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プロフィール
師匠:横浪修 / 所属:横浪写真事務所
リン・イーリン
1995年生まれ、香港出身。カメラ歴13年。大学では広告デザインを専攻。2018年、横浪写真事務所でインターンとして学ぶ。インターン終了後、香港に戻り、広告代理店でアートディレクターとして2年間勤務。退社後、香港にてフリーランスフォトグラファーとして1年間活動。その後、日本語学校に1年ほど通い、2023年から横浪写真事務所でアシスタントとして勉強している。
愛用カメラ:Canon F-1、PENTAX 67、Canon EOS R5、LEICA minilux
愛用レンズ:EF50mm F1.2L USM
写真家アシスタントに聞いた「今と夢」
横浪さんから学びたい、横浪さんの考えを知りたくて香港から来ました
「『TOKYO ART BOOK FAIR』にてブースのお手伝いをしたとき。横浪さんのブースで私たちアシスタントも、自分たちのZINEを販売させてもらえて光栄でした。読者の反応を見るのは楽しかったし、素晴らしい経験でした」。
Q.現在のアシスタントに就くまでのヒストリーを教えてください。
18~19歳:香港理工大学 マルチメディアのデザインとテクノロジー専門学科
19~22歳:香港理工大学 デザイン学院 広告デザイン学科
21歳:UALロンドン芸術大学 広告学科に留学
23歳:横浪写真事務所にてインターンシップ
24~26歳:香港の広告代理店TURNのアートディレクター
26~27歳:香港にてフリーランスフォトグラファーとして活動
27~28歳:東京の日本語学校に留学
28歳(現在):横浪写真事務所に所属
Q.香港から来日した理由は?
大学時代に“わびさび”という日本の美意識の概念に初めて出会い、大きな刺激を受けました。そこから日本のクリエイティブプロセスや発想について気になるようになりました。ちょうど大学卒業の直前で、日本について詳しく探求するなら社会人になる前のタイミングがいいのではと思い、来日しました。
「横浪さんが『TOKYO ART BOOK FAIR』に出店する際、横浪さんのZINEを作るために、レイアウトやポスターなどを一緒に相談して作りました。楽しかったです」。
Q.今の会社、今の師匠に就いた理由は?
大学卒業の頃、横浪写真事務所でインターンをする香港の友人の話を聞いて、写真家から写真を学びたいなと思うようになりました。それが横浪さんにコンタクトを取ったきっかけです。私は横浪さんの写真が好きなので、横浪さんから学びたい、考えを知りたいと思ったんです。日本では外国人をインターン生として受け入れる事務所が少ない中、今与えていただいている機会にとても感謝しています。仕事に対する姿勢や、人との接し方などにも見られる謙虚な姿もとても尊敬しています。何ヶ月か勤務したのち、横浪さんのアシスタントの証であるヘアバンドをつけてもらいました。
Q.アシスタント仕事の中でどんなときに喜びを感じますか?
たまに先輩方が事務所に来ることです。
香港ではそういった先輩後輩関係があまりないので…。横浪写真事務所はまるで家族みたいです。困ったときには、みんなからアドバイスをもらったり教え合ったりしています。
Q.師匠からいただいた、一番響いた言葉は?
「やるなら今しかねえ」
Q.アシスタントとして一番印象深い仕事はなんですか?
あるアイテムの撮影中、トレイにパンくずが少しついていたので、アートディレクターに取り除く必要があるかを聞いたら、「いいえ、かわいいですから」と言われました。そのとき、“完璧すぎるのは不自然で、不完全さがちょうどいいかわいさ”だということに気付きました。香港で行なわれるほとんどの撮影は、足し算のように計画されます。それと比べて、横浪さんの現場はいつもナチュラルな状態で撮影をする、余計な要素を引いていくような印象です。すごいと思います。すごく勉強になりました!
「〈umeboshi, black garlic〉香港のProject B、TheM+ショップの<食で繋がる>アート企画と、『TOKYO ART BOOK FAIR』のために製作したZINEに掲載。日本食材の独特な質感や鮮やかな色から連想して撮影しました。日本でひとり暮らしをしている今、料理をするときは日本ならではの美しい野菜に惹かれます」。
Q.香港ではどんな仕事をしていましたか?
4ヶ月のインターンシップを終えて、私は言葉の制限のために周囲とうまくコミュニケーションが取れないことに気付きました。日本語を勉強するお金を貯めるために香港に戻り、広告会社でアートディレクターとして2年間働きましたが、デザインを作ることよりも撮影するプロセスのほうがワクワクすることに気付いたんです。そして、コロナに罹ったときに、時間を有効に使わなければならないと気付き、すぐに東京の語学学校に申し込み、日本に来る道を選びました。
Q.将来どのようなフォトグラファーになりたいですか?
失敗を恐れず挑戦し続けるカメラマン。
GENIC vol.70【写真家アシスタントに聞いた「今と夢」】
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC vol.70
2024年4月号の特集は「撮るという仕事」。
写真を愛するすべての人に知ってほしい、撮るという仕事の真実。写真で生きることを選んだプロフェッショナルたちは、どんな道を歩き今に辿りついたのか?どんな喜びやプレッシャーがあるのか?写真の見方が必ず変わる特集です。