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旅の写真は感動の共有であり、人とのつながり 藤浪秀明

レンズの先に広がる世界は、時を忘れて撮影に没頭するほどの絶景だったーー。
日本を撮り続けるフォトグラファーたちが、これぞ“新・世界遺産”にふさわしいと選んだ日本の光景を紹介します。
「世界遺産に推薦したい!日本の新百景」10人目は、「日本を感じる風景」をテーマに撮影を続ける写真家、藤浪秀明さんです。

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旅の写真は感動の共有であり、人とのつながり

「一度行った場所を何度も訪れ、現地の人との関係を深めていけることに旅の楽しさを感じています。旅先では季節の花やその時々のイベントを、記録に残したい、現地の人にお渡ししたいという想いで撮影をしていることが多い。マナーを守ること、住民の迷惑にならないこと、立ち入り禁止場所には入らないなど、当たり前のことを大切にしています」。

NARA【奈良県・高市郡】

<3月>桜をまとう大仏様が有名な「壷阪寺の春」

「山寺なので決して交通の便はよくない。しかしながら、これだけの桜と大仏様の組み合わせは他になく、日本各地より撮影に訪れる人が絶えない場所。今まで桜の季節に何度もお邪魔していて、このときは特別な許可を得て空撮をしています。建物を包み込むように配置された桜に光が差し込む瞬間、感動を覚えました」。

KYOTO【京都府・京都市】

<6月>並べられた紫陽花が美しい「柳谷観音のあじさいウィーク」

「全国的に有名な紫陽花手水発祥の地で、映画のロケに使われた上書院など見どころが多い。毎年この時季にお邪魔しており、昨年から始まった紫陽花階段は、階段に並べられた紫陽花が美しかった。奥行き感のある紫陽花、その先にある鳥居の存在感に目を奪われて撮った一枚。魚眼レンズで変化のある構図を意識しています」。

NARA【奈良県・高市郡】

<9月>飛鳥光の回廊で展示される「岡寺の和傘献灯美」

「飛鳥光の回廊で最も人が集まる場所の一つ。様々な和傘が配置され、来る人を楽しませてくれます。お寺の副住職からイベントに対する想いをお聞きし、一層撮りたくなりました。お寺に和傘を配置し背景に三重の塔が入る光景は引き込まれるものがあり、手前の灯り、和傘から三重塔へ視線が移るよう構図を考えました」。

藤浪秀明

写真家 大阪府出身。2014年夏、SNSで素敵な写真を見て、「こんな世界を自分も撮りたい!」と強く願い写真の世界へ。本業を営みながら趣味として手探りで撮影方法を学ぶ。作品がSNSで話題となり、雑誌やメディアで紹介されるように。写真集に『和想百景』(KADOKAWA)がある。
愛用カメラ:Sony α1、Sony α7R V、Sony α7 IV
愛用レンズ:FE 24-105mm F4 G OSS、 FE 50mm F1.2 GM、FE 70-200mm F2.8 GM OSS II

藤浪秀明 Instagram
藤浪秀明 X

GENIC vol.68【世界遺産に推薦したい!日本の新百景】
Edit:Chikako Kawamoto

GENIC vol.68

10月号の特集は「旅と写真と」。まだ見ぬ光景を求めて、新しい出逢いに期待して、私たちは旅に出ます。どんな時も旅することを諦めず、その想いを持ち続けてきました。ふたたび動き出した時計を止めずに、「いつか」という言葉を捨てて。写真は旅する原動力。今すぐカメラを持って、日本へ、世界へ。約2年ぶりの旅写真特集。写真家、表現者たちそれぞれの「旅のフレーム」をたっぷりとお届けします。

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