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【World Street Photography:3】Etienne Leung/えっちゃん

世界のストリートが持つそれぞれの"顔”を個性豊かに表現。その街が持つ独自の文化や歴史、そこで暮らす人々の個性が色濃く表れるストリート写真。世界を旅し、海外で暮らすフォトグラファー3名が切り取った、3都市のストリートの表情を紹介します。
3人目は、ストリート写真に情熱を注ぐ香港のシネマトグラファー、Etienne Leung/えっちゃんさんです。

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Etienne Leung/えっちゃん

Filmmaker 香港生まれ。ロンドン芸術大学セントラル・セントマーティンでグラフィックデザインの学士号取得後、METフィルム大学院で映画製作の修士号を取得。2017年群馬県藤岡市鬼石(おにし)町、シロオニスタジオのアート・レジデンシーに参加後、香港に帰国。大西正氏が主宰する路上写真展「路像プロジェクト」の香港代表。日本ではえっちゃんの愛称で呼ばれている。ROZOUライブストリーム:Twitch@somethingnoizeまたはIGTV Website:etienneleung.com
愛用カメラ:RICOH GR II、Leica X2(36mm equivalent f2.8)、Leica M6、FUJIFILM KLASSE W(28mm f2.8)
愛用レンズ:Leica Super Angulon 21mm f3.4

Wandering around Hong Kong

交差する人々の動き、そして色。目の前に現れたものに幸運を感じて

「留学中は、休暇で帰ってくるたびに香港という街に好奇心を刺激されていました。ただ11年もの長い間イギリスにいたので、自分の居場所がどこなのか、わからなくなっていたんです」というエティエンヌさん。
写真を撮るようになったのは香港に戻ってから。「たまたま実家の浴室で、父がよく母を撮影していた古いフィルムカメラを見つけました。アルバム作りは家族の習慣だったので、私もフィルム写真をやってみようと思い立ったのが、私のストリートフォトグラフィーの旅の始まりです」。そのカメラを持って、あちこち街歩きしながら撮影するように。

彷徨いながらも“撮る”時は一時停止できる

「ストリートではいつも何か面白いものに出くわすので、シャッターチャンスを待つことはありません。目の前に現れたものに幸運を感じるだけ。1~3枚撮ったら移動します。物事が非常に早く変化するこの街で、コロナ禍にもかかわらず、昔のお店がまだあって、同じ家族が経営しているのを見るとうれしくなりますね。子供の頃のいい思い出が蘇ってくる場所もあり、ずっと手探りで撮り続けているうちに、自分を取り巻く環境や心がどこにあるのかがだんだんわかってきました。ペースの速いこの都市は慌ただしくて疲れるけれど、写真を撮ることで一歩立ち止まって、呑み込むことができる。私はストリート写真を通じて、自分自身をスローダウンさせることを学んだと思います」。

「東洋と西洋がユニークにMIXした強烈な個性を持つ香港で、私が好きな被写体は行き交う人々、そして動物!街中のお店の猫たちもとてもフレンドリーだし、運が良ければ夜中にイノシシが街を徘徊しているところに出会うことも。香港には本当に何でもありますね」。

写真で表現したいのは自分が出会った小さな物語

映像監督であるエティエンヌさんがストリート写真を撮るのは、「他者のために視覚的な思い出を作りたいから。時が経てば、自分を振り返るための方法にもなると思っています。私が写真で表現したいのは、自分が出会った小さな物語。スチール写真で映画のようなイメージを作ろうとは思っていません。何の目的も計画もなく、カメラを持ってぶらぶらするのが好きなんです」。

誰かのために視覚的な思い出を作りたい。時が経てば自分を振り返ることもできる

シンプルなセットアップがこだわりで、いつもレンズは1つだけ。「ワイドレンズで、静止画のフレームの中にできるだけ多くの情報を入れたいと思っています。被写体や気分によっては、ぐっと寄ることもありますね。ストリートで撮る時に気を配るのは、人々の動き、そして色。感情にフォーカスしたい写真では、色の煩わしさをなくすためにモノクロにします。小さい頃、水墨画を習っていたので、色に対する感性はその影響かもしれません。映画学校に通う前はグラフィックデザインを勉強していましたし、写真を撮る前はよく絵を描いていたので、要するに私はいろいろなメディアを通じて実験しているクリエイティブな人間なんだと思います。今後はドキュメンタリー映画や物語性のあるプロジェクトなどの仕事を通じて、もっと旅ができたら最高ですね。その後、写真の個展も開きたいと思っています」。

Etienne Leung/えっちゃん Instagram
Etienne Leung/えっちゃん Twitter

Information

「GNMA - In the Mountains of Japan’s Gunma Prefecture」 (brownie publishing ltd.)

出典: https://www.brownie.com.hk/

「イギリスを離れる時、心の整理がつかず、帰国前に逃避行。群馬県の鬼石に約半年間滞在しました。そこで大勢の地元の人たちと仲良くなり、写真もたくさん撮り、彼らの生き方から人生について多くを学びました。そのお返しとして、ネットで写真を送るのは簡単だけど、印刷物だともっといいかもと思いつき、写真集『GNMA』を作ることにしたんです。翌年再訪した際、お店やカフェに本を飾ってくれているのを目にして、みんなが私の“御礼”をどれだけ喜んでくれているかがわかり、心から感動しました。最初は写真集の出版なんて無茶だと思いましたが、見返してみると、澄んだ青空や豊かな緑の畑など、めくるめくファンタジーの世界で。都会人の私が宮崎駿の映画で見たような場所に住んでいたなんて信じられませんが、この本は自分自身へのプレゼントでもあったのかなと思います」。

GENIC vol.63 【World Street Photography】
Edit:Yuka Higuchi

GENIC vol.63

GENIC7月号のテーマは「Street Photography」。
ただの一瞬だって同じシーンはやってこない。切り取るのは瞬間の物語。人々の息吹を感じる雑踏、昨日の余韻が薫る路地、光と影が落としたアート、行き交う人が生み出すドラマ…。想像力を掻き立てるストリートフォトグラフィーと、撮り手の想いをお届けします。

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