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モロッコを旅したフォトグラファー 安藤マミコ
安藤マミコ
フォトグラファー 埼玉県出身。二児の母。結婚・出産後かねてからの趣味だった写真を本格的に始め、活動を開始。現在はポートレートを中心に、メディア、広告、ファッションなど活動の幅を広げている。
愛用カメラ:Sony α7 IV、Nikon New FM2、CONTAX T2
愛用レンズ:AI Nikkor 50mm f/1.4S、Sony Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
フェズってどんな場所?迷路のように入り組む旧市街はまさに迷宮都市
第3回は、モロッコ中部に位置する“迷宮都市”フェズ(Fès)。近代的な街並みが広がる新市街もある一方、旅人を魅了するのは世界遺産の旧市街(メディナ)「フェズ・エル・バリ」。細い路地が迷路のように入り組み、歩くたびに新しい景色が現れます。歴史と文化が凝縮された街並みは、モロッコ観光でもよく知られたエリアです。
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フェズの旧市街散策。迷宮の街「フェズ・エル・バリ」を歩く
カラフルな布と刺繍に誘われて
「フェズ・エル・バリ」の市場(スーク)を歩いていると、色とりどりの糸や布、刺繍が施された靴が目に飛び込んできます。鮮やかな色や手触りの異なる素材が並ぶ様子は、見ているだけで気分が明るくなるもの。日々の暮らしの中で育まれてきた人々の美意識が、静かに息づいています。
細い路地が入り組み、歩いていると本当に迷子になりそうなメディナ。道沿いには驚くほど多くのお店が途切れることなく並び、食材や生活用品、布や革などがところせましと売られています。ここが人々の暮らしを支える場所なのだと、歩きながら実感しました。
金物が光る路地で
「フェズ・エル・バリ」の市場(スーク)では、鍋ややかんといった日常の道具から、模様を施したランタンや飾り皿まで、さまざまな金物が並んでいます。職人が磨き上げる銅器は、食卓を支える実用品であると同時に、光を受けて輝く装飾品としても目を楽しませてくれます。暮らしに必要なものと、眺めて楽しむものが同じ場所に集まり、市場の奥深さを感じさせます。
フェズの職人仕事。角から生まれる道具たち
「フェズ・エル・バリ」の市場(スーク)の一角では、角を削って道具をつくる職人の姿が見られます。小さな作業台で研磨機を操り、櫛やカッサ、靴べらなどを丁寧に仕上げていく様子は、素材への深い理解を感じさせます。並べられた品々は形も用途もさまざまで、暮らしの中で役立つ実用品でありながら、手仕事ならではの温もりをまとっています。金属の市場とはまた違う、静かな魅力が漂う空間です。
牛の角や骨を削って道具をつくる職人は、フェズでももう二人しか残っていないそうです。ここでカッサと靴べらを購入しました。市場のあちこちで職人が目の前で手作業をしていて、その場で直接買えることに大きな喜びを感じました。
「フェズ・エル・バリ」の皮なめし場。伝統が染み込む作業場
シュアラ皮なめし場(Tannerie Chouara)は、革製品の産地として知られる「フェズ・エル・バリ」を象徴する場所。大小の染め桶が並ぶ光景は圧巻で、伝統的な製法が今も受け継がれています。
ここで染められた革は、バブーシュ(モロッコの伝統的なスリッパ)などの日常の工芸品に姿を変えるほか、ヨーロッパを中心に世界へも輸出され、街の暮らしと産業を支えています。独特の香りと鮮やかな色彩が、まるで異世界に迷い込んだような雰囲気を生み出し、この街のリアルな息づかいを伝えています。
石灰や動物の皮を柔らかくするための天然素材が使われていて、独特な香りが漂います。入る前にミントを受け取り、鼻に詰めながら見学しました。こうして染められた革が世界へ届けられていると思うと、職人たちの力強い仕事ぶりに改めて感動します。街中の建物の間に突然広がるこのなめし場の光景は、忘れられない体験になりました。
フェズのリアド体験。彩りと温もりのもてなし空間
手から伝わるおもてなしランチ
リアド・エル・アミン・フェズ(Riad El Amine Fès)では、伝統的な建築美に囲まれた中庭でランチを楽しめます。料理を取り分ける所作や、テーブルクロスに施された繊細な刺繍が、食事の時間を特別なものにしてくれます。
幾何学模様に包まれる癒やしの空間
リアド・エル・アミン・フェズは、旧市街(メディナ)に佇む伝統的な邸宅を改装した宿泊施設です。幾何学模様のタイルや手彫りの木製扉、天窓から差し込む光が幻想的な雰囲気を生み出し、職人技と温かさが調和した癒やしの空間を体験できます。
細道の外観からは想像できないほど、中に入ると広々とした中庭が広がるリアドでした。幾何学模様のタイルや木彫など、職人技の細部に心奪われます。ドアや天井、床の一つひとつに感動し、大きな天窓から差し込む光が美しかったです。スタッフやオーナー家族の温かさも心に残りました。
もっとモロッコの魅力を知りたい方は、モロッコ政府観光局の公式Instagramもチェックしてみてください。
協力:モロッコ政府観光局 / Special thanks to The Moroccan National Tourism Office
「フォトグラファーが行く、モロッコ旅行記」全5回。モロッコの旅をたどる
このフォト旅行記は全5回。ラバトからマラケシュまで、モロッコ各都市の記事もあわせてご覧ください。