menu

【あの人が見つけた“自分らしい”写真表現:2】しふぉん

SNSでも人気を誇るフォトグラファーたちが、 人生の中で見つけた“自分らしい”表現。 どんな経緯で、どんな被写体に惹かれ、そこに辿り着いたのか。 自分なりの世界観と溢れ出る想いを投影した、 それぞれの写真表現に迫ります。
2人目は、フリーランスフォトグラファーのしふぉんさんです。

  • 作成日:
  • 更新日:

ADVERTISING

しふぉん

フリーランスフォトグラファー 1997年生まれ、佐賀県出身。大学卒業後、東京を拠点に活動。2021年、初の写真集『白日夢』を上梓。一貫して“誰が見ても気持ちのいい写真”をテーマとし、構図や色にこだわりを持った写真を撮影。企業案件や観光PR案件、雑誌やwebサイトへの寄稿など幅広く活動。
愛用カメラ:Sony α7 III
愛用レンズ:FE 24-105mm F4 G OSS

私だけの視点

撮りたいものを撮り続けることが“自分らしさ”につながる

「海外感のある色味にしつつも白は白く見えるようにこだわりました。団地を下から見上げて撮影しているので、ミニマルな印象を出すために、水平垂直を整えています」。

ジャンルにこだわらず、撮りたいものを撮影しているというしふぉんさん。
「むしろ好きなジャンルは年々増えています。撮りたいと思ったら、実際に撮らないと気が済まない性格なんです。最初は”自分らしさ”を自分で見つけられなかったのですが、周りの方々に構図が整っていることや、色味について褒めていただくことが増えて、改めて自分の作品と対峙すると、どのジャンルの写真もいらない要素を最大限に削った整理された写真ばかり。それが自分の“好き”なんだと気づき、今の写真表現に辿り着いたように思います。中でも、構図や色味に違和感を感じない、“誰が見ても気持ちのいい写真”が私の中の永遠のテーマです。ひたすら撮りたいものを撮り続けていけば、何かしらの共通項が見つかってくるのではないかと思います」。

年齢やジャンルを問わないNFTの世界が創作意欲の刺激に

「Floating on Water Collectionとして出展した1枚。雨風で落ちた桜を持ち帰り、夜中に部屋を真っ暗にし、水の中に浮かべて何百枚と連写しました」。

「知り合いに出品をすすめられたことがNFTを始めたきっかけ。いざ足を踏み入れると、写真家やイラストレーターなど様々なジャンルのアーティストたちが、新しいプロジェクトを作り出したり、作品を世の中に出すことを楽しんでいました。それにとても刺激を受けています。NFTを語れるほどではないですが、新しいことにチャレンジすることが、自分の中に新たなアイディアや気づきをもたらしてくれています」。

見慣れた景色をミニマルに切り取る楽しさ

「窓から差し込んだ綺麗な光が、ベンチに影を落とした空間が美しかった。スクエアにすることで余計な情報を極限まで減らしました。光と影の対比を強調するため、コントラストを高めに仕上げています」。

「コロナによる自粛で、自宅周辺での撮影しかできなくなり、空や電線、街灯などどこにでもあるものをクローズアップしたミニマル写真を撮るようになりました。見慣れた場所や物でも自分独自の構図を探しています。特に幼い頃から建物が好きで、カメラを買って初めて撮影に行ったのは東京駅と国際フォーラムでした。建築家がミリ単位で設計した美しい建物を、そのままそのディテールで写し出すことに魅力を感じています」。

見えない世界を写し出す幻想的な赤外線写真の世界

「高層ビル群に囲まれながら、草木の生い茂った入口ゲートがどこか奇妙で、赤外線写真に合うと思い撮影。空の水色を強調することで、ピンク一色とならないよう注意しました」。

「たまたまInstagramで見かけ、一瞬で魅了されたのが赤外線写真。淡いピンクとブルーの写真で、もはやイラストなのかなと思うほど独特の美しさがありました。当時はまだ撮影されている方が少なく、海外のサイトなどから撮影方法や編集方法を調べました。人間の目では見ることのできない幻想的な世界を、写真を通して表現できる面白さがあります。気づけば写真集を出せるくらい自分の表現には欠かせない作風になりました」。

「赤外線を反射するものはピンクに、反射しないものは水色になるため、東京タワーはどう写るのか気になり撮影。東京タワーがほんのりピンクに見えるよう調整しました」。

Information

『白日夢』(KADOKAWA)

しふぉんさんの代表作でもある、赤外線をとらえた幻想的な写真をつめこんだ、自身初の写真集。

Amazon:「白日夢(KITORA)」
しふぉん Instagram
しふぉん Twitter

GENIC vol.64【あの人が見つけた“自分らしい”写真表現】
edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.64

GENIC10月号のテーマは「写真と人生」。
誰かの人生を知ると、自分の人生のヒントになる。憧れの写真家たちのヒストリーや表現に触れることは、写真との新たな向き合い方を見つけることにもつながります。たくさんの勇気とドラマが詰まった「写真と歩む、それぞれの人生」。すべての人が自分らしく生きられますように。Live your Life.

GENIC公式オンラインショップ

おすすめ記事

【写真家たちの履歴書:1】岩倉しおり

【#想いを運ぶ写真術:1】古性のち

次の記事