プロフィール
師匠:大辻隆広
倉脇亜実
1998年生まれ、神奈川県出身。カメラ歴10年。高校時代は写真同好会に所属。その後専門学校で学び、21歳より都内スタジオに勤務。2022年大辻隆広氏のアシスタントとなる。アシスタント歴は1年半。
愛用カメラ:Canon 5D Mark IV、PLAUBEL Makina67、PENTAX ESPIO125M
愛用レンズ:Canon EF50mm
写真家アシスタントに聞いた「今と夢」
「これからは家族になります」という言葉が、とても嬉しかった
「遠方のロケに行ったとき、大きな日傘に入る大辻さん」。
Q.今の会社、今の師匠に就いた理由は?
大辻さんが2019年に開いていた『ボツ展』という個展の内容がとても面白く、私のツボでした。もともと大辻さんの写真のファンではいたのですが、その個展をきっかけに大辻さん自身にとても惹かれました。そしてタイムリーなことに、その数週間後にアシスタント募集をされたので、コンタクトを取らない手はない!と、まだスタジオに入社して半年ほどでしたが、すぐに連絡をしました。初めましての挨拶をして、色々とお話させていただく中での直感と言いますか、お人柄に惚れました。大辻さんのもとでなら写真をさらに好きになれそうだと思いました。
Q.入社はどのように決まりましたか?
アシスタントに就きたいと伝え、履歴書を送付、後日大辻さんご本人と現役のアシスタントの方、当時のマネージャーさんと3対1の面接がありました。アシスタントの業務内容や今後の自分のビジョンなどを話しました。私の場合は「半年しか勤めていないスタジオを辞めるのはもったいない」という結論になり、そのタイミングでの採用とはなりませんでしたが、「また気持ちが変わっていなければ連絡してきて」と再チャレンジの機会をいただけました。そこから約3年スタジオで経験を積み、卒業を考え始めたタイミングで再びご連絡をしました。その後、改めてお会いして正式採用となりました。
「友人を撮影したものなのですが、『いい顔してるなぁ』と思わず声が出てしまった写真です。シンプルに好き」。
Q.アシスタント仕事の中でどんなときに喜びを感じますか?
現場での何気ない会話に混ぜてもらえたり、大辻さんのアシスタントだと認知してもらえたりすると、とても嬉しいです。
Q.師匠に就いてみて、驚いたことはありますか?
眼鏡の種類が実はいくつかある、ということ(笑)。いつも同じ眼鏡だと思っていました。
Q.師匠に就いてみて、一番ためになったことは?
構図や光の捉え方といった技術面もありますが、より内容を詰めていく場面での提案の仕方や、被写体との距離感、カメラマンとしての立ち振る舞いなどもとても学びになっています。
Q.師匠からいただいた、一番響いた言葉は?
アシスタントに正式に就くタイミングでいただいた「これからは家族になります」という言葉は、とても嬉しかったです。
「オレンジ色の西陽をたっぷり浴びながら、誰かと歩く時間が大好きです」。
Q.仕事上で悩んでいることはありますか?
アシスタントの業務としては、自分のやるべきことをやりながら盗めるところを盗んで自身に落とし込んで、ただただ前進あるのみ!という気持ちで押し切っているのですが、写真が好き!撮るのが楽しい!の気持ちだけでここまで来てしまったので、自分の写真がどういう風に生業として成立させられるのかも、しっかり考えなくてはいけないなぁと、思うようになりました。
Q.アシスタントとして一番印象深い仕事はなんですか?
昨年撮影したドラマのメインビジュアルのポスターが、渋谷駅構内に数日間だけ貼り出されていました。記録用にポスターを撮影しに行ったのですが、そこで多くの人たちに見てもらえる、届く、というシーンを直で体感できたことは大きかったです。商業写真は入れ替わりが早く、常に更新されて消費されていくイメージがあったのですが、今しかないものをよりよく魅せるために作り上げるプロたちの仕事ってかっこいいな!と、商業写真に対するモチベーションを上げるきっかけにもなりました。
Q.将来どのようなフォトグラファーになりたいですか?
今を逃さないフォトグラファー。ずっとわくわくしていたいです。
GENIC vol.70【写真家アシスタントに聞いた「今と夢」】
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC vol.70
2024年4月号の特集は「撮るという仕事」。
写真を愛するすべての人に知ってほしい、撮るという仕事の真実。写真で生きることを選んだプロフェッショナルたちは、どんな道を歩き今に辿りついたのか?どんな喜びやプレッシャーがあるのか?写真の見方が必ず変わる特集です。