角田憲介
会社員 1968年生まれ、千葉県出身。ミニマル写真を日本人の手によりフィーチャーするInstagramアカウント @_indies_minimal の代表。#ザ壁部 の副部長としても活動中。カメラ歴は通算15年ほど。
愛用カメラ:iPhone11
“わびさび”を表現する場所
「最小限」の中で、色や形の美しさ、面白さを伝えたい
「外壁の色合いや形からカニカマをイメージ。バルコニーの丸型避難ハッチが交互に並んでいて、まるで目がキョロキョロしてるよう。縦構図にしてベランダの配列の繰り返しの面白さを出しました」。
ミニマル写真だけを取り上げるアカウント@_indies_minimalの代表でもある角田さんが、ミニマル写真を撮り始めたのは、2012年にInstagramを始めてしばらく経ってから。
「写真をスクエアの画面に収めることがとても新鮮だったのを覚えています。それから、現在まで、ミニマルの一般定義である“最小限”で、ものの色や形の美しさ、面白さを伝えたいと思って撮影しています」。
「御茶ノ水駅前の建物の、計算されていないであろう虹色の配色の面白さを切り取りました」。
水平・垂直・正対が ミニマルのキーワード
「街中を歩いていて気がつくと“色”を探していることが多いんです。色を見つけたら、そこからさらに面白い形や構図を探り出しています。こだわりは水平・垂直を意識しつつ、被写体に対してなるべく正対して撮るということ。子供が家やビルの絵を描くときに、アイコンのように表現したりしますが、そのような純粋な視点で写真を撮りたいと思っています。私にとってミニマル写真は、自分が日本人として持っている美意識"わびさび"を表現する場なんです」。
「各戸のベランダや、外壁のランダムな暖色と寒色、窓や開口部の四角形の表情に惹かれました」。
「縦長の変則的な市松模様の外壁に、非常用進入口前のバルコニーや隣接の建物の影が斜めに映っていて、その対比が面白い」。
インパクトを出すために横写真を縦にして見せることも
「緑と赤。外壁に補色を大胆に使いながらも色の境界はフリーハンドのようなやわらかい繊細さがあって、人間味を感じました。Instagramでは、横構図は被写体が小さくなりインパクトのない写真になってしまうので縦向きにして投稿しました」。
GENIC VOL.60 【ミニマルに切り取る日常】
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC VOL.60
特集は「とある私の日常写真」。
当たり前のようでかけがえがなく、同じ瞬間は二度とないからこそ留めておきたい日常を、表現者たちはどう切り取るのか。フォトグラファーが、クリエイターが、私たちが、それぞれの視点で捉えた日常写真と表現、そしてその想いに迫ります。