横浜から札幌まで、迷いと共にバイクで駆け抜けた1500キロメートルの記録
『call, overhaul, and roll』は写真家・小見山峻による約4年ぶりの写真集。
効率の良さが圧倒的正義になりつつある現代社会の中で「迷う」ということのポジティブな意味を追いかけ、実際に自らが、ならば迷うだけ迷ってみせよう、という決意のもと自身の住む横浜から札幌まで、バイクに跨り、彷徨い寄り道を繰り返しながら走り抜けたロードトリップの一部始終です。
閉塞した社会からの脱出、死別した親友への葬い、徹底的な物理的孤独への願望、そしてバイクだからこそ感じられる風の肌触りへの欲求...。
様々な感情に後押しされ飛び出したこの旅は、写真家ではなく一人の人間としての逃避行であり、撮影をすることは目的としてはいなかった結果、記録として残していたこれらの写真たちは、これまで以上に純粋な好奇心を浮き彫りにするものたちとなっています。
粛々と積み重ねられてゆく旅の景色に、音楽家TAIHEIによる書き下ろし楽曲、音楽ジャーナリスト有泉智子とファッションデザイナー吉田圭佑による寄稿文が彩りを添えた、1500キロメートルの記録写真集です。
いつの間にか、道を間違えることや遠回りすることを悪手かのように避けてばかりの毎日になっていました。迷うことなんて、下手をすれば食事の回数よりも多い代謝のひとつだと言うのに。ならば今こそ迷えるだけ迷ってみせようと。馬鹿げた時間の使い方に踏み切ったのです。思いつきのような衝動に駆られ、バイクのハンドルに安物の方位磁針を取り付け、それを頼りに北を目指しました。
写真を生業にして、あれやこれやと格好をつけ、撮る理由をでっち上げている毎日ですが、その実、つまるところは「僕はここにいた」と伝えたいだけ。
何事もなければ、まだ何十年と生活は続いてゆくと信じています。
その折々で、「僕はここにいた」をただ愚直に積み重ねていくのでしょう。この本のように。
踏み出せない誰かに、何故か帰りたくない夕方に、太陽がもどかしい朝に、毛布にしがみつく真夜中に、道に迷うあなたに。
そして天国にも届くよう願いを込めて。
小見山 峻
「call, overhaul, and roll」
<通常版>
A5版ハードカバー上製本
216ページ(図版134 点+テキスト6p)
限定1000部
3,900円+税
<プリント付き特装版>
A4サイズ 30,000円+税
A3サイズ 50,000 円+税
写真:小見山峻
テキスト:有泉智子(MUSICA 編集長、音楽ジャーナリスト)、吉田圭佑(KEISUKEYOSHIDA デザイナー)
音楽:Taihei Sakurauchi
デザイン:泉 美菜子(PINHOLE)
印刷:藤原印刷株式会社
PINHOLE BOOKS 限定特典
<通常版特典>
1:作者による旅行記(A3 サイズ4 つ折り両面印刷) 約12000 字
2:本文刷り出しを再利用した缶バッジ
<特装版特典>
1:作者による旅行記
2:本文刷り出しを再利用した缶バッジ
3:オリジナルプリント(インクジェットプリント、プリントのみ)
※プリントは写真集の収録作品から注文後に指定・連絡してください。
A3サイズ付き 55,000円(税込)/A4サイズ付き 33,000円(税込)
各カットのエディションはA3サイズの場合5まで、A4サイズの場合10までです。
発売記念展示 情報
東京POP UP in 代官山蔦屋書店
開催日
2022/11/1
会場
代官山蔦屋書店
〒150-0033 渋谷区猿楽町17-5
札幌個展『call, overhaul, and roll』
開催期間
2022/11/19~12/3
会場
アートギャラリー「ie」
〒064-0808 北海道札幌市中央区南8条西1‐13-76
東京個展『call, overhaul, and roll』
開催期間
2023/1/12~1/31
会場
BOOK AND SONS
〒152-0004 東京都目黒区鷹番2-13-3 キャトル鷹番
名古屋個展『call, overhaul, and roll』
開催期間
2023/2/4~2/19
会場
C7C gallery and shop
〒464-0858 名古屋市千種区千種2-13-21
京都POP UP in haku kyoto
開催期間
2023/2/23~2/26
※小見山峻、在廊予定
会場
haku kyoto
〒600-8032 京都府京都市下京区中之町566
小見山峻 プロフィール
写真家。神奈川県横浜市出身。「現実の出来事に対する視点を記録する」という写真の本質を突き詰め、コンピュータによる合成加工などに頼ることなく、グラフィカルな世界を建築する。2018年JWアンダーソン主催の“YOUR PICTURE/ OUR FUTUR E”にて日本人で唯一ファイナリストに選出されるなど、海外からの注目も集め、同年に初の写真集「hemoglobin」を出版。主な個展に同名の「hemoglobin」、「冴えない夜の処方箋」、KYOTO GRAPHIE KG+「なにものでもないものたちの名づけかた」など。2021年に渋谷PARCO 10F屋上スペースを全面的に使用した大規模インスタレーション展示「風が応える」を開催するなど、常に「写真」でありながら、そのアウトプットは多岐にわたる。