移住後の家探し、どうするのがベスト?/伊佐知美の「旅するように移住」Vol.8
移住先で、どんな家に暮らそう? ドキドキわくわく、すごく楽しみな移住後の家探し。けれど、どうやって探したらいいかわからないよ!という人も多いはず。
世の中に星の数ほどある物件の中から、みんなはどうやって自分にとってベストな家を探しているのでしょう? 今回は、賃貸物件探しをベースに、取材で出会った多くの人が実践していた基本的な移住後の家探しの流れと、ちょっぴり変化球な家探しの事例をご紹介。
オススメの賃貸物件の探し方は、3ステップ
多くの先輩移住者が実践している、移住後の賃貸物件探しの方法は、まずは全体像を把握した後に具体的に行動していく、以下の3ステップだ。
[1]全国規模の賃貸情報サイトで、相場観を知るために遠隔で情報検索
[2]現地に何度か通う or 短期滞在しながら、ローカル情報に特化した賃貸情報サイト、または現地の不動産屋を利用して、実際に数軒内覧
[3]住まい決定、引っ越し
まずは相場観を知らないと、いくら物件を見ても判断ができない。ということで、はじめの一歩として、自宅のソファに寝そべりながら、スマホ片手に、気軽に移住希望先の物件を検索してみよう。最初はあまり条件がピンとこないかもしれないけれど、理想とする家賃や間取り、条件などを簡単に入力して、スペックや立地に対する相場観をざっくりと把握するだけでいい。
この段階では、日本全国の物件情報を取り扱う大手サイトがいいだろう。なんといっても、物件のヒット数が多いため、比較・検討が容易になる。
ただし、大手のサイトだと競争率が高かったり、情報がリアルタイムではなかったりすることも多いので、「この物件いいな!」と思ってサイトを閲覧した時点で、すでに契約されていた……ということはあるある話。なので、該当エリアにもよるけれども、基本的には契約をするためではなく、あくまでも情報収集・イメージづくりとして見る方がいい。
ある程度相場観がわかって、希望エリアを絞り込めたら、次は現地情報に強い、ローカルに特化した賃貸情報サイト(たとえば、沖縄県なら「うちなーらいふ」や「グーホーム」、「沖縄不動産文庫」)や、現地不動産の公式サイト、または自治体が運営する賃貸情報サイト「空き家バンク」などを利用して、具体的な物件探し・内覧をしていこう。
この時は、できれば実際に現地を旅行で訪れたり、短期滞在しながら数軒の物件を見て回れるとベスト。
なぜなら、最近はリモートで動画やビデオ通話でも内覧ができるけれど、田舎の場合、部屋は問題ないが、じつは周囲に養鶏所や牛小屋があり、窓を開けた時の匂いが苦手だった……というケースや、部屋は広くてきれいだけれど、土地柄、年中湿度が高く、日当たりが悪くて新品の畳がカビてしまうほど……というケースが散見されるからだ(まぁ、それはある程度田舎レベルが高いエリアへの移住希望の場合、という話ではあるけれど)。
また、気になるけれど今は満室で内覧は不可能、という物件を見つけたら、中長期戦に気持ちを切り替えて、担当の不動産屋さんに「空き予定が出たら教えてください」と伝え、時間を空けて移住する、という流れも一つの作戦。移住後の家探しはタイミングも大切なので、焦らず探すと心が楽になりそうだ。
王道以外に、こんな家探しの方法も
上記の方法以外に、私が取材する中で出会った先輩移住者たちの、個性的な家探しの方法も紹介したい。
・自治体が募集する「地域おこし協力隊」に応募して、家と車付きの仕事を得て、数年間勤務。その間に人間関係を構築、情報も同時に収集、理想の家を見つけて引っ越し
・移住のための資金は0円。現地を気ままに旅して、気に入ったところのゲストハウスに長く滞在。現地の人と仲良くなって居候したり、その縁で引っ越したりするうち、理想の物件を見つけて本格移住
・何度も足繁く通う「行きつけの旅先」ができた後、現地で親しくなった人から、現地の住み込みの仕事を頼まれ、家賃0円で管理人として勤務
・とくに希望する移住エリアはなかったが、すでに地方移住していた友人が借りていた格安の物件が、友人のさらなる山奥への移住により空くことになった。雑談でその情報を知り、「じゃあ、私が住もうかな」と言って、そのまま契約することになり、結果的に移住
・細かいことはまったく考えず、東京都内の家で暮らしながら、理想に近そうな賃貸物件を検索。初期費用やランニングコストが現実的な値段だったため、内覧せずにそのまま契約。引っ越したらビンゴで最高の環境だったので、そのまま暮らしている
……などなど。家探しは十人十色。これ!という決まりはないので、自由に探すのが一番いいと思うのだけれど、家は移住の要でもあるので、できたら理想が実現できる家を見つけたいよね。
ちなみに、自治体の移住相談窓口に相談したら、直接物件を紹介してくれるケースもあるので、自治体や条件が絞り込めている人は、問い合わせてみるのも手だ。
この記事が、誰かの参考になったら嬉しいです。ではでは。
伊佐知美
これからの暮らしを考える『灯台もと暮らし』創刊編集長。日本一周、世界二周、語学留学しながらの多拠点居住など「旅×仕事」の移動暮らしを経て沖縄・読谷村に移住。移住体験者の声をまとめた『移住女子』の著者でもある。