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作品制作解剖 チームを組んで、自分らしさを表現する方法とは? aika

自分なりのテーマや作風を表現できる作品撮り。写真家それぞれのやり方があるからこそ知りたいその実情。そこで「とにかく作品撮りが好きで、趣味でもある」というaikaさんに、プロセスから撮り続ける理由まで語っていただきました。

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目次

プロフィール

aika

写真家/フォトグラファー 1992年生まれ、埼玉県在住。
2018年よりフィルムカメラを始める。ファンタジックな独自の世界観を表現し、その一貫した作品作りでInstagramでも支持を集め、2021年に個展『PALLET』開催。その後も積極的に展示活動を行っている。クライアントワークでもアクセサリーやアパレル関連の広告・アーティスト撮影などを中心に活躍の場を広げている。
愛用カメラ:Nikon FM10、FUJICA、Nikon D7500
愛用レンズ:NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5、Super Takumar 55mm F1.8-16、NIKKOR 18-140mm F3.5-5.6

aika流、とある日の作品作り

THEME 1日に二つの世界観を撮影

「今回の作品テーマは、漫画『ご近所物語』から引用した“ハッピーマインド”。一つめ(赤背景の写真)は世界観を作り込むもの。二つめ(オレンジ衣装の写真)は、モデルの中村里帆さんらしさをそのまま表現するもの。同じ場所、メンバーでもこれだけ違ったふり幅のあるものが生み出せることも作品作りの醍醐味です」。

STEP01 モデル、スタッフを決める

衣装 tulle dress @gypsy_____official

「モデルさんに『作品撮りしよう』と誘われることもあれば、私からスタッフやモデルさんにお声がけすることも。その時々で変わります。今回は女優 中村里帆さんとお仕事でも関わりのあるスタイリスト kyonさんとヘアメイク 伍島琴美さんで進めていた計画に私を迎え入れていただきました。作品作りへの熱量やフィーリングを大切に、チームを組んでいます」。

衣装 Jewelry @marees.jewelry

モデル&スタッフに聞く、aikaさんと作品撮りをしたい理由は?

「aikaさんとは初めましてだったのですが、元々インスタを拝見しており、フィルム写真の質感や世界観が大好きでした。現場の温度を上げるくらいの凄まじい熱量で、シャッターを切る度にたくさんの愛を飛ばしてくれるので、自己肯定感が上がりますし、楽しい気持ちにさせる天才でした!」

── ACTRESS 中村里帆さん(@__rihostagram__)

「アシスタントだった時にaikaさんのことをインスタで見つけ、『この世界観を一緒に作りたい!』と思い自分から連絡しました。またaikaさんはとにかく明るくて愛のある方。現場をまとめて楽しい気持ちにさせてくれるので、一緒に作品作りをするのがとっても楽しいです」。

── HAIR&MAKE-UP 伍島琴美さん(@ktgram__47)

「なによりも私がaikaさんの写真のファンであり、お互いのイメージを想像以上の作品として残してくれる方だから。作品作りに対する姿勢、好きを形にする行動力、それをレンズ越しに見つける確度の高さ、そして何より写真を撮ることが楽しくて仕方がない、そんな空気感をいつも感じられていい刺激をもらえるのも大きいです」。

── STYLIST Kyonさん(@kyonchic)

STEP02 撮りたいイメージを共有する

「撮影までにメンバーの意識が同じ方向を向くよう、雑誌、Pinterest、映画、小説などで見つけた画像など、具体的なイメージを送りあって擦り合わせます。今回は最終的にkyonさんがスタイリングシートにまとめてくれました。私の場合クリエイターから提案されたものを受け入れるスタンスで、その上で“どうやったら自分らしく撮れるか”を大切にしています」。

STEP03 撮影場所を決める

「ロケの場合はネット情報よりも実際に行ったことがある場所に行くことが多いです。基準は人がいなくて、何度行っても飽きないところ。レンタルスペースだったらスペースマーケットというアプリをよく使っています。キーワード検索もできるので、廃墟や純喫茶などいい場所を見つけたらその都度保存しています」。

Q. 今回の作品撮りにかかった時間は?

A. ヘアメイクやチェンジ時間、お昼ご飯も含めて5時間くらい。

STEP04 衣装&ヘアメイクは信頼あるスタッフに任せる

「メンバー全員がプロ。各々がバランスを考えて案を出してくれているのが分かるので、私が意見を言うことはあまりありません。完全にお任せすることで想像を超えた案が出ることが毎回楽しくて、私は写真で応えたいなと思っています。また、写真を撮る、見る上で衣装という存在はとても大きいと思っているので衣装は妥協しないようにしています」。

「服だけが目立つ状態にはあまり興味がなく、すべてが調和するバランスを考えて提案しています。今回はテーマでもあった『ご近所物語』に沿って、遊び心ある二つの世界観を表現しました。チュールワンピにスポーティーなオールインワンを合わせてカジュアルダウンしたり、タイトなクラシカルワンピに丸みのあるボリュームツインを合わせたり、“可愛いだけ”からハズすためにスタイリッシュな要素を入れたのがポイントです」。

── STYLIST Kyonさん

「今回は世界観がしっかりしていたので、そこから外れないようヘアメイクしました。ポイントはやっぱりエクステですかね!ボリュームのあるワッフルヘアのツインテールが必要不可欠だったと思います。みんなの思い描いていたイメージがパチッとハマったので幸せでした」。

── HAIR&MAKE-UP 伍島琴美さん

STEP05 撮影はとにかく楽しむ

「ポージングや表情などのイメージ画像をモデルさんにお伝えしてから撮影スタート。フォトグラファーはここまで皆さんが作り上げた作品に自分らしさを反映し、形に残すという重大なポジション。皆さんが欲しいシーンはしっかりと残しつつ、新しい撮り方も試すようにしています。そしてなによりも楽しむこと!それが一番大切なことだと思います」。

Q. 作品撮りの予算は?

A. 基本的に作品にかかるお金は全員で均等割りです。私の場合はスタッフ1人1万円以内で出来るようにしています。

作品撮りは私自身の道しるべ

私って、こういう写真が撮りたかったんだ

「多いときだと月に2、3回作品撮りをしています。リスペクトしている皆さんと一つの作品を作る喜びは計り知れないものがあります。もはや趣味でもあり、道しるべでもあるんです。私の根本の部分は変わらないかもしれませんが、日々ときめくもの、やりたい表現は変わります。作品撮りを通して『私って今こういうのが撮りたかったんだ!』と気づくことがたくさんあるんですよね。それは仕事では成し得ない感情で、作品撮りには自由度があるからこそ。最近は特にインスタグラムを見た方に、どの写真が仕事でどれが作品撮りか分からないと言っていただけることがあって、とても理想に近づけているなと思います」。

作品に携わった全員がステップアップしていくことが大切

「作品撮りを見た方からお仕事をいただくことも増えてきました。結果として経験値や人脈などを得られるので、今の私を知ってもらう上でとても重要な武器でもあります。また私だけじゃなく、作品に携わった全員がステップアップしていくことが大切。それぞれの“やりたい”、“好き”、“可愛い”を形にしたら、結果として仕事につながるって最高だと思うんです。作品撮りも仕事も、変わらない熱量でこれからも続けたいと思っています」。

GENIC vol.71【作品制作解剖】
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.71

2024年7月号の特集は「私の写真世界」。
写真は生き様が反映されるアート。何を感じ、何を受け取って生きてきたのか。写真に投影されるのは、自分自身です。自分らしさとはいったい何なのか?その回答が見つかる「作品」特集。私の写真世界へようこそ。

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