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プロップ&フードスタイリストの“自分を緩める場所” つがねゆきこ | 連載 仕事と生活がリンクする “〇〇屋さん”の暮らしの風景

仕事をすることと、暮らすこと。かけ離れている人もいれば、ふたつがお互いに関係しあい、ひとつの人生のようになっている人もいます。そこには、より良い暮らしのヒントが隠されているかもしれません。“〇〇屋さん”の暮らし、を見せていただきました。全4回の連載、第4回はProp&Food stylistのつがねゆきこさんです。

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プロフィール

つがねゆきこ

Prop&Food stylist 広告、書籍、雑誌などで食を中心に、暮らし周りのスタイリングを務める。国内外の老舗メーカーのスタイリングを始め、2016年より『VERMICULAR 新商品公式レシピブック』のスタイリングを担当。京都の陶芸ブランドTOKINOHAによる写真集『TOKINOHA』では企画・スタイリングを担当。
愛用カメラ:Sony α 7II
愛用レンズ:Sonnar T*FE 55mm F1.8 ZA

プロップ&フードスタイリストの1日

(午後から撮影の場合)
06:00 起床・支度
07:30 朝食
08:00 リースショップへ小物のセレクトに行く
12:00 スタジオ入り、撮影
18:00 帰宅・夕飯
23:00 就寝

プロップ&フードスタイリストの“自分を緩める場所”

自分の“心地よい”に正直でいたい

「うちのコはリビングで一番光が集まる場所をよく知っています」。

「どこか色を締めたくなって、低めの食器棚を白から黒に塗り替え。重心が落ち着きました」。

「撮影用に用意した桜。役目を終えても咲き続ける様を残した1枚」。

「食器棚を黒くするきっかけにもなったArtekのテーブル。FRITZ HANSENのヴィンテージセブンチェアと新しいArtekのドムスチェアを合わせています。リノリウムの天板は光の吸収が柔らかいなと思います」。

「ある日の食卓。盛りつけながら撮りたくなる瞬間があります」。

「撮影用の雲龍柳を見つめる猫。組んだまま残っていたアンティークのヘリンボーン材を壁面に。部屋の中でこだわったパーツの一つ」。

日常の写真を振り返ることで、人生を俯瞰し立ち止まることができる

「最近メインとしている仕事は、企業の作る商品や、書籍・雑誌のページスタイリング、また窯元の取材&撮影企画、スタイリングなどです。もともと器やモノの魅せ方を考えるのがとても好きだったのでこの職業を選びました。クライアントの意図を汲みとりつつ、そのものの一番良い表情を見つける瞬間が面白いと思っています。それを表現するためのステージやプロップを用意するのですが、想像を巡らすのが楽しいです。最終的にはプロのカメラマンさんが撮ってくれてより良い作品が完成する。良い瞬間を求めて進める撮影は、まるでセッションのようです。プライベートで散策をする中で、植物、鉱物、アートの観察をすることが仕事にも役立っていると感じます。自宅の部屋作りをするときに大切にしていることは『全てを新しくしない』こと。骨董やアンティークを取り入れて“古き良き”を残す。同時に、フラットな部分を残し、新しいものが浮かないようにもしています。自分の“心地よい”に正直でいたいので、家は心身共に“自分を緩める”場所でありたいと思っています」。日常の中で撮りたくなる被写体は?「食卓はもちろん、猫と子供が絡んでいるのを見るとそのシーンを撮りたくなります。暮らしの中で写真を撮るときにはできるだけ飾らず、ありのままを活かしたいと考えています。日々の移ろいを写真に残すと、それを見た瞬間その時の情景がぶわっと頭に浮かびます。そうやって立ち止まって自分を俯瞰して見る時間は尊く、日常の写真があることで立ち止まるきっかけになっていると感じます」。

GENIC vol.74 仕事と生活がリンクする “〇〇屋さん”の暮らしの風景
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.74

2025年4月号の特集は「It’s my life. 暮らしの写真」。

いつもの場所の、いつもの時間の中にある幸せ。日常にこぼれる光。“好き”で整えた部屋。近くで感じる息遣い。私たちは、これが永遠じゃないと知っているから。尊い日々をブックマークするように、カメラを向けてシャッターを切る。私の暮らしを、私の場所を。愛を込めて。

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