ジョシュア・チュアン(Joshua Chuang)プロフィール
1976年 ニューヨーク生まれ
2007年、イェール大学アートギャラリーにて初の写真キュレーターに就任し、ロバート・アダムスの巡回回顧展「The Place We Live」を企画、 同校におけるリー・フリードランダーのアーカイブに尽力。2014年、アリゾナ州ツーソンにあるセンター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィーのチーフ・キュレーターに任命される。2016年にはニューヨーク公共図書館のアート部門を率いることになり、アナ・アトキンス、タリン・サイモンの展覧会を企画。川田喜久治の『地図』(マック、2021年)のマケットのファクシミリ版をMACKと共同出版した。2006年以降、ロバート・アダムスと「Boats, Books, Birds」など20冊近い出版物でコラボレーションしている。
ロバート・アダムスの木製のオブジェを即興で撮影
写真家であるロバート・アダムスは、作品制作の傍ら、ボートや本、鳥の木彫作品を作り続けてきました。何十年もの間、アダムスと彼の妻が自宅の壁や棚に飾って、ときどき移動させながら一緒に暮らしていたという愛らしい木彫の数々。本展では、2017年からアダムスの誘いにより、それらを撮影したチュアンの写真作品が展示されています。
それは2017年、ロバート・アダムスが長年にわたって作ってきた木製のオブジェを記録するために、彼の住んでいるアストリアまで飛んでくるよう私を誘ったことから始まった。2006年に彼と知り合って以来、何度もこの家を訪れ、家のあちこちでそのオブジェを目にしてきたし、数年後に私が企画した彼の回顧展にもいくつかの作品が含まれていた。
ボブ(ロバート)がオブジェを写真に撮って欲しかったのは、これらの多くをイェール大学のアーカイブに加える予定だったからだ。彼は単に記録するだけでなく、何十年もの間、彼と彼の妻が自宅の壁や棚にそのオブジェを飾って、ときどき移動させながら一緒に暮らしてきたこの場所で、写真に撮って欲しいと願ったのだ。
私は夏と秋の2回にわたり撮影をした。印象的だったのは、ボブがまだガレージの作業台で何かを作っていたことだ。彼にとっては、写真制作と対をなす重要なものであり、思いがけないようでも当然のことでもある、世界の愛おしいものたちとの別の関わり方なのだと思った。私はそれを写真で表現しようとした。
大学で写真を学び、ニューヨークの美術館で個展を開いたこともあるが、その頃には、自分よりはるかに偉大なアーティストとのコラボレーションにエネルギーを注ぐチャンスと、こうした野心を引き換えにしたのだ。
写真を撮ることをやめたことはなかったが、久しぶりにクリエイティブな仕事を引き受けた。ボブも私も、スタンドに沢山のライトや反射板を載せて、彼の質素なリビングを占領するような大がかりな写真撮影をしようとは考えていなかった。そこで、私は最も目立たない機材、小型デジタルカメラ、三脚、手持ちのレフ板を持って行った。そして、彼の奥さんが書道用品を買っている地元の画材屋に行って、背景に使う薄いグレーの紙を買い、カーテンを引いた出窓をソフトボックスのように使った。
それはとてもアマチュア的な作品だった。カタログ用の写真を撮るために、私たち二人を雇う人はいないだろう。我々は、家にあるものを使って、即興で撮影をしながら、どうすれば良いかを考えていった。(ボブが三脚を安定させるために、写真集の束で三脚を支えているユーモラスな写真がある。)
しかし、これらの写真には、私たち二人に語りかけてくるような、素朴さがある。
ジョシュア・チュアン
ジョシュア・チュアン 展覧会「Boats, Books, Birds」情報
開催日時
2024年2月28日(水)~4月8日(月)11:00~18:00
休館日:日・祝日
入場料
無料
会場
PGI
〒106-0044 東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F
行き方・アクセス
<電車>
地下鉄大江戸線「赤羽橋駅」から徒歩で約5分
地下鉄大江戸線・南北線「麻布十番駅」から徒歩で約8分
日比谷線「神谷町駅」から徒歩で約8分
- 【お問い合わせ先】
- PGI
- www.pgi.ac