目次
プロフィール
sara
アーティスト/クリエイター
Arai:1994年生まれ、大分県出身
sako:1997年生まれ、京都府出身
2021年10月より、Araiが写真を撮り、sakoがその写真に落書きをする、2人組アーティストsaraとしての活動をスタート。
愛用カメラ:Canon EOS R6 mark II
愛用レンズ:RF15-35mm F2.8 L IS USM、RF24-70mm F2.8 L IS USM、RF70-200mm F2.8 L IS USM
個性を作風に乗せてSNSで脚光を浴びる表現者たち
写真×落書きで描くifの物語
「今でも最高傑作だと思っている、私たちの初の作品。sakoの発案で、夕日を線香花火の火種に見立てています。2020年に初めてAraiのアカウントで公開し、2年後に改めて2人のアカウントにも投稿。ここでも2年前の投稿を覚えていた方が多く、この作品への反響の大きさを実感しました」。
作品づくりに欠かせないのはお互いの存在です
「Arai単独作品で、月の写真に海月の写真を多重露光で重ねたものがありました。これに着想を得た、sako発案の作品がこちら。半月の写真を海月の頭に見立てています」。
「タイトルは『「おつかれさま」「あとはよろしくね」』。2023年の大晦日と2024年の元旦に、干支のうさぎと龍がバトンタッチしている様子を表現しました。この撮影場所は地震で崩れてしまい、もう二度と同じ写真は撮れません。でもこの作品を見てくださった方から、『2人が作品にしてくれたことで、この場所を忘れないでいられる』と言っていただけたのが印象的でした」。
始まりはAraiさんの撮った写真に、彼女のsakoさんが何気ない落書きをしたこと。その作品をXにアップしたところ、大きな反響があったことがsara誕生のきっかけだったそう。
「『if』をテーマに、もしこの世界がこんな風だったら…、と2人で物語を想像しながら作品づくりを行っています。被写体は自然の風景、そこに載せるイラストは手や動物のモチーフがメイン。私たちの作品では、もしかしたら見えていないだけで存在しているのかもしれない、という世界を表現しています。被写体やモチーフは、多くの人にとって身近に感じ、ifの世界を想像しやすいものを選んでいます。作品のアイデアはお互いに出しますが、sakoの場合は写真や風景から直感的に生まれることが多く、Araiは論理型なので先に伝えたいメッセージを言語化してからアイデアを出すので、全く正反対。そんなお互いの存在が、作品づくりにおいては欠かせません。それぞれの長所を持ち寄ったからこそ、2人で一人前のアーティストになることができ、写真に落書きという表現が生まれたのだと思います」。
“2人の創作が合わさることで、物語の1ページのように”
「こちらは夕焼けのグラデーションをクリームソーダに見立てた作品です。落書きに色をつけるかなど、コンセプトで悩んだ時期もありましたが、作品を作り続けるうちに、白い線だけの方が2人の世界観に合っていると感じるように。以来、できるだけ白1色で落書きをしています」。
「見る人によって感じる物語は違ってくると考えています。これも『猫かわいいな』と感じる人もいれば、『私も雲の上に乗ってみたい』と感じる人もいるし、『亡くなった飼い猫が見守っている』と感じる人もいるでしょう。そんな自分だけの物語を楽しみながら見てもらえたら嬉しいです」。
「私たちの作品は、全てSNSで発表していますが、できるだけ毎日アップして、InstagramやTikTokではショート動画で作品やメイキングの様子をあわせて公開するなど工夫しています。また、作品に添えて『貴方はどう思う?』と質問を投げかけてみるなど、想像が膨らむようなキャプションも意識。SNSは手軽に見られる分、作品がすぐに消費されてしまうとも感じているので、そのようなSNSの世界で”唯一無二の作品”を、どうアピールできるか考えながらキャプションを考えています」。
GENIC vol.71【個性を作風に乗せてSNSで脚光を浴びる表現者たち】
Edit:Satomi Maeda
GENIC vol.71
2024年7月号の特集は「私の写真世界」。
写真は生き様が反映されるアート。何を感じ、何を受け取って生きてきたのか。写真に投影されるのは、自分自身です。自分らしさとはいったい何なのか?その回答が見つかる「作品」特集。私の写真世界へようこそ。