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【撮影と表現のQ&A】今城純、女鹿成二/Q.カメラマンの師弟関係とは?

さまざまな写真家、フォトグラファー、クリエイターが登場するQ&A企画。
「知ることは次の扉を開くこと」。
今回は、優しい光で詩情豊かに被写体を捉える写真家・今城純さんと、なにげない日常を切り取り優しく写し出す写真家・女鹿成二さん、師弟関係にあるお二人に質問です。

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今城純

写真家 1977年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。横浪修氏に師事後独立。広告、雑誌、CDジャケットほか、ムービーの仕事も手がける。
Web magazine 『IRO to ENSOKU』配信中。
愛用カメラ:ノリタ66、Konica RECORDER、Nikon F-601/D6、Sony α7S III、FUJIFILM GFX100S
愛用レンズ:Noritar 80mm f2、AI AF Nikkor 50mm f/1.4D

女鹿成二

写真家 1990年生まれ、岩手県出身。2011年日本写真芸術専門学校卒業、studio23入社。2014年今城純氏に師事。2017年独立後、写真集や雑誌、CDジャケット、広告撮影など幅広く活動中。2020年クリエイティブユニット「東京讃歌」として写真展「somewhere」を開催。2021年「私が撮りたかった女優展Vol.3」参加。
愛用カメラ:Nikon F6、PENTAX 67II、FUJIFILM NATURA CLASSICA、FUJIFILM 写ルンです シンプルエース
愛用レンズ:AI Nikkor 50mm f/1.4D、SMC PENTAX 67 90mm F2.8

Q.カメラマンの師弟関係とは?

A.お互いをサポートする中で信頼関係を築き、卒業後もその関係性はずっと続く

From 師匠:今城純

「女鹿くんと最初に出会ったのは、彼がstudio23のスタジオマン時代だったのですが、静かで真面目そうな印象でした」という今城さん。

女鹿さんをアシスタントに選んだ理由は、
「スタジオに行った時に何回か(撮影のサポートに)入ってもらったのですが、一生懸命でしたし、当時僕のアシスタントをしていた熊木優くんが『彼は真面目だし、やる気もあるので良いと思う』と推薦してくれたからです」。

弟子時代の女鹿さんの仕事ぶりをお聞きすると、
「やる気がありましたし、作品撮りも早くから積極的にやっていました。現場の立ち回りも上手かったですし、女性スタッフからも人気があったと思います。女鹿くんがアシスタントをしてくれている時は、ストレスが少なく、撮影に集中できていたという記憶が強いです」と今城さん。

現在の女鹿さんの作品の印象は、
「当時から今まで一貫して、透明感のある作品だなと思います」。

では最後に"弟子"の活躍を見て、どんな気持ちですか?
「とてもうれしいですね。基本的に、私の師匠の横浪修さんが自分にしてくれたことを伝えていきたいと思っていますので、活躍ぶりを目にすると、自分が横浪さんから受け取ったバトンを女鹿くんたちに渡せたことにホッともしています」。

From 弟子:女鹿成二

弟子時代を振り返り、
「基本的には任せていただける形だったので、しっかり業務をこなしていれば特に𠮟られることもなく、自分の性格に合っていたかなと思います。言われる前に行動したいタイプだったので。ただ、必要な時には注意や助言をしてくださり、アシスタントのことも気に掛けてくれているんだなと感じていました」と女鹿さん。

師匠から学んだことは、
「まず撮影がとても早く、おした記憶はほぼないのですが、それは万全な事前準備や撮影内容の理解、経験値や引き出しがたくさんあるからこそで、とても勉強になりました。また、当時のフィルム撮影はネガをベタ焼きしていたので、とてつもない枚数を焼きましたが(笑)、その作業で色を見る目を培ったり、構図を見たり、自ずと写真力がついた気がしています。今思うとすべてが自分のためになっていますね」。

カメラマンになるために大切なことを、師匠の背中を見て学んだという女鹿さん。
「作品撮りの時間も考慮していただき、業務と並行してやることができましたし、作品が溜まってきたら、立派なブックを買っていただいたり、独立間近には編集者さんなどと繋いでくださったり、独立の際にはお祝いをくださったりと何から何まで支えていただいて、本当に感謝しかないです」。

そんな師匠との思い出で、特に印象的なのは?
「約3年経ってそろそろ独立というタイミングで、自分がとても浮き足立ってミスが重なり、𠮟られて独立が延期に。
気持ちを引き締めていただき、あの延長期間がなかったら、
と思うくらい大事なターニングポイントになりました」。

では最後に師匠へメッセージを。
「専門学校から写真を学び始め、今城さんとの出会いによって自分の写真人生は大きく変わりました。弟子に就かせていただいたこと、この先もずっと感謝していくと思います。時代は変化していますが、師弟関係っていいなと改めて。今城さん、これからもよろしくお願いいたします」。

女鹿さんお気に入りの、"師匠"今城さんの作品

「アシスタントになって2回目の写真展『pastel wind』(2015年)の作品。この中にお城や街並み、青空と雲、鳥の群れなどいろいろな瞬間が詰まっていながら、説明的すぎず、奥行きと抜け感があり、とても惹かれる一枚です。またこの作品はお客さんからの人気も高く、たくさんプリントを手焼きしたのを覚えています」。

「直近の写真展『slow scent』の一枚。ポラロイドの色味、被写体との絶妙な距離感。写真展全体の中で観ると少し異質な感じがしましたが、だからと言って浮いているわけでもなく、何か足を止める力がある作品だと思います。この写真展で改めて師匠のすごさを痛感し、自然とため息が出ました。自分も頑張らなければ、と」。

「2010年3月、専門学生時代に気になって伺った、代官山GALLERY SPEAK FORでの写真展の作品『over the silence』。当時はまだ写真家さんに詳しくなかったですが、その頃から今城さんの作品に惹かれていたことを思い出しました」。

今城さんお気に入りの、“弟子”女鹿さんの作品

©JUNON

女鹿さんが雑誌で撮影したお笑いコンビ「空気階段」さんの写真。
「お笑い芸人の方のキメカットではない瞬間を可愛く捉えていますよね。それができる距離感をうまく保っているなあと感じました」と今城さん。

「I can see my breath.」

「多分アシスタント時代の作品で、一緒に写真集の撮影でNYロケに行った時のものかと。かなりタイトなスケジュールで自由時間はほぼない中、自分の作品も撮っていたのが偉いなあと思いました」。

Model:鳴海唯
「私が撮りたかった女優展 Vol.3」より

「世の中がなかなか落ち着かない中、良きタイミングを見計らって、北海道まで撮りたい作品を撮りに行った女鹿くん。自腹で責任を負って撮影に行った、その決意と意気込みが伝わってきました」。

今城さんが考える「弟子」とは?

・求める条件・必要な心構えなど

「やる気があって健康であること。絶対にカメラマンになるという強い意志を持っていること。あとは一般常識があって空気が読めることは重要かなと。それはカメラマンになってからも大切なこと。学校ではないので、本人が自主的に吸収していくかどうかで未来が変わってくると思います」。

・師弟関係のよさ

「師匠の仕事の仕方、手の内がすべて見られて、人脈が広がることはメリットになるかなと。こちら側は毎回細かく撮影の仕方を説明しなくてもよいので、撮影に集中できるし、リズムよく仕事が進められます。お互いに信頼関係が生まれるので、卒業後もその関係性が続くのは大きいですね。弟子から学ぶことも多いです」。

・弟子入りを考えている方へのメッセージ

「コミュニケーションをとることはすごく大切になってくるので、いろんな人と話をして、人の話を素早く理解する癖をつけること。写真を撮るだけでなく、人に見せることを意識して、作品制作を行うことが大切かなと思います」。

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GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】今城純、女鹿成二/Q.カメラマンの 師弟関係とは?
Edit:Yuka Higuchi

GENIC vol.67

7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
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