【写真を通して伝えたいこと #7】小関裕太(俳優)

GENIC編集部

若手俳優の枠にとどまらない気鋭の表現者、小関裕太さんに、写真を通して伝えたいことをお伺いしました。

小関裕太

小関裕太 1995年生まれ、東京都出身。2003年にNHK『天才テレビくんMAX』などで子役として俳優業をスタート。その後、ミュージカルや舞台、数々のドラマや映画に出演。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」では個性的な役を演じ、話題に。現在は『来世ではちゃんとします』(テレビ東京)、『旅するイタリア語』(NHK)、に出演中。2020年7月にはミュージカル『四月は君の嘘』の舞台を控えている。

❝”なぜ写真を撮るのか?”の答えは、胸のあたりがすっと楽になるから❞

8歳の頃に子役としてデビューし、これまで数々の舞台やミュージカル、テレビドラマと、着実に俳優としてのキャリアを積み重ねてきた小関さん。
カメラを手にするきっかけとなったのは、17歳の頃に友達が撮っていたフィルム写真の影響なのだそう。

「電線の写真には思い入れがあるんです。もともと空が好きで東京の空をよく撮っていたんですが、どうやっても電線が入ってしまうのが嫌だったんです。その頃、初めての1人旅でNYに行ったら、電線のないきれいな空がたくさん撮れて。とても満足してたんですが、好きだったジャンクフードを毎日食べているうちに、ふと、お米が食べたい、みそ汁や漬物が食べたい、と日本食のシンプルな美味しさが恋しくなって。そしたら写真も東京らしいところを撮りたい、と気付きがあったんです。それで、日本に帰ってきて空を見上げたときに、当たり前のように電線があって、”あ、これって東京らしさだったんだ”と実感しました。それ以来、あえて電線を入れた”デザイン写真”を撮るようになりました。僕の好きな東京の空です」

「写真やカメラに興味を持って自分も撮りたいと思ったとき、初心者でも偶然に任せて素敵な写真が撮れるフィルム写真よりも、一度デジタルで勉強して撮りたいものが撮れるようになってからフィルムカメラでちゃんと撮りたいと思ったんです。それで初めて手にしたのが今も愛用するデジタル一眼カメラのFUJIFILM X-E2でした。それまではスマホで撮るのが当たり前だった僕にとって、初めてファインダーを覗いて写真を撮ったときの感覚がまったく違い、衝撃を受けたのを覚えています。デジタル一眼カメラは、明暗、色味、絞り、ISO感度、画角、ズームインズームアウトも自分の好みの写真が撮れる。それが、写真に自分の性格を写しているように感じたんです。僕は、自分を知りたい、自分探しをしたいと思ったときは、よく音楽を作ったり本を読んだり、旅に出たりします。写真を撮るということは、それと一緒だなって思いました」

恵比寿駅近くにあるえびすストアのネオンの”えび”だけを捉えた1枚。「外国人の目線になって、えびって何だろうって調べてみるとシュリンプって出てくるけど、実はえびすの”えび”というところがポイントです」

何かに悩んでいても写真を撮ると答えが見つかる。“わかるよ”って写真が代弁してくれているような

「“なぜ写真を撮るのか?”と聞かれたら、胸のあたりがすっと楽になるからと答えます。深呼吸している感覚で、居心地がいいんですよね。例えば何かに悩んでいるときに写真を撮ると答えが見つかるというか、“わかるよ、それってこういうことだよね”って写真が代弁してくれている気がして。僕の場合、言葉じゃなくて写真なんだなと思います」

「撮った場所は覚えていませんが、広く果てしない空に自由を感じました。青いキャンバスにアクセントとなるトンビが写り、個性ある写真が撮れました」

写真を撮り始めた頃は、手紙を書くときに贈る相手のイメージに合わせて撮った写真でポストカードを作っていたという小関さん。徐々に写真を撮っていることが知れ渡り、先日、自分の写真に自信を持てるようになった素敵な出会いがあったのだそう。
「銀座蔦屋書店の写真コンシェルジュの番場文章さんとトークショーをする機会があり、『小関君の写真はデザイン写真だね、平衡感覚がいいね』といってもらったことがあって。それまで自分の写真に自信がなかったんですが、デザイン写真って名前を付けてもらったことによって自分を表す言葉が見つかり、それからさらに写真を撮ることが心地よくなりました」

「京都を訪れたときに、駅のホームでふとした瞬間の自分を撮った1枚です」カラーとモノクロの2枚を並べてレイアウトすることでデザイン性を感じさせる。

自分が撮る写真に対してさまざまな思いの変化を経て、昨年11月には自身初の写真展に挑戦。爽やかな印象の中に秘める、ものづくりへの熱い思いを語ってくれた。
「毎年何か1つものづくりに挑戦すると決めているのですが、去年は今まで憧れだった写真展に挑戦しました。撮影場所に選んだのは、いろいろなタイミングが重なり魅力を感じていた北欧の国フィンランド。 そこで撮影してきた写真をどう展示しようとか、どの写真を大きく伸ばそうとか、実際に取り掛かってみたらすごく楽しかったんです!写真って平面なのに、それを立体的に色づけていく空間デザインが面白く、自分の表現の幅が広がりました」

「茶色の枝から1本だけ黄色い枝が生えているのを見て、小さい頃に読んだ絵本の『スイミー』を思い出して撮りました」

感情が動く写真を届けたい

最後に今回のテーマ、小関さんは写真を通して何を伝えたいのか?と問うと。
「エンターテインメントになるような写真、感情が動く写真を届けたいです。先日、アーティスト高橋優さんの喜怒哀楽のあるライブに行ってすごく感動したんです。笑顔になる曲に怒りに共感してしまう曲、涙してしまう曲があって、感動するライブってこういうことなんだと思いました。感情を動かすと書いて“感動”。次の写真展は未定ですが、そのときには僕も感動する写真を撮って、みなさんに届けられたらと思っています」

「丸々っとカットされた植木が整列している様子に惹かれて撮影」並ぶ姿を平面で捉えた構図がデザイン的。

❝デザイン写真という名前を付けてもらったことによって、自分の写真を表す言葉が見つかった❞

「憧れのNYで憧れのジャズバーに行って撮ったワイングラスの写真です」
店内の照明がグラスに反射し、屈折した線を描く様がデザイン的。

「NYの空港を出たときに目に入ってきたのが、注意喚起の黄色。勢いのまま旅を始める、僕のスタートテープでした」

「白黒写真を撮りたくて、ファインダーを覗いたときに目についた横断歩道を撮りました。のんびりとした人々に踏まれる横断歩道だけを切り取ると、重々しく、鋭い印象に」

「晴れの日に置いてけぼりにされた傘は、人間からしてみると一見寂しそうにも見えるんですが、見方を変えるとそんなことにも気付いてない傘というのが面白くて撮りました」

今回の撮影にも使用したFUJIFILM X-E2

仕事の現場で、素敵に撮ってくださるカメラマンさんがサブで使っていたのが、FUJIFILM X-E2。使わせてもらったらすごく良かったので、初めてのカメラとして購入しました。フィルムカメラは、ミノルタとロモの2台を愛用。今ではフィルムとデジタルを撮りたい物によって使い分けています。

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