柴崎まどか
写真家 1990年生まれ、埼玉県出身、東京都在住。服飾専門学校卒業後、アパレルデザイナーに。在職中にWebデザインと独学でDTPデザインを学び、大手アパレルメーカーにてファッション広告のディレクション、デザイン業務を経験。現在は数々の映画スチールの他、雑誌、広告、カタログ、アーティスト写真撮影など幅広く活動。代表作は、俳優笠松将を一年にわたり追った写真集『Show one's true colors.』。
愛用カメラ:Nikon Z 7II、Nikon Df、Nikon FM3A
愛用レンズ:NIKKOR Z 50mm f/1.8 S/Z 85mm f/1.8 S/Z 24-200mm f/4-6.3 VR
スチール撮影を担当した代表作品
『左様なら』(19/監督:石橋夕帆)※スチール初作品、『アルプススタンドのはしの方』(20/監督:城定秀夫)、『彼女が好きなものは』(21/監督:草野翔吾)、『愛なのに』(22/監督:城定秀夫)、『猫は逃げた』(22/監督:今泉力哉)、『LOVE LIFE』(22/監督:深田晃司)、『あつい胸さわぎ』(23/監督:まつむらしんご)など
Q.映画のスチール撮影ってどんな仕事?
A.映画本編の撮影に同行し、主に宣伝で使われる写真を撮る仕事です。
ポスター、場面写真、SNSなど。作品に関わるすみずみまで撮影
「映画スチールとは、映画本編の撮影現場に同行し、宣伝などで使われる写真を撮る仕事です。例えば、本編に登場するシーンを撮影した『場面写真』。これは、パンフレットやSNS等の販促物に使用されます。そのほかにも、本編のメイキング風景やキャストのオフショット、美術やロケーションなどのランドスケープ、裏方であるスタッフを撮影することもあります。また、映画のポスターに使われる通称『特写』は、場面写真からセレクトして使う場合もありますが、本編とは別に撮影する場合も多いです」。
大切なのはコミュニケーションとシャッター音
「映画は基本的に分業で制作されていて、各分野のプロフェッショナルが集まる現場です。それぞれがベストなパフォーマンスを発揮できるよう、それぞれの細やかなコミュニケーションが求められます。例えば、『場面写真』の撮影は、実際に本編で撮影中のシーンを押さえる仕事です。でも、録音もされている本番中にはシャッター音は絶対にNGなので、シャッター音をオフにできるミラーレスカメラを使用しています。それでも、あらかじめ録音部さんに『このくらいの音が出ても大丈夫ですか?』などの確認をとる必要があります。そのほかにも、本編の画角に見切れていないか、照明を遮って影を発生させていないかなど、細心の注意を払いながら自分のポジションを確保しています。常に声をかけ合ったり、アイコンタクトを交わしたり、そういったコミュニケーションが現場では重要になります。相手の立場になって、思いやりを持つことが大切なんです」。
完成したポスターを劇場で見る瞬間が最も嬉しい瞬間
「いつも『この映画を観たい』と目に留めてもらえるような写真を目指しているので、劇場のポスター前で立ち止まってくれている人や、写真を撮ってくれている人を見ると、本当に嬉しくなります。スチールは宣伝の"顔"を担っていると思うので、私の写真が誰かの心を動かして、1人でも多くの方に劇場へ足を運んでもらえたら嬉しいですね」。
GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】柴崎まどか/Q.映画のスチール撮影ってどんな仕事?
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.67
7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
GENIC初のQ&A特集、写真家と表現者が答える81問、完全保存版です。