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プロフィール
茶々
フードフォトグラファー 1994年生まれ、秋田県出身。2018年から趣味で日常の写真を撮り始める。2020年の春、趣味のお菓子作りに熱が入り、テーブルフォトを撮り始める。写真の仕事を引き受けるようになり、2022年の春に独立。フリーランスフォトグラファーとして写真教室やさまざまな商品撮影を行っている。
写真は心を躍らせ、日々を豊かにしてくれる
私にとって写真とは、心を躍らせてくれるもの。仕事でも趣味でも写真を撮っている今は、写真を撮ることが当たり前ではなかった頃よりも充実した日々を過ごせていると感じます。好奇心が強まり、普段過ごすなかでも、この空の色が好きだと感じたり、明日の朝は霧が出るだろうかと考えたり、日々の変化に感動や期待をするようになりました。また、それまで何とも思わなかったものを綺麗だと感じたり、もっと知りたいと思ったり。撮りたい被写体の小さな変化まで見えるようになって、飽きることがない存在として写真があります。
富士フイルムのカメラとの出会いは、会社員時代のことでした。SNSで、偶然コハラタケルさんの写真を見つけました。日常の中でこんな素敵な写真が撮れるのかと感動したのを今でも覚えています。そして、私もこんな写真が撮りたいと思い、コハラさんが当時使っていた「X-Pro2」を購入したのが始まりでした。
実際手にすると、ボディのデザインと程よい重さに惹かれました。持っているだけで気分の上がる見た目と、持ったときに感じる重みがとても好ましく感じられたのです。シャッター音も良く、シャッターボタンを押す瞬間はいつも心が躍っていました。
そしてやはり、一番の魅力はフィルムシミュレーションでした。フィルムシミュレーションを使うと、何気ない日常のシーンも特別なものになります。私は、カメラを持ち始めたときにしか写せないものがあると考えているので、そんなときにフィルムシミュレーションに出会うことができて本当に良かったと思っています。
その後、もっと気軽にスナップ写真を撮りたいと思い「X100V」も購入しました。X100Vを選んだ理由は、フィルムシミュレーションに「クラシックネガ」がプラスされていたからです。とても気になっていて、いざ使ってみると、奥深い写りが素晴らしく、好きなフィルムシミュレーションのひとつになりました。
今回の撮影では、「X-H2S」を使いました。AF性能が優れていて、シャッター半押しでピピッと瞬時にフォーカスを合わせてくれる精度が高いため、撮りたい瞬間にサッと、しかもしっかり撮ることができました。ローアングルやハイアングルなど、アングルを自由自在に楽しめるバリアングルモニターもうれしいポイントで、その便利さを実感しました。
最近は仕事でフードを撮る機会が多いせいもあり、普段のちょっとした朝食などで撮る機会が減ってしまっていました。そんななかで、腰を据えて日常と向き合った今回、改めて何気ないシーンを写すことの楽しさを実感しました。3種類のフィルムシミュレーションを使って撮影しましたが、シャッターを切るだけで完成された写真が撮れてしまうので、撮るたびに感動。あまり自然光が入ってこない曇りの日が続いていたのですが、そんな状況下でも良い感じに撮ることができました。
My favorite フィルムシミュレーション
何気ないシーンも印象的な写りになるので、写真を撮ること自体が楽しくなるフィルムシミュレーション。普段から使っている「クラシッククローム」に加えて、これまであまり使ってこなかった「PRO Neg.Std」と「ETERNA ブリーチバイパス」をあえて選び、撮影をしていきました。
1:クラシッククローム
クラシッククロームは、フード、風景、人物……どんなシーンでも印象的に写してくれる大好きなフィルムシミュレーションです。散歩をしながら自分の足元を写したり、落ち葉を拾って写したり、空を写したり。深みのある色味がとても気に入っています。
2:PRO Neg.Std
PRO Neg.Stdは、やわらかい描写ですが、立体感を出してくれるためフードにもよく合うと感じました。色味も、強くなり過ぎないよう抑えつつ、しっかりと出してくれます。普段の朝食やティータイムを、より特別なものにしてくれるフィルムシミュレーションだと感じました。
3:ETERNA ブリーチバイパス
ETERNA ブリーチバイパスは、彩度が低く、映画のワンシーンのような写真が撮れます。撮影した写真を見て、どこか懐かしい、曖昧な記憶のような印象を抱きました。パキッと綺麗に写すというよりは、例えばある日の朝食で目玉焼きの黄身を割るシーンなど、記憶として断片的に浮かぶような瞬間を写したいと思いました。とても奥深さを感じるフィルムシミュレーションで、今後、もっといろいろな場面で使ってみたいと思っています。
3つのフィルムシミュレーションは、カスタムモードでC1、C2、C3にそれぞれ設定しておき、撮影前にダイヤルを変えて撮影しました。実際に被写体にカメラを向け、それぞれのフィルムシミュレーションでの写りを見ながら、「このシーンにはこのフィルムシミュレーションを使おう」といった感じで選んでいきました。ひとつの被写体をそれぞれのフィルムシミュレーションで撮り、あとから見比べることもしたのですが、それもまた楽しかったです。
茶々さんが愛するフィルムシミュレーションの特徴
1:クラシッククロームとは?
20世紀のグラフジャーナル誌に使われた写真のような色再現を目指したフィルムシミュレーション。彩度は低め、暗部の階調は硬めに設計されており、ドキュメンタリータッチでリアリズムを求める写真を撮る際などに最適です。
2:PRO Neg.Stdとは?
プロ用ネガフィルム「PRO160NS」がベース。階調と肌色の柔らかさが特徴で、作りこまれたライティングでのポートレート撮影に適しています。また、ニュートラルな階調により、撮影後に画像加工を行う際にも最適なフィルムシミュレーションです。
3:ETERNA ブリーチバイパスとは?
動画用フィルムシミュレーションETERNAに、多くの映像作家に支持されている“銀残し”のフィルム現像効果を適用。高コントラストでありつつも彩度は低く仕上げられた画は重厚感があり、ドラマチックな映像の撮影に適しています。
茶々さんが使用したカメラ
X-H2S
独自の色再現技術による卓越した画質と小型軽量を実現する「Xシリーズ」の最新フラッグシップモデルとして、2022年7月に誕生。決定的な瞬間を逃さない圧倒的なまでのAF/AE追従と、秒速40コマ超高速連写によって、誕生以来、プロアマ問わず絶大な支持を受けているカメラ。裏面照射式に加え、信号読み出し速度を高速化した2616万画素のイメージセンサーを搭載するほか、画像処理エンジン「X-Processor 5」によって現行機比約2倍の高速処理を実現。センサーサイズはAPS-C。タッチパネル機能がついたバリアングル液晶モニターを採用し、フィルムシミュレーションは全19モード搭載している。