新たな写真との出会いー。
写真家によって運営される出版レーベルBUFFALO PRESS。
今回は様々な垣根を越えたレーベル以外の作家達と共にNine Galleryにて展示&写真集のイベントを開催します。
このイベントを通じて写真表現の可能性を感じていただけたらとても嬉しく思います。
出展作家の写真集と作品販売は勿論の事、ブースにて各出版写真集やそれぞれが主催するレーベルの出版物を多数並べ販売いたします。
大好きな推しを追い続けることも素敵だけど、心揺さぶられる作品と出会った感動はきっと忘れられない。
BUFFALO PRESSは新たな写真たちとの、"出会い"を演出します。
GENIC読者のみなさま、是非お越しください。
BUFFALO PRESS代表 土佐和史
出展作家
・土佐和史
・馬場磨貴
・佐伯慎亮
・内倉真一郎
・ハヤシシゲミツ
・水渡嘉昭
・中尾微々
作品紹介
土佐和史「THE SUNLIGHT TOURS」
きっかけは新型コロナのパンデミックだった。
今まで、旅で出会った人を正面で捉える写真ばかり撮ってきた自分が、100%の環境で人と向き合えない状況になった。
私は、生まれて初めて風景を撮るための旅に出た。
土佐和史
写真家 1977年大阪府生まれ。
BUFFALO PRESS代表。
全国各地に出向き、旅ゆく道で出会ったひとや風景を撮り続け作品発表を行っている。Mio写真奨励賞2003グランプリ受賞、コニカミノルタフォトプレミオ2015-2016受賞。写真集に「SUNLIGHT MEMORIES」2017年、「北関東」2018年、「路地裏に咲いた花」2021年がある。2018年に出版レーベルBUFFALO PRESSを立ち上げる。
馬場磨貴「Never let me go」
「私は...」と声を発する時 ‘わたし’ と呼べる確かなものはどこにあるのだろうか。
私は 果たして ’わたし’ の全体をとらえているのだろうか。
自分の中に存在するもう一人の自分を、幼少期から常に感じていた。
その‘もうひとり’は、こちらを真っ直ぐに見つめ、少しの嘘も見逃さない。そして同時に、隠されたわたしの心の声をよく知っている存在でもある。
日々の生活の中で、人は悲しみや怒りや蔑みなど、時に負の感情を抱く。
愛と併存するそのような感情を、人は疎ましく感じ、できれば無いことにして目をそらしたいと思っている。
自身の欲や不安などを、曝け出されたくはないのだから。
しかしもう一人のわたしは、それを静かに見つめ「ほらこここにあるよ」と指し示す。
私には双子の妹がいる。笑顔の端に滲む悲しみも、怒りの底に漂う優しさも、一語も交わすことなく手に取るように感知する。だから妹の前で、わたしは常に裸だ。
自分とそっくりな彼女の行動や姿態を目の前にして、私はこの世界での自分のあり様を把握する。双子の妹はひとつの道標だ。
カメラを手にしてからずっと、私は何かの確認のように妹を撮影してきた。
しかしある時から、彼女はカメラを向けられるのを嫌がるようになった。
よく似た2人が並ぶことは、きっと妹に何らかの不安を感じさせたのだろう。
二人の前にはどこまでも広がる闇がある。
しかし私はできることなら、目をそらさずその深淵を覗きこみたい。
存在することの確かさを、目を凝らして探したいと思う。
馬場磨貴
写真家。新聞社出版写真部勤務後、文化庁在外研修生としてÉcole nationale supérieure de la photographie d’Arles(France)に留学。帰国後は作品を発表する傍ら、雑誌や広告でも活動している。第5回Canon写真新世紀佳作を受賞、第33回太陽賞準太陽賞を受賞。写真展は、2022年「まぼろし」OM SYSTEM GALLERY、2021年「Flora」蔦屋書店GINZA SIX、2020年「Futari」Promenades Photographiques Festival Vendome(フランス)他多数。写真集では「ABSENCE」(蒼穹舎)、「We are here」(赤々舎)、「まぼろし」(私家版)がある。
佐伯慎亮「nice view」
心地よい瞬間はなんの前触れもなくやってくる、ことはほとんど無い。
毎日カメラを持ち歩く中で、その予感を感じる瞬間がやってくる、こともなかなか無い。
それでも、自分が納得できる瞬間を捉えることの喜びに取り憑かれている。
何に納得しているのかは、未だによく解らない。
だから見逃すまいと、全方位的に物事を愛したいと思っている。
佐伯慎亮
写真家 1979年広島生まれ。
被写体を限定せず、日常のあらゆる場面で生と死と笑いを収集。国内外での展覧会やドキュメンタリー映画の製作、雑誌、広告等のカメラマンとして関西を拠点に活動している。2009年「挨拶」、2017年「リバーサイド」を刊行(共に赤々舎)。2001年キヤノン写真新世紀優秀賞、2018年大阪市咲くやこの花賞を受賞。淡路島に住んでいたが現在は大阪との二拠点生活
内倉真一郎「忘却の海」
私は宮崎県に住み制作をしている。どこを見渡しても海に囲まれた町だ。
行政やボランティアの清掃の手が行き渡った海水浴場には、美しいビーチが続く。
しかしそこから少し離れた海には、正反対の世界が広がっている。
漂着物や不法投棄物が打ち棄てられて忘れ去られ、誰も立ち入ることさえなくなった、現代社会のありのままの海辺の姿。
ゴミと化した色鮮やかさが虚しいプラスチック、手袋、おもちゃ、魚や鳥などの死骸。
遠く離れた場所から時間の波にもまれ、太陽光で干からび新たな姿に変容していくものたち。
現世のものとは思えぬ異様な感覚をも想起させる、人間がかつて関わっていた痕跡。
私は夢中で、下ばかり見ながら、一つ一つの残骸を集める。
打ち棄てられた物たちは私に語りかけるように感じる。
誰かが作り、誰かの手元にあり、波とともに砂浜へ。
そして私と出会う。
このシリーズは、その最後の在りようを記録したラストポートレートだ。
内倉真一郎
KANAKAWANISHI GALLERY所属。 第41回キヤノン写真新世紀優秀賞 &佳作を3回受賞 、第7回EMON AWARDグランプリ受賞など。2023年個展ではKG+pickup、京都。KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京。PURPLE、京都にて開催。写真集では『忘却の海』『私の肖像』(赤々舎刊)、『浮遊の肖像』、KANA KAWANISHI GALLERYより『Early works 1: Street』『Early works 2: Portrait』『佳子』『犬の戦士団』『十一月の星』『 Collection』を連続刊行。その他、清里フォトアートミュージアムで所蔵され、PARIS PHOTO等に出展し活動の場を広げる。
ハヤシシゲミツ「意識 I-SHI-KI」
意識、その一点にこだわれば不確かなものに転じていく。
物事を明確に捉えることは実際は難しい。
永い時間を経た。
破れたガラスの隙間から失われた時間の断片が顔を覗かせる。
遠い記憶。
そうであればあるほど自ら得た一枚の写真に暗闇をみる。
引き裂く閃光。
一瞬の刹那。
得体の知れない美しさに恐怖すら感じながら、私の意識に還ってくる。
そこは太陽と月がお互いを照らす。
影から光、
光から影、
そして自分自身と出会うのである。
ハヤシシゲミツ
1969年兵庫県西宮市に生まれる。
大阪芸術大学写真学科入学後、本格的に写真を始める。2001年に個人事務所を開設。以後フリーの写真家として主に関西で制作、発表を重ねてきた。2020年にはそれまでの作品の集大成として写真集「意識」をBUFFALO PRESSから上梓。2022年には写真の出版レーベルmomentを設立。多くの作家の写真集制作に 携わる。最近では日本各地に赴き旅から見えるストーリーを写真集としてまとめている。
水渡嘉昭「Compartimos」
心地よい風を見つけ、独り占めしたかった。
心地よい風がつくられる時、そんな時に立ち会いたかった。
それが出来る場所がラテンアメリカでした。
水渡嘉昭
1978年大阪府出身。
NY市立大学コマーシャルフォト科卒業後、BrianDoben、Kenji Toma、Shin Ohira等に師事。ラテンアメリカでポートレートを中心に現地の人々の生き様を追うプロジェクトを開始する。海外で撮影した作品を雑誌や関西圏のギャラリーで発表。現在は、国内・海外で撮影受託する他、上記ラテンアメリカのプロジェクトを中心に作品制作を続けている。
中尾微々「water」
2016年、3月。父が死んだ。
ずっと嫌いだった人も、いなくなれば必要としている自分に気付く。
2019年、7月。韓国の海に、母が骨を撒いた。
私がはじめて海を渡った日。
降り立った父が名残る地は、なぜか懐かしくてほっとした。
2021年、7月。11年間一緒に生きた猫が2匹死んだ。
ママと私の、この世で唯一の何にも変えられない存在だった。
8月。私と母と1匹のリビング。座る順番は横並びになった。
閉じ込めていた過去を解くように写真を撮った。
涙、星、体温、光、爪の色、水平線。
優しいものは、燃えても真っ白だ。
真っ白になって、確かに存在していたことを証明してくれる。
あの日とても穏やかに舞った白い原子は、その雨になった。
この海になった。
あの人だった。
中尾微々
2002年、大阪府生まれ。
2022年、日本写真映像専門学校卒業。写真家団体 Atelier Ricken Backer 所属。
在日韓国人の父と日本人の母の元で育つ。父の死後、混沌とした日々の中に確実として目の前にあったものにフォーカスを当て、自分にしか残せないリアルは何かを模索しながら制作を続けている。 日本写真映像専門学校卒業制作展にて奨励賞受賞。また、T3 STUDENT PROJECT(東京)にて作品が選抜される。卒業後、関西を中心にグループ展などで出展を多数開催。現在、国内外での展覧会を控え、活動の視野を広める。
写真展「BUFFALO PRESS+ MEET THE PHOTOGRAPH 2024」情報
開催時期
2024年2月6日(火)〜2月11日(日・祝)10:00~19:00
最終日は17:00まで
会期中無休
入場料
無料
会場
Nine Gallery
〒107-0061 東京都港区北青山 2-10-22 谷・荒井ビル1F
行き方・アクセス
<電車>東京メトロ銀座線「外苑前駅」出口3から徒歩で約3分
トークイベント開催
日時:2月10日(土)17:00〜
参加者:出展作家全員予定
- 【お問い合わせ先】
- Nine Gallery
- ninegallery.com