「ラオス」でゆったりとした時に身をゆだねて
ふとした時に、思い出してもう一度訪れたいと思う国、ラオス。
はじめて訪れた時に、最初から自分が受け入れられたように感じたのは、日本と文化や気候が近いものがあるからなのか、素朴でありのままの村と、そこでのびやかに暮らす人々が作り出す優しい空気感からなのか。
田んぼや畑、高い山も多く綺麗な川も流れている。そんなラオスでは、どこか懐かしい日本のような風景を見つけることができます。
冒険心を抱えて日本の外に飛び出し、世界各地を忙しくまわってみても、やっぱり私が落ち着く場所は、こんなゆっくりとした時が流れる土地。
ラオスで見つけたスローライフ
ラオスでは、生活に結びつく多くのものが竹や籐(ラタン)から作られています。その資源のほとんどは自分たちの手で守り、古くから大切にしてきているもの。
資源を使い過ぎず、未来の世代への負担も少なくすむその生活様式は、持続可能な社会の一例として、近年注目されているようです。
竹は軽くて加工しやすいうえに丈夫で、身の回りの生活用品はもちろん、住居や肌に馴染む布にもなる。こんな竹の可能性を私が知ったのも、東南アジアへ訪れてから。
自然に包まれて過ごす
できるだけ自然を近くに感じることができる宿を選びたい。いつもそう思っている私がラオスでのステイ先に選んだのは、ルアンパバーンのナムカン川沿いにある施設。
良い環境づくりに取り組み、伝統文化を大切にしながら自然と共存する宿です。
施設内には、ファームが併設されていて、誰でもその畑を見学したり、ワークショップに参加したりすることができます。ファームで採れたフレッシュな野菜はダイレクトに食堂に運ばれ、真の“Farm to table(ファームトゥテーブル)”を体験できます。
世界中から訪れた人が一緒になって作り上げ、学んだことをそれぞれ自分の国へ持ち帰って、生かしていく。
私自身も、旅先で見てきたことや知ったことは、日本に戻ってから自分なりに試してみたり、周りにシェアしたりします。そうすることで、心も日常もちょっと豊かになることがあるんです。
ラオスでは、川を渡るための橋も、竹で作られているものが何本もあります。みんなで協力して手作業で作り、壊れた部分は少しずつ手作業で直すそう。
コンクリートを使ってもいいけれど、未来を考え、自分たちの責任を持てる範囲で暮らす。土に還るまで見届けることができるような、当たり前に今までしてきたことを続けていく。そんな人々の営みに素敵なアナログさを感じました。
彼らの暮らしの様子から、多くのヒントをもらいます。
ラオスの女性たちによる伝統文化、鮮やかな染め物たち
鮮やかに染められた美しい手紡ぎ糸や布が、色とりどりに並ぶ。
ラオスでは村を歩いていると、このような光景に出逢うことがあります。
草木で染められ紡がれた糸から織られる布地は、多くのファッションブランドにも採用されているそうです。
それらは一つひとつ現地の女性たちの手仕事によって支えられています。
ラオスの自然の恵みから生まれる芸術品であり、母から子へと受け継がれていく伝統文化です。
大量生産品からは感じられない人の温もりを感じて、改めてこの国を好きになりました。
朝から賑わう食材の宝庫・マーケットを訪れて
朝からはじまる小さなマーケットでは、日本でも馴染みのある食材から、これは何なのだろう?と首を傾げてしまうような見たことのない野菜まで、色とりどりの食材が路上に並べられています。
東南アジアの食卓には欠かせない、チリペッパーや柑橘類は種類も豊富。あれこれマーケットで調達する人たちを見て、どんなふうに調理するんだろうと想像し、楽しくなります。
世界共通の“食”という視点から、その国の特徴を覗くこともできる、マーケット散歩です。
ラオスを訪れて感じたこと
自然が生み出す資源を丁寧に生かしながら営まれている国、ラオス。
時間を気にして急ぐこともなく、心にゆとりをもって暮らす人々。
ラオスにいる間、自分もすっかりそのスローライフに身をゆだねていたので、東京に帰り、建物に囲まれ、電車は時間通りに来る、支払いはモバイル、と効率優先で物事の進むスピードに追われるファストライフに戻ったとき、少し戸惑いを感じてしまいました。
便利さのために次々と開発されていくことは、私にとっての本当の豊かさに繋がっていってるのだろうか、ということを改めて考えさせられた、記憶に残るラオスへの旅でした。
「私なりのサスティナブルツーリズム」AOI
私自身、環境保護について先頭に立って積極的に取り組んでいるわけでもないし、知識も多くはありません。でも、訪れた場所の環境や暮らす人々へ少しでも思いやりを持つことが、結果的に人にも自然にも優しい世の中を作っていくことなのではないかと思い、いつも心掛けています。
それが、どんな人でもすぐに始められる環境活動のひとつになっていくといいなとも思っています。
これからも、この視点を大切に、いい旅、いい時間を繰り返していきたいです。
最後に…。美しい東南アジアで暮らす、人の温もりのなかで見る夕日は特別です。
AOI
プロトラベラー/動画クリエイター
東京と高知を拠点に、旅とライフスタイルをカメラで表現するクリエイター。旅先や日常のワンシーンからインスピレーションを受け、独自の目線で切り取ったエモーショナルな作品を発信している。