生の頃から友達のカメラを借りて撮ることもありましたし、スマホでも景色を撮影していたので、写真を撮ることはもともと大好きだったんだなと思います。
父のすすめもあり、Nikon D5600をバイト代で購入
最初にカメラを購入したのは2018年、看護学生になったばかりの頃。友達との思い出をきれいに残したいと思い、一眼レフを選びました。それが私のファーストカメラNikon D5600です。それまでにカメラ遍歴はないので、完全に初恋の相手です(笑)。父と一緒にカメラを買いに家電量販店に行ったときに出会いました。お迎えした決め手はなんといっても見た目。少し丸みを帯びた輪郭、しかしシャープさも持ち合わせていて、かっこかわいい。まさに一目惚れでした。
それからというもの、友達と県外に出かけるときはずっと一緒。軽くて持ち運びしやすく、たくさんの景色を”彼”と共に見ることができました。バイト代を貯めて初めて自分で買ったカメラなので、今でも大事に保管しています。本当にありがとうD5600!
Nikonを選んだのは、父のすすめもありました。実は祖父が熱狂的なNikonファンだったようです。「だったよう」と過去形なのは、祖父は私が生まれる前に亡くなったからです。20歳の頃、家を掃除していてNikonのフィルムカメラが3台ほど出てきたときに、母親から「じいちゃん、Nikonのカメラが大好きだったから」と聞きました。まさか趣味が同じで、カメラメーカーまで同じだったなんて。もちろん祖父には会ったことも、しゃべったこともありませんが、「Nikonのカメラ、いいよな」って会話できたような気がしています。
2020年、Z シリーズと出会って
Z 7、Z 7IIに触れ、肉眼で見る以上の美しさに衝撃を受ける
2020年「東京カメラ部10選U-22フォトコンテスト」に応募してみようと思ったのは、友達がそのハッシュタグをつけて写真を投稿していて、何のタグだろうと調べたのがきっかけです。「自分はコンテストで入賞できるほどの実力があるか」、「自分はどれくらいの位置にいるんだろう」といわば興味本位で、力試しみたいな感覚でした。それがなんと初代東京カメラ部10選U-22のひとりに選んでいただき、まさか自分にそんな力があったのかと本当に驚きでした。写真を本格的に始めた当初は、コロナが蔓延していた時期で、「僕と被写体」だけで全てが完結していたので、簡潔に言うとカメラや写真を通じた友達がまったくいませんでした。なので比較対象もいなくて、孤独にただ黙々と作品撮りをしていた私にとって、入賞は素直にうれしかったです。そこから「撮る」ことに対して自信がつき、継続するモチベーションにも繋がったと思います。その入賞特典としてニコン製品の貸出しモニターがあったわけですが、実は応募前はあまり意識していなかったんですよね。それで僕の人生が変わることになるとは、知る由もありませんでした。
ニコン製品の貸出しモニターで初めてZシリーズと出会いました。Z 7とZ 7IIを試させていただいたのですが、「待って。もう戻れん」。まずそう思いました(笑)。ファインダーを覗いてみて感じた、EVFの圧倒的な美しさ。肉眼で見るより美しいのでは?と思うほどで、ついついファインダーを覗きたくなる。Nikon D5600も素敵なカメラですが、やはりZ 7、Z 7IIは全てが上位互換で、AFの速さや描写力は言うまでもなく素晴らしく、この機材を返したくない!と強く思いました(笑)。
その後、いろいろなZに触れさせていただいていますが、私の「撮る」人生に大きな影響を与えてくれた機種と考えると、やはり私にとっての初めてのZである、Z 7とZ 7IIなんですよね。シンプルに「いい機材を使えば、いい写真が撮れる」ということを実感しました!このカメラで写すとどういう世界が広がるんだろうと、好奇心が無限に湧いてきて、創作意欲も爆発。実際、Z 7IIで少女と猫を撮影したとき、逆光でピント合わせが困難な状況でしたが、動物AFを使うとたちまち合わせることができました。あのときの感動は今でも忘れられないです。猫なんて気まぐれなので一枚で収めるには運が必要ですが、一瞬を逃さない機材の力で、いい写真を残せたことに感激しました。
もちろんZ 7の購入を検討したのですが、当時私はまだ学生。費用的な面でZ 5を選択しましたが、常にカメラを持ち歩く私にとって、Z 5のサイズ感や軽さは生活にフィットしており、大変気に入っています。いつかZ 7をお迎えしたい、それまでにZシリーズを使い慣れ親しんでおきたい。今すぐZを自分の手元に置きたいと逸る気持ちで、これはもうZ 5を購入するしかないと。Z 7を返却後、すぐにZ 5を購入したのを覚えています(笑)。
Z 5を購入し、優しく温もりのある描写に夢中に
Z 5はボディの見た目と軽量さが気に入っています。私はあまり手が大きくないので、小さめのグリップはかなりフィットしましたし、どこに連れて行っても苦にならない重さなので、すぐに私の相棒に。やはりZ 7やZ 7IIと比べるとシャープな美しさは減少してしまいますが、その分、優しく、色濃く描写してくれる。温もりをそのまま写してくれるカメラだなと思っています。
ダブルスロットなので、連日撮影をしてもデータがいっぱいにならず、容量を気にせず撮影できるので、かなりストレスフリーに。
また、フォーカスポイントが広いので日中の撮影であれば、難なく撮影できます。被写体をいろいろなところに配置する私にとって、どこにでもピントを合わせてくれるのは非常に魅力的。画作りをしやすくなって、作品の幅が大きく広がりました。調べてみると画面の約90%をカバーしているとのこと。頭にあるイメージをそのまま、写真に落とし込むことへのハードルが下がったなと感じました。
とにかくどんなときもいつでも、Z 5を携帯。仕事の帰り道は思ってもいないタイミングで入道雲や夕焼けに出会うことが多かったので、撮り逃したくないと思い、仕事に行く際にもいつもリュックの中に忍ばせていました。今思えば、ご飯を食べるときもそばに置いていましたね。体の一部になっているくらい、ずっと一緒でした。
写真集の出版を機に写真家(フォトグラファー)として始動
Z 5を愛用し始めた頃は地元福井で看護師の仕事をしながら、休日フォトグラファーをしていました。両立は大変だねと言われることが多かったのですが、僕的にはむしろ逆で、休日の写真活動が生きがいになっていたからこそ、看護師の仕事を頑張れていたと思っています。
昔も今と変わらず、人を撮っていて、SNSに作品を投稿していました。たくさんの方々にフォローしていただけたのはもちろん、純粋に見ていただける人のリアクションや言葉がうれしかったですね。「撮る」ことが看護師の仕事の原動力になっていたので、大袈裟かもしれませんが、撮ることは生きることでした。
ある日突然、出版社の方からDMをいただき、写真集のお話をいただいたときは、驚きのほうが大きかったです。「本当かな?」となかなか信じられなかった。でもうれしくて、うれしくて仕方がありませんでした。その頃はSNSで写真を投稿する以外のことはしていなかったので、自分の作品がモノになるうれしさ、一冊として残せることのうれしさ、いろんなうれしさがありました。SNSというものは、いつなくなるかわかりません。明日すぐに消えてしまうかもしれない。自分の作品の行き場がなくなってしまう怖さがあります。でも写真集になるということは、言ってしまえば自分が死んでも形として残るということ。それを出版社に制作していただけるなんて夢のようでした。
2022年8月に発売になった『あの頃にみた青は、 tomosaki作品集』(KADOKAWA)の作品はD5600とZ 5で撮った写真がほとんどです。日中、夕方、夜の3部構成になっているのですが、夜の作品はほぼZ 5で撮影したもの。と言うのも、Zシリーズを使うまでは暗所にすごく苦手意識を持っており、全然撮影していませんでした。Zの暗所AFという強い味方を得てから、表現の幅が広がり、作品のバリエーションを増やせたことが、写真集の出版にも繋がったんじゃないかなと思っています。
同年10月に、Akine Cocoさんと『L&SCAPE 撮りたい世界が地元(ここ)にある』も出させていただきましたが、こちらもほぼD5600とZ 5で撮っています。写真集を出させていただいてからは、いろいろな方々にお声かけいただけるようになり、本当にありがたい気持ちでいっぱいです。
フォトグラファーと名乗るようになったのも、やはり写真集の出版がきっかけかもしれません。私は自分のことをカメラマンとは呼ばないようにしていて、それはカメラマンというのは依頼者のニーズに100%応えられる写真を撮れる人だなと思うから。一方、私は自分の作風で誰かに価値を見出していただく存在なので、フォトグラファー(写真家)なのかなと。そういう意味で、自分の写真集を出版させていただいたときが節目だなと思っていまして、そのタイミングからそう名乗るようにしました。
Z 8を購入し、さらに表現の幅が広がる
2022年、Z 8を購入したのは、動画を本格的に始めたいと思ったからです。別所隆弘さんのインスタライブを拝見してHEIF形式で撮影が可能と知り、手ぶれ補正もピカイチなので選択しました。今まで動画については機材のスペックを理由に避けていたところがありましたが、退路を断つという意味もあってZ 8をお迎えすることに。
実際に使ってみて感じたのは、暗所AFがさらに速くなって、性能が格段に上がったということ。暗所でも手持ちで写真を容易に撮ることができ、表現できる幅がさらに広がったなと思いました。手ぶれ補正が最大6段階あるので、三脚がないときにでも撮影ができるのは感動ものです。個人的にとても気に入っているのが美肌機能。今まではレタッチで肌補正をすることが多かったですが、シャッターを切るだけで一段と肌をきれいに写してくれるので、作業効率が跳ね上がりました。
Z 8が好きな一番の理由は、使い勝手の良さ。4軸チルトなので、ローアングル、ハイアングル全てにおいて撮影がしやすいこと。インスタグラムの影響で縦写真を撮ることが多くなっている今、縦位置かつローアングルでも容易に撮影ができるのは大きな魅力です。細部にまでこだわりを感じるボタンの配置も気に入っています。レビューボタンが右側についているので、片手で撮影して、片手で写真の確認ができる。私は写真を撮る上で撮りやすさというのは非常に重要だと思っているので、どんなニーズにも応えてくれるカメラだなとつくづく思います。
CFexpressカード(TypeB) or XQDカードとSDカードのダブルスロット搭載なので容量はもちろん、処理速度が速いことも大変助かっていますね。連写をしてもすぐに次のシャッターが切れるのでノーストレス。また、Z 5より深いグリップは安定感と安心感を与えてくれました。より手に馴染んで、使いやすいです。
Z 8は作品撮りでも使用しますが、ウェディングや観光商材の撮影など仕事で主に活用。絶対にミスが許されない現場には必ず持って行くようにしています。やはりZ 5よりも描写力に優れているので、このカメラさえあればという、絶対的な安心感は、仕事中の心に多大なゆとりを与えてくれます。実際、画角の調整や表情を引き出すことに力を注げるようになって、試行回数も減り、より撮影に集中できるようなりました。
Zが作風に寄り添い、仕事の幅も広げてくれた
Z 5とZ 8の2台持ちで、シーンに応じて使い分け
本格的なウェディング写真や、暗所での撮影を行うようになったのは、Zを使い始めてからです。Z 5で初めて撮った写真は、雪と恐竜のモニュメントの写真。やはり上位機種を買ったからには、今まで写せなかったものをまず撮りたい!と思い、福井駅まで一人で車を走らせました。雪が降っていたのでものすごく寒くて、ここに長時間いるのは体力的にまずいと思っていた矢先、一発で理想の写真が撮れたときには、「こりゃたまげた」と思いましたね(笑)。
現在は基本的に、仕事や作品撮りではZ 8を使用しています。つい最近もZ 8でウェディング撮影を行ったのですが、感動の嵐でした。なんといっても連写。この写真はスタジオで撮影したものですが、撮れた瞬間、「やばい」と思ったくらい。新婦の頬の近くにちょうど紙吹雪のハート形がしっかり写っているのを見て、「うわあ、Z 8を買ってよかったー」と心底思いました(笑)。
ただ、仕事でもシャープさがいらない逆光での撮影ではZ 5を使うこともあります。また、お散歩のときはZ 5の手軽さが重宝しているので、2台持ちはやめられないです。Z 8は本気のときに、Z 5は遊び心を足したいときに使う、という感覚かもしれません。Zシリーズは撮りたい被写体やシーンに応じて、使い分けられるラインアップの豊富さも大きな魅力だなと思います。Nikonさんに感謝です。
私にとって大きなテーマである「青春」の作品を作る上でも、Zとの相性の良さを感じています。思い出の中にある風景を写真に残したいという想いがありますが、Z 5は独特の柔らかな輪郭を描き、シャープが強く出すぎず、記憶の中にある優しさや温もりを写してくれます。“思い出補正”とでも言いましょうか。それを実現してくれる。一方、Z 8だとシャープにはっきりと写し出してくれる印象。輪郭がくっきり浮き上がるので、見せたいものを強調でき、ダイナミックな作品に仕上がります。
Z 5もZ 8も好みの色味に落とし込みやすいということは、非常に感じていますね。Zはなんといってもダイナミックレンジが広いです。実はこの写真、逆光なので元の写真は全て黒つぶれしているんです。にもかかわらず、ここまで色を美しく出せたのはZならでは。逆光でピントを合わせるのも難しいタイミングでしたが、素早くAFを合わせることができ、動く被写体を連写で捉えてくれました。撮影からレタッチまで驚きの連続で、とても印象深い記憶に残る写真です。お気に入りの日の丸構図、春風を感じる躍動感、そして佇む少女。季節感に溢れ、物語性も感じられる写真で、自分らしさがこの一枚に詰まっているなと自負しています。Zだからこそ撮れた写真とも言えますね。
作品撮りに関しては、割と振り切ったパラメーターでレタッチをすることが多いので、それでもノイズが出にくく、色味が崩壊しないことに大変助けられています。つくづくZは自分の理想の画作りに寄り添ってくれるカメラだなと思います。改めて考えてみると、Zを仕事のパートナーに選んだ一番の理由は、ミラーレスであるにもかかわらず、大口径で描写力に優れているところかもしれません。ミラーレスと聞くと、一眼レフの下位互換だと言う人もいるかもしれませんが、Zにはそんな要素が一つもない。ミラーレスのメリットであるサイズ感を残しながらも、一眼レフ以上の描写感を実現してくれる、私はそこが大好きです。
相性のいいレンズとの組み合わせで表現力アップ
Z 5はNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRをセットで愛用していますが、周囲の評判が良かったのは、この雲の写真。ニュース番組にも取り上げていただき、たくさんの方々に注目していただけました。ありえない体勢で撮っているのですが、腰を犠牲にして撮って良かったと思えた一枚です(笑)。
このレンズは入道雲を撮るときに、特に強さを発揮してくれます。福井は地理的にも面白い雲を見られる機会に恵まれているようで、雲は私にとって非常に興味深い被写体なのですが、入道雲はどうしてもサイズ感が一定ではなかったり、すぐに形を変えたりするので瞬発力が必要なんですよね。レンズを交換している一瞬のうちに形が変わってしまった、なんてことはザラにあります。その点Z 24-200mm f/4-6.3 VRは万能すぎる!雲との距離に応じて、瞬時に焦点距離を調整して撮影ができる、こんなにも私の作風にフィットしているレンズはないと思います。
主にZ 8と使用しているNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sはウェディングの依頼が増えてきたことなどもあって、2022年10月頃、購入に至りました。ピントの精度や解像力など、さすが大三元の一角を担っているレンズだなと。これ一本あればOKです。f2.8と明るいため、前後ともに被写体を際立たせることができます。また、Z 8の美肌機能とZ 24-70mm f/2.8 Sの組み合わせは秀逸で、ポートレートを撮る際は特に使い勝手がよく、ものすごく気に入っている一本です。
オールドレンズはきれいなフレアを描写してみたいと思い立ち、ネット通販で購入。ネットで作例をたくさん見て、Nikon AI AF Nikkor 50mm f/1.4D をお迎えしました。実際、オールドレンズで撮ることによって、記憶の中にある情景を描いたような、私の理想通りの質感になるのが、気に入っています。
新たなZ、新たな表現との出会い
Z fとNIKKOR Z 40mm f/2(SE)を体験
この10月に発売されたばかりのフルサイズミラーレスカメラZ fは、GENICの企画でいち早く使わせていただきました。Z fはNikon FM2を彷彿とさせるようなヘリテージデザインで、超かわいい見た目。バリアングル式画像モニターなので、どんな角度からでも撮影できるのが、本当に便利です。フルサイズにもかかわらず、小型で軽量な点も魅力ですね。ダイヤルが多く操作感を楽しめるところも気に入っています。
tomosaki_reel
同じく10月に発売されたNIKKOR Z 40mm f/2(SE)を使用して、Z fで動画を作成しました。このレンズは日中の明るいシーンであれば、光を優しく捉えることができ、柔らかく描写してくれる印象だったので、光を追いかけることを意識。またバリアングルを生かして、いろんなアングルで撮るよう心がけています。
Z f はレバー一つでモノクロの写真を撮影することができるのですが、初めてその機能を使ったとき、まるでファインダーが二つあるのではないかと思うほどの衝撃で、写真を撮ることが非常に楽しかったです。そんなZ f の魅力を作品でも表現したいと思い、被写体がフレームアウトしてカラーの世界に入る構成に。モノクロとカラーの世界を行き来するように編集しています。
Z 8の存在が動画の世界へと誘ってくれた
tomosaki_reel2
最近は動画にも力を入れていこうと考えるようになりました。自分の創造する世界に動きを与えたい、より特別なものにしたいと思ったのが理由です。写真を撮っている最中に、ここは三次元で見せたい!と思うこともあり、そしてせっかくZ 8を持っているのだから、宝の持ち腐れにしたくない!という意味でも、今後は積極的に動画に取り組んでいきたいと思っています。
tomosaki_reel3
写真は二次元ですが、動画は三次元なので伝えられる情報量の多さが魅力。メッセージ性も強く出せますし、音楽との親和性も高いので、より自分の世界観を表現できるのかなと。動画も写真と同様、「青春」をテーマに作品を作っていきたいですね。私は写真に関して、見てくださる方にどれだけ想像していただけるかを大事にしていて、だから「顔」を写さないのですが、そういう「余白」から、それぞれの物語を感じてもらえたらいいなと思っています。動画でも「余白」を心がけていきたい。短編映画のような作品を作っていけたらなと思います。
YouTubeにZ 8で撮影した動画を投稿し始めたばかりで、動画に関してはまだまだ素人なので大それたことは言えませんが、Z 8は外部レコーダーが不要で、カメラ内RAW撮影やN-Logの撮影ができるのが強みではないでしょうか。カラーグレーディングを行った際に引き出せる色の情報量の多さで、ほとんど調整しなくても色彩をきれいに映し出してくれると思いました。動画初心者でもトライしやすいカメラだと感じています。
フォトグラファー(写真家)としての現在地
Z 5とZ 8を相棒に、フリーランスのフォトグラファーに転身
フォトグラファーとして生きていくことを決意したのは、看護師という仕事で多くの「死」を目にし、人間いつ死ぬかわからない、ということを肌で感じたからです。明日が来る保証もない中で、せっかくやりたいことがあるのに、なぜやらないのだろうと疑問に思うようになり、それで今年7月、看護師として勤めていた病院を退職。フリーランスのフォトグラファーになりました。そして、もっと多くの人と出会いたいと思い、今は地元福井と関東の二拠点生活をしています。ゆったりと時間が進む地元で自分と会話し、自己矛盾を見つけ、いろいろな人と出会える関東でいろいろな価値観に触れて解決する、この生活スタイルが自分には合っているなと思います。クリエイティブ(創造)するというのは、あまりにも孤独で、持続するためには心の健康が大切です。長く撮り続けるためにも、二拠点生活は自分にとってマストだと考えています。
商業フォトグラファーとしてのスキルを磨きながら、写真で地元に貢献
現在は主に、ウェディング撮影やイベントでのトークショー、地方創生、観光PRに関わる仕事をさせていただいています。商業フォトグラファーとしてはまだまだ伸び代があると思っているので、機材やライティングなどについて、たくさん勉強をして、いろいろな方のニーズにお応えできる「フォトグラファー」になれるよう善処を尽くしていきたいです。
また企業や行政からの依頼で、福井への観光誘致など、地元関連のお仕事も行なっています。最近ではYahoo!天気のPR撮影などをさせていただきましたが、完全に撮り下ろしだったので、愛用機Z 8をフル活用しました。Zの力を借りながら、いろいろな企業様にお力添えできることは本当に光栄なこと。どのお仕事も大変うれしいですが、直近で心に残っているのは、福井駅のタペストリー制作です!4×5mほどの大きさで写真を織物に印刷していただいたのは、とてもうれしかった。地元のど真ん中に、自分の写真が飾られているということがとても感慨深かったですね。間違いなく写真家(フォトグラファー)としての今の自分があるのは福井のおかげなので、地元に恩返しをしていきたいという気持ちは強いです。もちろん写真を通じて、還元できたらいいなと思っています。
今まで写真は、被写体と撮影者である私の二人で完結するものでしたが、実際にフォトウォークのイベントなど、いろいろな方と出会いながらお仕事をさせていただく機会が増えて、本当に幸せだなと感じています。一回のシャッターで、いろいろな人の心を動かすことができる。写真を好きになるきっかけを誰かに与えることができると思うと、人差し指に込める思いもどんどん強くなります。GENICでもWEBやイベントなど、カメラや写真、映像に関するお仕事でご一緒させていただき、この11月にはZ fを使ったフォトウォークもやらせていただきました。そうやって多くの人を巻き込んで、どんどん出会っていきたい!たくさん仕事をさせていただきたい!と思いながら、シャッターを切る毎日です。
Zシリーズと描く未来予想図
Zとともに、日本の地方の魅力を発信していきたい
Zシリーズとともに、学校や地方の看板PRになるような本格的なプロモーション動画を撮影してみたいと思っています。具体的には、全国で「青春」写真を撮りたいという夢に向けて、プロジェクトを進行中。地元の良さに気づかず、そのまま地元を離れる若者はどこの地方でも多いと思います。私もそう考えていた一人でしたが、写真を通して地元の魅力に気づき、日常の尊さを感じられるようになりました。ファインダー越しに地元を見ると、スマホで見ていたときの何倍も素敵な景色を見ることができます。朝日の美しさや木々のゆらめきなど、これが画になるんだ!という特別感を感じますし、ZのEVFの美しさがそれを何倍もよく見せてくれる。Zを通して見る地元は格別です。私のように写真がきっかけで地元愛に目覚める人が一人でも増えたらいいなという願いを込めて、全国各地の学生さんたちに布教していきたいと思っています。
フォトグラファーとして今後やっていきたいことは、やはり個展の開催でしょうか。まだ一人で写真展を開催したことがないので、是非とも実施したいです。オフラインで実際に作品を見てくださる方々と直接お話をして、ありがとうと伝えたい。もう一つ、雲のアート写真を趣味で撮っているので、その写真集を出版したいですね。子どもから大人まで楽しむことができるような写真集を作ってみたいと思います。
Zシリーズに囲まれて、Zだからこそ撮れる画を
また、新たな自分の表現として、「違和感」をテーマに作品撮りをしていきたいと考えています。なぜそこにその格好で?みたいな「違和感」を追求していきたいと思っていて、普段しないような多重露光や長時間露光など、Zの力を借りて、さまざまな写真を撮ってみたいです。
また、東北に行ったことがないので、雪景色の中で作品撮りもしてみたい。堅牢性が自慢のZであれば極寒でも耐えてくれると思うので、あえて厳しい環境の中でシャッターを切ってみたいです(笑)。
今は、Z 5ではスチール、Z 8では動画の良さを伝えていけたらなと思っているのですが、そのためにも今後はやはりレンズを増やしていきたいですね。今欲しいのは、NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena。Z 24-70mm f/2.8 S以外の大三元も揃えたいです。そして日常使い用にZ f をお迎えしたいと思っています。私にとってZは、絶対にテーブルの上に並んでいないとダメな白ご飯(笑)、なくてはならない存在です!これからもZシリーズに囲まれた生活を送りたいと思っています。
私は俗にいう地元嫌いな若者で、写真に出会うまでは地元の魅力に気づかず、福井県から出ることばかり考えていました。Akine Cocoさんの写真を見て、天地がひっくり返るような衝撃を覚えてから、本格的に写真を始めて、空の表情が無限にあること、曇天でも世界は美しいということ、今まで見過ごしていたものが、実は魅力的なんだと気づくことができました。初めて「地元は魅力的だったんだ」と感じることができたんです。
私は、幸せというのは得るものではなく、気づくものだと考えています。なので地元を撮ることで、地元の美しさに気づくことは、幸せなことだと思います。Akineさんの写真に出会ったこと、カメラに出会ったことが、私の人生を豊かにしてくれた。地元を撮ることで、当たり前は当たり前じゃない、偶然は偶然ではない、日常は尊いものであることを学びました。
写真は幸せに気づくきっかけを与えてくれるものです。これからも日々、その幸せを感じるためにも、写真とは一生向き合っていきたい。そして、ずっとZとともに歩んでいきたい。心からそう思います。