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プロフィール

Amatou
写真家 1995年生まれ、千葉県出身。非現実的な都市景観の表現をコンセプトとしたファインアートフォトグラフィーをメインに撮影。International Photography Awards、Sony World Photography Awardsをはじめ、国際的写真コンテストで数多くの上位入賞を果たす。YouTubeでは視覚芸術の可能性を探求し、写真がもつ表現力を視聴者に発信。
愛用カメラ:Sony α7R V、Hasselblad 907X & CFV 100C、Leica Q2
愛用レンズ:FE 24-105mm F4 G OSS、FE 12-24mm F2.8 GM
ARTFULL LANDSCAPE
都市の幻想とリアリティ

「様々な国の都市景観を見てきましたが、ドバイは最も美しいスカイラインで、まるでゲームの世界にいるようでした。大迫力のパノラマの都市景観を超現実的な作風に仕上げられたと思います」。
都市のダイナミズムと静寂の対比を通し、新たな視点で世界を捉えてもらいたい

「シンガポールの近未来的な都市景観の美しさにただただ圧倒されました。様々な建築物が立ち並ぶ都市景観で建物一つ一つの特徴を捉えることができた作品」。
「私らしいランドスケープ写真とは、長時間露光を駆使し、都市の構造美と自然の動きを融合させた作品です。都市の風景を超現実的な視点で捉え、動と静、光と影の対比を通じて、現実と幻想が交錯する瞬間を表現しています。現在の作風には多くの試行錯誤と学びを積み重ねて辿りつきました。海外のフォトグラファーの自由かつ独特な作風に触れることで、自分の中にあった枠に囚われない表現への欲求が高まったことがきっかけです。写真を通じた芸術的な自由表現を目指すことで、ゲームやSFのような世界観を確立できたと思います」。

「世界中にある建築物の中で一番撮りたかった、アゼルバイジャンのヘイダル・アリエフ・センター。曲線美が特徴的で壮大。人と組み合わせることで、建築物の美しさがより際立ちました」。
幻想的な世界に浸ってもらうため『ここまでやるのか』というレベルまで追求

「韓国・ソウルで撮影。曲線と直線の融合が美しかったです。前景に曲線が特徴的な建築物があることで、より複雑で、情報量の多い都市景観となりました」。
撮影・レタッチのこだわりは?「天候の変化や光の状態を注意深く観察し、最適な瞬間を逃さないようにすること、そして長時間露光を多用するため、三脚の安定性やフィルターの選択にも細心の注意を払っています。撮影前には必ず現地を下見し、最良の構図やタイミングを見つけることに時間を費やします。レタッチにおいては、光と影のバランスを特に重視し、色彩については、作品全体のトーンを統一することで、視覚的な一貫性を持たせる。そのためにPhotoshopでレイヤーを100層以上作成したり、ピクセル単位の調整にまで配慮するなど『ここまでやるのか』というレベルまで追求します。見る人にも新たな視点で世界を捉えてもらえたら嬉しいです。特に、写真が持つ芸術的な要素や、現実を超えた表現の可能性を感じ取ってもらえたら幸せです」。

「東京・丸の内の摩天楼を見上げることで都市景観の迫力がより大きく見えました。流れる雲も印象的」。
GENIC vol.72【ARTFULL LANDSCAPE】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.72

9月6日発売、GENIC10月号の特集は「Landscapes 私の眺め」。
「風景」を広義に捉えた、ランドスケープ号。自然がつくり出した美しい景色、心をつかまれる地元の情景、都会の景観、いつも視界の中にある暮らしの場面まで。大きな風景も、小さな景色も。すべて「私の眺め」です。