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ずっと知りたかった「あの写真の秘密」第8回:haru wagnus/ 色彩強調フィルター Kenko MC トワイライトレッド N・MC トワイライトブルー N

第8回は、フォトグラファーのharu wagnusさんが、Kenkoの色彩強調フィルター「MC トワイライトレッド N」「MC トワイライトブルー N」の魅力をお届けします。色彩強調フィルターは、特定の色彩を強調し、他色への色影響を最小限に抑える特殊性能ガラスを使用し、単なる色付けフィルターとは異なる特性を持っています。

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目次

写真表現のかなめともいえる大事な要素が「光」。その光を味方にして、思い描く表現を叶えるのが「レンズフィルター」です。写真や動画に一瞬で魅力を加えることができるレンズフィルターは、実は多くのフォトグラファーやクリエイターが愛用するアイテム。本連載では、Kenkoのレンズフィルターを用いて撮影した作品とともに、彼らがレンズフィルターを使う理由をご紹介。

プロフィール

haru wagnus

フォトグラファー/プロダクトデザイナー 埼玉県出身。ファッションブランド「4 Silent Birds」代表。イギリス人と日本人とのハーフで幼少期はロンドンで育つ。 音楽家としてのキャリアをベースに、Instagramをきっかけに写真を始める。SNS総フォロワー約15万人。人物、ファッション、トラベル、自然、アート写真を得意とし、ファッションブランドの撮影やホテルの広告撮影、カメラ機材メーカーなどのコラボ撮影を多数手がける。昨今は、写真とAIテクノロジーを融合させた作品作りも積極的に行っている。著書『超絶レタッチ術』、『ポートレート写真術』『SNS時代のフォトグラファーガイドブック』など。

フィルター撮影のBefore/After

作例1. 記憶を超えて心情に訴えかける1枚に

Before 使用レンズフィルター:なし
Model:天月スイ(@ydur_xx)

After 使用レンズフィルター:Kenko MC トワイライトレッド N

夕方の西陽に照らされる女性の姿に、どこか哀愁のような雰囲気を感じました。MC トワイライトレッド Nを使うことで、実際は青みがかっていた光景が赤紫色に包まれた世界に変わり、まるで赤い夕陽に照らされたような仕上がりになりました。フィルターにより変化したその世界に、とても心を動かされました。一番の発見は、人物の肌の表現です。女性の肌がほんのり赤みを帯びることで血色がよく見え、さらに滑らかでシルキーな質感になりました。フィルターの濃淡が作る柔らかなグラデーションが、この独特の雰囲気を生み出しているように思います。フィルターによって単なる海辺のスナップから心情を映し出すようなポートレートへと変わりました。MC トワイライトレッド Nが、記録を超えて感情に訴えかける1枚にしてくれたと思います。

作例2. 色の統一感を生み出し、写真を見る人の心を物語の中へと誘う

Before 使用レンズフィルター:なし

After 使用レンズフィルター:Kenko MC トワイライトブルー N

花火大会が始まる少し前、人々が期待に胸をふくらませている時間帯でした。美しい夕焼けに染まった空に、会場に吊るされた提灯が夏の雰囲気を添えていました。MC トワイライトブルー Nを使い、空のグラデーションが一層際立つように意識しました。Beforeの写真では、夕焼けのオレンジと空の青が対照的に写り込み、夏の爽やかな夕暮れらしさがそのまま記録されていました。一方Afterでは、全体の色調が青紫寄りになり、幻想的で色の統一感がある雰囲気に変わりました。特に雲の陰影やグラデーションが滑らかになり、夕焼けの力強さというよりも、夜に溶け込んでいく“余韻”が強調された印象です。同じシーンなのに、フィルターを通すことで記録的な空から“アートのような空”へと昇華されたなと感じました。その中でも一番気に入っているのは、会場全体の空気感がフィルターによって一つの色調にまとめられたこと。写真を見る人の心を物語の中へ誘えるようになったと感じます。紫がかった空と会場の観客のシルエットが調和し、ただの夕焼けではなく、花火大会を待つ人々の時間そのものが作品となったように思えます。

作例3. 柔らかな表現が、映画のワンシーンのような物語性を生む

Before 使用レンズフィルター:なし
Model:かみなが(@kmng_portrait)、増山美歩(@okome_chan05)

After 使用レンズフィルター:Kenko MC トワイライトブルー N

この日は、友人たちと花火大会に出かけました。浴衣を着た二人が、美しい大輪の花火を見上げているところを後ろから撮影した1枚です。並んで立つ姿はとても可愛らしく、同時に“この瞬間は二度と戻らない”という切なさも胸に広がっていました。夜空に咲いては消える花火のように、今見ている光景も一瞬で過ぎ去ってしまう。だからこそ、その瞬間を逃したくなくて、僕自身も夢中になって何度もシャッターを切りました。Beforeの写真では、花火の光がそのまま夜空を照らし、力強く華やかな印象を与えていました。対してAfterでは、フィルターによって全体が青紫寄りのトーンに変化し、花火の光が無数の星のように煌めきながら散りばめられています。色の整理によって強い赤や黄色が抑えられ、落ち着いた調和の中に幻想的な雰囲気が浮かび上がりました。特に花火が玉ボケとなって散り、宇宙の銀河のように広がっていく姿は、フィルターがもたらす色彩変化と相まってとても美しいものへと昇華したように感じました。そしてもっとも気に入っている点は、浴衣姿の二人と花火の関係性が、より“物語的”に見えるようになったことです。紫がかった夜空と柔らかく光る花火に包まれる二人の後ろ姿は、現実の光景よりも少しだけ映画のワンシーンのように写ります。フィルターによって時間の流れさえ緩やかになったような、そんな余韻が残る仕上がりになったのがとても印象的でした。

「リアルとは異なる、もう一つの世界観を創り出せる」MC トワイライトレッド N・MC トワイライトブルー N

haru wagnusさんにとって写真とは、自己表現としての「作品」の一つ。音楽やプロダクトデザイン、アクセサリー制作、イラスト、最近ではフレグランスなどの制作なども行っていて、そのすべてがharuさん自身の中から出てくる、何かを作りたいという衝動の具現化。写真も基本的にはその一環だといいます。

ベースには、人に届けたい、という想いがあります。人に良いと思ってもらえるような作品であることこそが重要で、個性的でありながら共感も得られる、それによって他者にメッセージを伝えられる存在でありたいと思い、自分の中のものをアウトプットし続けています。撮影スタイルとしては、非日常感のある記憶のような曖昧さ、という人間のアナログ的な感性に寄り添うことを大切にしています。そのため、オールドレンズやフィルターを活用した作品も多くあります。また仕事ではファッションなどの撮影も行うので、その時は被写体やモノを“強く”、 “美しく”写すことも大切にしています。

使用レンズフィルター:Kenko MC トワイライトレッド N
「時折雨も降る曇りの日、噴き上がる水にそっと手を差し伸べた瞬間を撮影しました。水滴がはじけ、指先から零れ落ちる様子を切り取った1枚です。背景にも水飛沫が飛び、その柔らかな玉ボケと相まって、透明な涼しさと柔らかな光を感じさせるシーンになりました。MC トワイライトレッド Nを使うことで、水滴や背景の光がほんのり赤紫色を帯び、雰囲気が冷たさから温かみのあるものへと変わりました。露出は明るめに調整し、手と水滴が柔らかい光に包まれるよう意識したのですが、そのおかげで単なる清涼感だけでなく、どこか幻想的な質感を表現できたと思います」。

haruさんにとって、レンズフィルターは欠かせないアイテム。これまでもクロスフィルターを使って水面や花火、ファッション撮影時のクリスマスリースなどに光条を演出したり、ブラックミストで柔らかさや幻想感を作り出したりしてきました。

レンズフィルターを使う一番の理由は、非日常感を演出できることです。写実的な写りをするレンズに対して面白い効果を与え、変化を楽しませてくれることに、レンズフィルターの良さを感じています。過去、クリスマスシーズンの函館に行ったことがありました。その日はクリスマスイブで、大雪が降っていて、夜の街明かりと雪の光反射を、ブラックミストを使って撮影したのですが、幻想的なクリスマスの撮影ができて、すごく楽しかったのを覚えています。フィルターを使うことで得られる写りの“変化”と、それによる“演出”。写真や動画でもう一つの素敵な世界観を創り出せることが醍醐味だと思います。

使用レンズフィルター:Kenko MC トワイライトブルー N
「美しい夕焼けにポツンと光る半月があまりに美しくて撮影した1枚です。本来ならオレンジや青が混ざって見えるところが、MC トワイライトブルー Nを使うことで、幻想的で一貫したトーンにまとまり、ただの夕焼け空ではなく、まるで油絵のような質感のある“作品”に変わりました。雲と雲の間に浮かぶ月が、空に溶け込むように見えつつも、際立っているところがお気に入りです。フィルターによって、現実以上に美しい色合いが描き出され、この一枚が特別な記憶として残ったように思います」。

今回使用したMC トワイライトレッド NとMC トワイライトブルー Nにおいても、変化や演出に面白さを感じたというharuさん。

MC トワイライトレッド Nは写真全体が赤紫の世界に変わるのが、かなり面白いと思いました。公式で推奨されるような西陽や朝陽が合うように思いますが、曇りの日に使ってみた時も、沈んだ雰囲気の曇天色が、幻想感のある滑らかな赤紫に染まることで、特別感のある写真に仕上がりました。また、海で撮影した時は西陽とともに撮影しましたが、まるで爆焼けした時のような赤い世界を作れて、これもかなり面白かったです。特にキラキラとした光との相性が最高でした。

使用レンズフィルター:Kenko MC トワイライトレッド N
「寄せては返す波に濡れた砂浜が、西陽を反射し、その柔らかな光がモデルの女性の足元を美しく照らしていました。波の音を聴きながら、光の煌めきと共にその一瞬を切り取った写真です。この時が、初めて逆光の中でMC トワイライトレッド Nを使った撮影でした。通常のレンズだけだと飛んでしまいがちなハイライト部分がしっかりと抑えられ、そこから赤紫色のグラデーションが滑らかにつながっていく感覚がとても心地よかったです。また、光を柔らかく表現してくれる点も魅力的で、シャッタースピードはある程度速めにしつつ、できる限りふんわりと仕上げるために絞りはF2に設定しました。その結果、光がとても柔らかく描写され、このフィルターならではの世界観である“まるで夕陽に赤く包まれたような雰囲気”を表現することができたと思います。この体験を通して、逆光とこのフィルターの相性の良さを改めて実感しました」。

MC トワイライトブルー Nは幻想的な青紫色に変化する印象で、夕陽や朝焼けに最高だなと感じました。青い空はより青紫色に濃く変化します。そして太陽光によって黄色味のある雲などは、ハイライトが少し抑えられて、より深みのある紫寄りの黄色になる印象でした。一気に世界観を変えられるので、撮影が本当に楽しかったです。また、花火大会でも使ったのですが、すごく相性がいいと思いました。花火の色も全体的に彩度が濃い青紫寄りになり、パッケージングされたような写真としての説得力を生んでくれるのは、面白い発見でした。

使用レンズフィルター:Kenko MC トワイライトブルー N
「花火大会も終盤に差しかかる頃、夜空には花火の煙が静かに滞留していました。風もなく、その煙は1枚の幕のように広がり、そこに新しい火花が重なるたびに、まるで星雲のように柔らかく照らし出されていきました。その幻想的な光景にMC トワイライトブルー Nを重ねると、肉眼では掴みきれない“青紫の深み”が浮かび上がってきます。特に、煙の中で青みを帯びた花火が弾けた瞬間、光と色が溶け合い、宇宙の一片を切り取ったかのような光景になりました。ただ花火を撮るのではなく、煙と光が織りなす余韻をどう残すか——? その瞬間、このフィルターは光景をより幻想的に、記憶の写真へと変えてくれたように思います」。

使って実感するKenko MC トワイライトレッド N・MC トワイライトブルー Nの魅力

MC トワイライトレッド NとMCトワイライトブルー Nは、夕焼け・朝焼けの空のグラデーションのバランスを絶妙に変化させ、より印象深い色彩にするレンズフィルターです。MCトワイライトレッド Nは深みのある赤いトーンで、赤紫からオレンジへのグラデーションを再現。段々と暮れてゆく空のイメージを印象的に表現することができます。MC トワイライトブルー Nは深みのある青いトーンで、青紫からオレンジへのグラデーションを再現。刻々と近づく夕闇の空のイメージを印象的に表現することができます。haruさんは今回、セオリーの範疇に留まらないさまざまなシーンで使用し、夕陽の美しさはもちろん、他にも魅力を発見しました。

MCトワイライトレッド Nと MCトワイライトブルー Nのどちらにも言える魅力として、色変化の滑らかさというか、グラデーションのつながりをシルキーで美しく表現してくれることが挙げられます。彩度は濃いめに表現されつつ、余分な色が影を潜めてくれることで、伝えたい写真のメッセージを、ミニマルに明確に表してくれます。MCトワイライトレッド Nは、ポートレートにおいて肌を血色の良い雰囲気にし、独特なグラデーション感によってシルキーに美しく演出できるのが面白いと感じました。また、この効果を活用し、例えば編集で彩度を抑えて明るさを足すことで、ポップで可愛い世界観と肌のきれいさを両立させた作品が作れるように思います。MC トワイライトブルー Nは、とにかく全体的に表現される色味が魅力。グリーンの透過が抑えられることで統一感のある青紫のディープな色味になるので、没入感のある写真を撮ることができるのが、一番のお気に入りポイントでした。そして、これはフィルター全般の魅力としても言えることですが、画像編集でデジタルで追い込むよりも、あらかじめアナログのフィルターを使うことで、よりナチュラルに、色味やグラデーションを演出できるのも大きなメリットです。音楽の録音の現場でも同様に、デジタルだけで補正しようとするとチープな音しか作れないのが、録音の段階から性能の良いマイクや録音機材を使うことで追い込める領域が全然違ってきます。録音は、写真に置き換えると “撮る”段階。そこに存在するフィルターには、その大きな役割があると思っています。

Kenko MC トワイライトレッド N・MC トワイライトブルー Nのセットを2名様にプレゼント

今回ご紹介したKenko MC トワイライトレッド N・MC トワイライトブルー Nのセットを2名様にプレゼントいたします。 Instagram、Xから応募ください。両方からの応募も大歓迎です。

GENICキャンペーン規約

応募方法

その1)Instagramアカウントで応募

Instagramで、GENIC @GENIC_mag とKenko公式 @kenkofilters.jp をフォローし、「MC トワイライトレッド N・MC トワイライトブルー N」プレゼントの投稿に"いいね"してください。

GENIC Instagram @GENIC_mag
Kenko Instagram @kenkofilters.jp

その2)Xアカウントで応募

Xアカウントで、GENIC @GENIC_web と Kenko公式 @KenkoTokina_JP をフォローし、「MC トワイライトレッド N・MC トワイライトブルー N」プレゼントの投稿をリポストしてください。

GENIC X.com @GENIC_web
Kenko X.com @KenkoTokina_JP

応募締切とご注意

・締切:2025年9月21日(日)23時59分
・当選した方にはInstagram @GENIC_mag またはX @GENIC_webからDMで連絡を差し上げます。Instagram @GENIC_mag、X @GENIC_web 以外のアカウントから連絡を差し上げることはございません。偽アカウント、フィッシング詐欺のアカウントにご注意ください。
・当選は公開アカウントに限ります。
・賞品の発送は日本国内に限ります。
・応募された方はキャンペーン規約へ同意いただいたとみなします。
・賞品引換、発送時点まで該当のアカウントをフォローされている状態が保持されていない場合、応募が無効となります。

プレゼントキャンペーンのお問い合わせ先

ミツバチワークス株式会社

「撮影体験に、さらなる喜びを」

カメラ用光学フィルターの専門ブランドである「Kenko Filters」。60年以上の歴史を持つ光学設計のノウハウを結集した、ブラックミストシリーズなどの高品質な光学フィルターは、写真や映像に豊かな表現力を与え、クリエイティブな可能性を広げます。

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