酒井貴弘
フォトグラファー 1986年生まれ、長野県出身。『私が撮りたかった女優展』への参加や、NGT48本間日陽1stソロ写真集の撮影など、俳優やアイドルの撮影に強みを持った活動を行いながら、これまでの形に囚われない新たなフォトグラファーキャリアを模索している。GENICにて『emergence』連載中。
愛用カメラ:Nikon Z 6II、RICOH GR III、Leica M(Typ262)
愛用レンズ:NIKKOR Z50mm f/1.8 S、Summilux-M f1.4/50mm ASPH.
Q.人物を魅力的に見せる光の使い方は?
A.まずは光の種類、質、色温度を理解すること
光を知ることで撮れる写真の種類やクオリティーが上がります
「人物撮影だけでなく、そもそも写真を撮るためには、まず光の基本である、光の種類 (順光、逆光など)、光の質(柔らかい、硬いなど)、光の色温度を理解しておくことが重要です。その3つを掛け合わせて考えることで、光をうまく使えるようになり、撮れる写真の種類が増えたり、写真のクオリティーを上げられたりします。写真を上達させる上での大きなポイントです。逃したくない瞬間や、表情があるときは光のことを後回しにしてそのままシャッターを切ることや、どうしてもここで撮りたいというときにはその瞬間を優先することも稀にありますが、そうでない場合は、一番意識するべきポイントは絶対に“光”。まずはしっかり光のことを理解することが重要です」。
逆光=感情や物語のような雰囲気を演出しやすい光
「逆光は光が強すぎると全体的に白くなり過ぎてしまったり、フレアが出過ぎたりすることも。そんなときは光源を被写体に少し被せて光の量を調節するのがおすすめ。この写真は夕日が沈む間際まで撮れる海辺で撮影。顔側に光源を持ってくると表情が見えなくなってしまうので、頭の後ろ側に夕日が来るようにしたのがポイントです」。
順光=肌の綺麗さや色味を鮮やかに出したいときに有効
「爽やかな印象のポートレートにしたかったので、青空が綺麗に出るように意識して角度を選びました。手すりの白を前ボケに少しだけ入れて、奥行きを出しました。順光はビューティー撮影など、肌の色をしっかり出したいときや、青空をバックにした人物撮影で、人物も青空の色も鮮やかにしたいときなどに有効な光です」。
サイド光=コントラストのある印象的な雰囲気が作れる
「あえて影の部分が多くなるように、構図や光の角度を意識して撮影しています。暗闇に浮かび上がる男性らしい綺麗な顔のラインを見せたのがポイント。女性を撮影するときは影の出方には注意が必要ですが、男性のポートレート撮影では、サイド光×モノクロが、男性の骨格と合うので印象的な写真を作ることができます」。
GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】酒井貴弘/Q.人物を魅力的に見せる光の使い方は?
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC vol.67
7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
GENIC初のQ&A特集、写真家と表現者が答える81問、完全保存版です。