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一般部門受賞者
ダミル・ファイズリン
Damir Faizulin © Anna Zakharova
1986年、ウズベキスタン生まれ。ソ連崩壊後、家族でロシアへと移り住む。33歳まで格闘家およびプロレスラーとして活躍し、その後はカリーニングラードでドキュメンタリー写真家のドミトリ・マルコフによるフォトワークショップに参加。2020年からは自主制作プロジェクトに従事。
Preserving Nature as Preserving Ourselves
ロシア人写真家ファイズリンによる受賞作品は、ロシア南部の北コーカサスに位置するダゲスタンの山々における自然や生活環境に焦点を当てています。その地に住む人々と自然との間にある危うい均衡が直面する危機を、ファイズリンは自身の写真を通じて浮き彫りにしています。彼の作品は現代における変化、ツーリズムの台頭、近代的な建造物の拡大、さらには長年にわたり築き上げられてきた構造や文化が顧みられなくなる状況を捉えつつ、同時にこの地域の美しさを称えています。
受賞コメント
2020年に旅行者として初めてダゲスタンを訪れてすぐに、自分が現地の文化コード、目の前で起きている出来事の価値、そしてそれらに対する個人的な関心と深い精神的な結びつきを感じました。その地域がまもなく急速に変わっていくと感じ、その変化を記録したいと思い、現地のことを詳しく知ろうと2021年にダゲスタンへ移住しました。写真については、現実を簡略化するのではなく、私たちが現実の複雑性に気づけるよう手助けする1枚であることが大切だと考えています。
── ダミル・ファイズリン
受賞者に対するコメント
ダミル・ファイズリンによるシリーズ『Preserving Nature as Preserving Ourselves』は、人間の幸福と自然環境がいかに分かちがたく結びついているかを印象深く提示しています。静かで落ち着いた、ややもするとユーモラスにも見える写真は、現代における喫緊の課題のひとつを、繊細かつ独自の語り口で伝えることを可能にしています。それらの写真は、私たちが自然に対し負う責任についてじっくりと考えるよう促し、人間と環境の関係を新たな視点で捉え直させてくれます。特に素晴らしいのが、シリーズ全体を貫く視覚の揺るぎなさです。ドキュメンタリー的な精緻さと抒情に富む表現を併せ持つ写真表現で、感動を呼びつつも深い内省を促すことに成功しています。伝えるものの重大さと感情の深みの見事な調和、まさにそれが、この作品を非常に特別なものにしています。
── カリン・レーン=カウフマン
ライカギャラリー・インターナショナル代表兼アートディレクター
新人部門受賞者
ライラ・アンマリー・スティーブンス
Laila AnnMarie Stevens © Amber N. Ford
2001年、ニューヨーク市クイーンズ区のサウスジャマイカ地区生まれ。20歳にしてニューヨークタイムズ紙の読者投稿コラム「Metropolitan Diary」に寄稿を始め、以来、各種の著名なメディアに作品を発表。ニューヨーク州立ファッション工科大学で学び、写真・メディア分野で学士号(BFA)を取得。
Clayton Sisterhood Project
祖先を追憶したいという切なる思いに着想を得たアメリカ人写真家スティーブンスは、自身の作品シリーズを通じて、規範にとらわれない現代の親族関係や、力強く自信に満ちた黒人女性たちが後に続く世代へと残す遺産を探求しています。作品の中心に据えられているのは、写真家の2人の姉妹と4人の姪たちが自ら築き上げた生き方です。彼女たちはニューヨークのクイーンズからノースカロライナ州クレイトンに購入した一軒家に移り住み、共同生活を送っています。
受賞コメント
写真を選ぶにあたって私が重視したのは、異なる世代を結ぶ絆は様々な形式で表現されるということを伝えるものであるかという点です。このような形で私の仕事が認められることは、これ以上ない励ましです。特に、自律性、配慮、可視性に関する様々な権利を公然と疑問視する合衆国の現在の政治姿勢を考慮すると、今回の受賞は将来への様々な期待を抱かせてくれます。
── ライラ・アンマリー・スティーブンス
受賞者に対するコメント
『Clayton Sisterhood Project』によってライラ・アンマリー・スティーブンスは親密さと真実味を感じさせる作品を生み出しました。作品の中心にあるのは、共同体への帰属意識、そして女性の連帯です。温かな眼差しと敬意、繊細な感覚でもって共同体が持つたくましさと力を描き出しています。シリーズでは、結束すること、そして互いをつなぐ絆の存在が、いかに強さと希望の源となり得るかがはっきりと示されています。
── カリン・レーン=カウフマン
ライカギャラリー・インターナショナル代表兼アートディレクター
LOBA Women Grant 2026/2027受賞者
ヴァレンティナ・スィニス
Valentina Sinis © Soran Qurbani
イタリア人写真家。中国、イラク、イタリアを生活および仕事の拠点にしている。卓越した取材・撮影活動を通じて、普段は報道されることのない日常の現実や人々のすぐそばまで迫る。作品はこれまで、世界の様々な新聞や雑誌に起用されている。
The Last Butterflies
今回の受賞によって、スィニスは、イラク領クルディスタン地域で手掛ける長期プロジェクトをさらに前進させることができます。プロジェクトが焦点を当てるのは武力による抵抗運動に参加するため故郷を離れたクルド人女性たちです。ポートレート、風景、廃墟と化した地を軸に、プロジェクトの次章では土地や家族との結びつき、そして帰属意識が「闘う」ということによってどのように形作られ、変容していくのかを探るとともに、闘士となる道を選んだ女性たちが犠牲にする人間的な部分に光を当てます。完成した作品は来年のLOBAで発表されます。
受賞者に対するコメント
『The Last Butterflies』は、闘いに身を投じるなかで生まれる女性たちの新たな役割を印象的に描き出しています。男性の手を借りることなく、彼女たちがいかに力を合わせ祖国のために闘っているかを、明快かつ心に迫るタッチで伝える写真です。ヴァレンティナ・スィニスがこのプロジェクトを完成させ、その後もさらに継続できることが重要です。
── カリン・レーン=カウフマン
ライカギャラリー・インターナショナル代表兼アートディレクター
引用は全て、「2026年度ライカ・オスカー・バルナックアワード」プレスリリースより
カタログと展示会について
エルンスト・ライツ・ミュージアムでの写真展の開催と同時に、2026年度LOBAカタログが発売されます。カタログでは、2026年度LOBAファイナリストの作品およびインタビュー、制作の背景について紹介。ウェッツラーでのこの写真展を皮切りに、作品シリーズは世界各地のライカギャラリーや写真フェスティバルでも順次展示される予定です。
2026年度ライカ・オスカー・バルナックアワード 情報
2026年10月8日(木)の授賞式の後、受賞作品およびファイナリストの作品はエルンスト・ライツ・ミュージアムにおいて2027年2月18日(木)までの期間、作品について詳細に説明するカタログとともに、大規模な写真展で紹介されています。LOBAは写真作品に授与される国際的に最も権威ある賞のひとつであり、賞金額においても世界有数となっています。一般部門の受賞者には賞金40,000ユーロと10,000ユーロ相当のライカカメラ製品が、新人部門の受賞者には賞金10,000ユーロと「ライカQ3」がそれぞれ贈呈されました。LOBA Women Grantの受賞者には、支援金10,000ユーロと「ライカQ3」が贈られたほか、制作期間中に専門家によるサポートが提供されます。
・ウェブサイトでは、コンテストの概要が閲覧可能。
・過去の審査員と推薦者のインタビューも掲載されています。
