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【写真家が写し出す印象的な「肌」の世界:4】大辻隆広

人の素肌を美しく、印象的に切り取る写真家5名の作品をご紹介。
ヌードからパーツまで、それぞれの表現方法、さまざまな解釈、被写体との多様な向き合い方の中で写し出された、個性溢れる「肌」の世界へようこそ。
4人目は、今っぽいフレーバーで被写体を切り取るPhotographer、大辻隆広さんです。

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大辻隆広

Photographer 福井県出身。go relax E more所属。 石黒幸誠氏に師事後、2007年独立。現在は雑誌や広告をはじめ、写真展やプロダクトの製作など、ブランドや企業とのコラボレーションもたびたび発信している。
愛用カメラ:Canon EOS 5D Mark Ⅳ、PENTAX 645N、FUJIFILM NATURA CLASSICA
愛用レンズ:Canon EF50mm F1.2L USM/EF 40mm F2.8 STM、smc PENTAX-FA 645 75mmF2.8

PUPA. さなぎが蝶になる直前を捉えて

モデル・モトーラ世理奈の10代最後のうぶさや危うさを

「モトーラさんとの出会いは彼女が高校生の時。あどけなさが残る10代の“今”を写真に収めたいと思い、プライベートでもよく撮影させていただいていました。彼女は自分が写真に写る姿が俯瞰で見えているのだと思います。こちらが求めているものを即座にキャッチし、同時に自分の中で解釈し、期待以上の表現をしてくる。きっと彼女を撮影するカメラマンは自分の写真が上手くなったと錯覚してしまうぐらい、その表現力はズバ抜けていますね。撮っているというより、撮らされてるという感覚に陥ることがあるくらい完璧な被写体です」。

あどけなさが残るティーン特有の肌の質感を意識

「フラワーアーティスト宇田陽子氏との企画で花とコラボして撮影することになり、その際のモデルにモトーラさんを起用。イベントでは写真9点を展示したのですが、撮影した写真は膨大な量だったので、より多くの写真を世に送り出したいということで写真集にすることになりました。
タイトルの『PUPA.』は写真集を制作するにあたり、ディレクションに入ってもらったアートディレクターさんから提案していただいたもの。その時すでに撮影を終えていた私にとって、PUPA.(さなぎ)が被写体のイメージにピッタリで、ピューパという音の響きも完璧だと感じ、即決しました」。

「今回の写真集は、宇田さんとのコラボ企画がすべての始まりなので、自然な流れでテーマは花に。花がモトーラさんに寄り添い、彼女が花を吸収し一体化する。この感じを常に念頭において、衣装を決め、花と絡める演出を考えました」。

「裏テーマとしては10代最後の彼女を写し出すことでしたので、10代特有の肌の質感を意識。基本的には柔らかな自然光が間接的に肌に当たるように調整して、ライティングしています。今回の写真でモトーラさんのさなぎ部分を思う存分楽しんでもらい、いつか蝶になり羽ばたく姿を想像し、感じてもらえたらいいですね」。

写真集『PUPA.』
Photographer 大辻隆広
Model モトーラ世理奈
Art director 小酒井祥悟
Flower artist 宇田陽子
Stylist 番場直美
Hair makeup 村上綾、扇本尚幸

こだわりは肌とレンズの距離感。好きなものほど逆に距離をとる

肌に透明感が宿る白い空間で間接的に自然光を当てて肌感をリアルに

素肌とは「産毛の見える質感」という大辻さん。
女性の身体を撮影する時に意識していることとは?
「基本的には肌感をリアルに感じさせたいので強い光よりは弱い光。ストロボライティングよりは自然光。そしてなるべく間接的に当てるようにしています。また肌に透明感がさらに宿るよう、白い空間で撮ること。あとは決められた企画だとしても、なるべく被写体の素の部分が感じられる写真にしたいと考えて撮影しています。被写体には自分が撮りたい写真をできる限り言葉や絵で伝え、撮り始めてからはゴールに向かうまで、ほとんどコミュニケーションは取りません。無言で撮り続け、お互いの想いが合致した瞬間が見えた時、撮り終えます。レタッチもディテールを壊さないようにするぐらい。ファッション撮影とは違って、撮影時にほぼ完成形に持っていくようにしています」。

素肌を美しく撮るためのこだわりは、肌とレンズとの距離感。
「好きだと思うものほど、逆に距離を取るように心がけています。肌に限らず、人物を撮る時は、相手に踏み込み過ぎず、一定の距離感を保ち、写真を撮ることを目的としないことが必要。そうすることで、被写体から溢れ出す魅力を自然と引き出し、気づき、結果的に写真に捉えることができるのだと思います」。

#俺なりのエロ をエッセンスとして忍ばせる

「女性の身体や肌を撮るような撮影では、常に自分なりのエロさを感じることができるような表現を心がけています。エッセンスとして、写真に若干その匂いを忍ばせるように」という大辻さん。
雑誌やSNSでは #俺なりのエロ という企画も。

「自分にとってエロでも、他人から見れば普通に見えることがある。この歪みが面白く、ならば自分のフェチ部分を思いきり表現したいということで、この企画が始まりました。今では一体どこがエロなのか?という、見た人に考えさせるクイズのように進化していて、撮っていて楽しいですね」。

大辻隆広 Instagram

GENIC vol.62 【印象的な「肌」の世界】
Edit:Yuka Higuchi

GENIC vol.62

テーマは「素肌と素顔を写す」。
人の美しさを大切に写しとった「素肌」と「素顔」の世界をお届けします。「性」ではなく「生」を感じる、神秘的で美しい森に迷い込んでしまったような写真たちと、そこにある撮り手の想いに迫ります。

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