【表現者たちが撮るおいしい写真 #3】吉村結生

誰かと何かを食べる時、そこには五感で感じる交流が生まれる。
一人で何かを食べる時、気がつけばその時間までもがとっておきになっている。だから、「おいしい」の解釈は面白い。
「表現者たちが撮るおいしい写真」#3では、スタイリストである吉村結生さんの思う「おいしい写真」を見せてもらいました。

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吉村結生

スタイリスト 衣装、小道具、インテリア、フードなど暮らしにまつわるスタイリングを生業とし、独自のトーンバランスを大切にしながら撮影における様々なシーンの提案を行う。TVCM、企業広告、WEB、カタログなどの写真や動画撮影で幅広く活躍。

幻みたいな本当を探して

「2020年で活動を終えたhoriecoさんのクッキーたちは、今となっては世の中の誰もがもう2度と出逢うことのできない幻のお菓子。一つ一つに名前と説明があり、そんな素敵なお菓子が生きているような感覚で伝わると良いなと思って撮りました」。

写真を見るたびに、もう一度食べたいと心が躍る

静謐で繊細なスタイリングが見るものを惹きつける吉村さん。自身で撮影するのは自宅のテーブルシーンが多いそう。
「自分だけが見ている状況を記録したくなります。だからひとりで過ごしている時間に写真を撮ることが多いですね。逆に、店舗や外食ではほとんど撮りません。他者がつくり出した大切な場だと思うので、どんなに素敵なお店もおいしい料理も、勝手に切り取ってしまうことに抵抗があります」。

「まあるい雪のようなブールドネージュがおいしくて、真俯瞰から撮影。サックリとろけそうな冬の夜のお茶時間」。

「梅雨の時期、テーブルに転がった果物。雨の日の情景と相まって、まだ皮を剥く前なのに瑞々しさを想起させる。私の写真はカラースキームにクセがあり独自のトーンになるのですが、どこかその時の心情が現れるように思います」。

リアルよりもワクワクする写真を目指して

吉村さんにとっておいしい写真とは?
「近くにありそうでなかなか見つけられない貴重な瞬間を記録したもの。全ての食べ物はいずれなくってしまいますが、必ず作り手が存在します。だから、愛おしい瞬間が必ずあると思う。それをとらえられたら最高です。食べ物に限らずですが、私はリアルよりもワクワクが勝る、”幻みたいな本当”を写真で伝えたいと思っているんです」。

「アーモンドが好きすぎて、ふんだんに取り入れたアーモンドケーキを自作。唯一無二の風貌で完全オリジナルゆえ、とても愛おしいものです。作って、さあ食べようとテーブルに置いた瞬間を撮った一枚」。

「クリスマスシーズンの植物。実際に食べることはないものですが、おいしそうに見えるものばかり。画像の加工はしていますが、潰れてしまわないよう、柔らかく、立体感が細部まで伝わるように心がけています」。

「春は散歩に出たくなります。摘み始めたら止まらなくなってしまう可愛らしい野花。家に帰って空き瓶いっぱいに活けました。集まった様子がふんわりおいしそう」。

吉村結生 Instagram

GENIC VOL.58 【表現者たちが撮るおいしい写真】
Edit:Yoko Abe

GENIC VOL.58

テーマは「おいしい写真」。
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