プロフィール
野田祐一郎
写真家 1986年生まれ、熊本県出身。2011年より写真家として活動をスタート。
2016年から2020年までのロンドンでの活動を経て、現在は東京を拠点に活動している。来年春頃に写真雑誌を制作するため、作品を募集中。興味がある人は、Instagramにあるメールアドレスまで連絡を。
My World, My Essence 私の写真世界
Short Hope
写真とは、視るとは、私とは、世界とは何か
「私にとって、写真とは“日常”。写真というメディアに私が魅了され続けているのは、写真特有の、語れなさに起因しているのかと思います。写真は思考的行為でもあれば、同時に身体的行為でもあり、そこにはズレが生じます。またそれは、必ず私と何かとの対峙でもあり、コントロールできる部分もあれば、できない部分も存在します。私だけでは、決して成立しません。ある意味、とても曖昧で不確かなものだと感じます。しかし事実として、はっきりと写真として現れます。それは平面であるにもかかわらず、とても多層的であり複雑です。矛盾も孕んでいます。とはいえ、それは圧倒的事実であり、私はそこにとてもリアルさを感じます。写真に対してこうやって必死に言葉にしていますが、到底言葉では言い表すことができないことだとも思っています。しかし、写真はそういったわからないものに触れることができる可能性を秘めていて、そしてそれをそのまま呈示することが可能な唯一のメディアだと思います。そのことが、どうしようもなく私を惹きつけてやまない。これが、私にとって写真が“日常”である理由です」。
「撮るには、何かしらの理由があります。それが自分自身で明確ではないことが私の場合は多いのですが、なぜかわからなくても、理由は存在します。結局のところ、何かしらの希求みたいなものだと思っています。要は何かに出会いたい、知りたい、触れたい、迫りたいという類のものです。その何かというのは、何となくの予感だったり、わからなさだったりするのですが、私にとってそれらとの交わりというのは、生きるための希望みたいなものです。そのため、そういうものに到達できたと感じられる時が、写真を撮る一番の喜びであり、原動力です。作品を通して何かを表現したいとは思ってなく、何か見えないもの、見落とされているものを表に現すことができれば…と思っています。なので、表現というより、“掬う”というニュアンスでしょうか。撮る対象も、特に何かと限定してはいません。対象ではなく、写真の写真を撮っているという意識があります。写真そのものを拡張したいというか。言ってしまえば、そのためにただ毎日、実験を繰り返しています。シンプルに好奇心や探究心、もしくは自分にはそれが必要であるという事実に動かされています。私の写真の根底にあるのは、“問い”です。写真とは、視るとは、私とは、世界とは何か」。
GENIC vol.71【My World, My Essence 私の写真世界】
GENIC vol.71
2024年7月号の特集は「私の写真世界」。
写真は生き様が反映されるアート。何を感じ、何を受け取って生きてきたのか。写真に投影されるのは、自分自身です。自分らしさとはいったい何なのか?その回答が見つかる「作品」特集。私の写真世界へようこそ。