夜遊びのためのナイトウェア/龍崎翔子のクリップボード Vol.23
風呂から上がって、次の朝出かけるまで。私たちは1日の半分近い時間を、パジャマを着て過ごしている。
深夜のベランダ、コンビニ、公園。日付が変わった後にもたくさんの豊かな時間を。
眠れない夜には、パジャマでもっと遠くまで行きたい。
初めて通る道、気になった飲み屋、隣町の川辺、知らない人の行き交うクラブ。プライベートとパブリックを曖昧にし、深夜徘徊の半径を広げて、生活と街を豊かにするアイテムこそがパジャマだと思う。
部屋から出て、歩いたことのない道を歩き、入ったことのない店に入る。すごく簡単なようで、未知への扉を開き、人生を豊かにする行為だと思う。
しかし、一度部屋に帰って着替えてくつろいでしまったら、外に出るのは億劫なもの。パジャマではお店に入ったり人通りの多いところは歩けないし、かといって外着を着たまま部屋の中で過ごすのも嫌。
私たちのホテルでは、チェックインして鍵をもらって部屋にこもって過ごすのではなく、街に繰り出し、土地ならではの空気を感じる旅をしてほしい。
そんな思いで、着替えなくても外に出られて、ノーメイクでも洒落て見えるパジャマを作るようになった。
この1着で、風呂上がりの思いつきで散歩もできて飲み屋にもクラブにも行けて、帰ったら倒れこむようにそのまま寝ることができて、朝起きたらそのまま散歩したり、朝食を食べに出かけたりすることができる、内と外の境界をヒョイッと軽く乗り越えてしまうような、そんなパジャマを。
「day dream」と名付けられた翡翠色のイージーパンツは、さらりとなめらかで折りたたんでもシワ知らず。寝相も気にせず、旅のお供にもおすすめ。
部屋でゆっくり過ごす時、ちょっと昼寝する時、1マイルのお出かけをする時、夜に部屋を抜け出す時。
パブリックとプライベートの壁を軽やかに飛び越えていくナイトウェアは、人生を少し豊かにする。
【龍崎翔子のクリップボード】バックナンバー
龍崎翔子
2015年、大学1年生の頃に母とL&G GLOBAL BUSINESS, Inc.を立ち上げる。「ソーシャルホテル」をコンセプトに、北海道・富良野に『petit-hotel #MELON』をはじめとし、大阪・弁天町に『HOTEL SHE, OSAKA』、北海道・層雲峡で『HOTEL KUMOI』など、全国で計5軒をプロデュース。京都・九条にある『HOTEL SHE, KYOTO』はコンセプトを一新し、2019年3月21日にリニューアルオープン。