四釜明拓
パン職人 福島県出身。札幌市内のパン屋に勤めていたことがきっかけで29歳の時に、齋藤正勝さん・タキ子さん夫妻が1953年にニセコ町で創業した老舗の「さいとう製パン」を継ぐことに。北海道産の小麦粉、羊蹄山の湧水を使って焼かれたパンは絶品。
愛用カメラ:SONY RX100
From 北海道。ニセコのパン屋さん
「香りのない透明な太白ゴマ油で揚げたドーナツ。全粒粉をすこし混ぜて作っているので小麦の味が感じられます」。
北海道の南西部、ニセコ町にある創業68年の老舗パン屋「さいとう製パン」。もともと経営されていたご夫婦から、四釜さんがお店を引き継いだのは2016年12月のこと。
「巡りめぐって自分のところに話が来て、このお店やこのお店の物語に惹かれ、協力したいと思ったんです」。
伝えたい気持ちをこめて、シャッターボタンを押す
「お店に来てくれる子どもたちにはいつも元気をもらっています。この写真の女の子、ふうちゃんは、長沼町にある宿泊施設「maoiqnokoya」を運営するおきぬさん(@___okinu)の娘さん」。
「札幌のデザインユニット・ネクタイ(@nenene.necktie)さんが作ってくれた木製のコッペパンは、お店の前に出ていれば開店、しまってあれば閉店の目印」。
四釜さんが店長になってから、SNSにお店やパンの写真をアップするように。
「焼きたてのパンのかわいさや、ニセコの素晴らしい景色を知ってほしくて写真を撮るようになりました。なるべく加工はせず、そのままの雰囲気を伝えています。伝えたい気持ちがこもった写真が、‶おいしい写真”だと思うから」。
「先代から使っている石炭ストーブ。大切に使われていた古いものを大切に使い続けるのは、地球のこれからのためにも大事なことだと思います。とはいえ、最近は石炭が高騰してしまいお休み中」。
「お店の看板もネクタイさんが描いてくれました。先代のご主人は8年程前に亡くなり、妻のタキ子さんが一人でお店を切り盛りしていました。そんなタキ子さんの若い頃をイメージ」。
パンは自分の作品。うまく焼けた時は嬉しくて写真を撮りたくなる
四釜さんにとって、パンは自身の‶作品”なのだそう。
「パンは自分を表現する一つの手段。上手に焼けた時は写真を撮りたくなりますね。地元のおじいちゃん、おばあちゃんから小さな子どもまで客層は幅広いです。いつかその子が大人になって、自分の子どもを連れてきてくれたら嬉しいですね」。
「昔ながらの揚げパンは人気メニューです。あんことクリームがあります」。
「一番人気のメロンパン。日によってはすぐ完売してしまうことも。メロンパンは焼く前も焼いた後もかわいいし、並べてもかわいいです」。
GENIC VOL.58 【いと、おいしくて。】
Edit:Yoko Abe
GENIC VOL.58
テーマは「おいしい写真」。
口福を感じる料理やスイーツとの出会い、オリジナリティ溢れるフードの創作、こんなシーンには二度とお目にかかれないかもと思った瞬間。様々な表現者たちが繰り広げる “おいしい” の世界を召し上がれ。