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𠮷田多麻希の個展 「日目」が東京 神宮前で開催。ダゲレオタイプで写し出された崇高な「生命の存在」

写真家 𠮷田多麻希の個展「日目」が2024年6月11日(火)〜7月6日(土)に、東京 神宮前のLAG(LIVE ART GALLERY)にて開催。東京都写真美術館にて開催される「WONDER Mt.FUJI 富士山〜自然の驚異と感動を未来へつなぐ〜」展のサテライト展示です。本展では、古典的な写真技法であるダゲレオタイプを使用。人間社会のための開発によって、命を落とした動物たちを弔う神聖な儀式として、この技法がふさわしいと考えたそう。撮影も現像も、難しいこの技法で表現されています。

  • 開催期間:2024.6.11 ~ 2024.7.6

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目次

𠮷田多麻希 プロフィール

𠮷田多麻希

コマーシャルフォトグラファーとして多くの企業で活躍する傍ら、常々感じていた自然と人との関係の不平等さを見つめ直すべく、2018年よりプロジェクトをスタート。どこか他人事になりがちな大きな問題からではなく、より身近な視点から人と自然、生き物の関係を問いかけるのが𠮷田のスタイルだ。現在は、生活排水による環境問題や、近年頻発している人と野生動物の事故などをテーマにしたプロジェクトに取り組んでいる。これらのプロジェクトにおいて、生き物の悲劇的な側面に焦点を当てるのではなく、人間の思考方法や無意識の行動に固執することに疑問を投げかけ、人と生き物の新たなバランスを模索することを目指している。

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写真家 𠮷田多麻希の思考と表現

これは、交通事故に遭い路上に放置された生物の死にフォーカスしたプロジェクトである。血管の様に張り巡らされる「道」。
その発展は私たちにさまざまな恩恵をもたらし、社会、経済、生活あらゆる面での活動を活発化させてきた。そして、その道は、富士山麓にも無数の登山客や観光客を届けている。
華やかに賑わう富士の懐の命は、本来ならその地の土の上で命を終え、他の生物やその土地の一部になるはずだった。
多くの人々の活動と共に、多くの生物の死も生まれる。その闇に目を向けることは、私たちの生き方を知ることでもあると私は考える。

𠮷田多麻希

生成AIやバーチャルリアリティが現実世界を侵食し、人々の共通認識、社会を動かす価値観は時事刻々、猛烈なスピードで変化している。昨今のこうした状況にあって、多くの写真家が自身の制作姿勢への迷いや未来への不安を口にする中、全く動じることなく、写真表現の可能性を信じ、論理的な思考と圧倒的な行動力で制作を展開する作家、それが𠮷田多麻希だ。彼女の揺るぎない美意識に基づく制作姿勢は、写真がその誕生から約200年にわたって継承してきた“リアリティ−”へのこだわりと「物事の核心」を徹底的に追求するストイックさによって成立している。
今回の作品は彼女の“生物観”である「人間は地球上の生物のひとつにすぎず、全生物の生命の循環によって機能する地球秩序を壊してはならない」というメッセージを色濃く反映している。本作品の制作にあたり𠮷田が採用したダゲレオタイプは、1839年にフランスで発表された実用的な写真撮影法で、銀メッキを施した銅板を感光材として用いるため、日本では“銀版写真”とも呼ばれてきた古典技法である。ただ、彼女がダゲレオを選んだのは、昨今流行りの懐古趣味などではない。人間社会の利便性のために進む開発により野生動物の生育圏が破壊され、図らずも命を落とした動物たち。その命を丁寧に弔う神聖な儀式として、ふさわしい写真技法がダゲレオタイプだと考えたからだと話してくれた。
撮影も現像も難しいこの技法での表現された動物たちの亡骸は、私たちが普段目にする写真とは一線を画した崇高な「生命の存在」として、永遠の光を纏っているように感じられる。写真表現の大前提は被写体への尊厳であることを、今更ながら教えてくれる本作品。『日目』は、『葬斂』の流れを汲む彼女の代表作として骨太なシリーズとして完結することだろう。

太田菜穂子(KLEE INC.)
本展キュレーター

𠮷田多麻希 写真展 「日目」情報

開催日時

2024年6月11日(火)〜7月6日(土)13:00〜19:00 
定休日:月曜日、日曜日、祝日

オープニング・レセプション

6月12日(水)18:00〜20:00

入場料

無料

会場

LAG(LIVE ART GALLERY)
〒151-0001 東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwaビル1F

LAG Instagram
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行き方・アクセス

<電車>
東京メトロ銀座線「外苑前駅」2a出口から徒歩で約8分

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