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【あの人が見つけた“自分らしい”写真表現:1】三谷ユカリ

SNSでも人気を誇るフォトグラファーたちが、 人生の中で見つけた“自分らしい”表現。 どんな経緯で、どんな被写体に惹かれ、そこに辿り着いたのか。 自分なりの世界観と溢れ出る想いを投影した、 それぞれの写真表現に迫ります。
1人目は、フォトグラファーの三谷ユカリさんです。

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三谷ユカリ

フォトグラファー 香川県出身。花や風景、猫などの写真をTwitterを中心に投稿し、フォロワー数は13万人を超える。写真専門誌に作品を寄稿するほか、数多くのTV番組でも紹介される。2022年『三谷ユカリ写真集 幻想花世界』(玄光社)を上梓。
愛用カメラ:Sony α7C
愛用レンズ:TAMRON 28- 200mm F/2.8-5.6 Di III RXD、SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN

一枚に綴る幻想的な物語

ストーリーを感じるその一瞬を逃さない

北海道のラベンダー畑での一枚。「マジックアワーをまとった夢の中のような一瞬。真ん中にぽつんと小屋を置き、空やラベンダー畑を広く捉えることで、他に何もないような幻想的な空間が生まれました。“空白の美”に徹底的にこだわりました」。

「シチュエーションを問わず、自分が“幻想的”だと感じる作品を選びました。それが自分らしさでもあると感じているからです。撮影を始めた当初は被写体にこだわっていたのですが、今は表現を主体に考えるようになりました。その時々で撮った作品を受け入れていくと、自然と自分らしさに辿り着けます。そして何よりも大切にしているのは、“物語性を感じる一瞬を逃さない”ということです。この瞬間は二度と訪れないかもしれないという緊張感を持って撮る楽しさがあります」。

「女の子が下校中に、大好きな猫ちゃんに会うために寄り道している、というシーンをイメージ。猫ちゃんとモデルさんの自然なやりとりがあまりにも美しくシャッターを切りました。空をボカして撮影し、幻想的な雰囲気を演出しました」。

写真は自分だけではなく、誰かの人生も豊かにできる

「主題は左側の猫ちゃんですが、月やもう一匹の猫ちゃんも写すことで、物語性が生まれました。表情は見えなくとも『一人にしないで』といったような切なさを感じとれるかと。今思えば、この写真を機に“空気感や音までもが聞こえてきそうな写真”を無意識に探り、幻想世界を求めるようになった気がします」。

「趣味を全力で楽しむことも大切です。例えば私はドラクエが大好きで、特に最新のドラクエ11をプレイするたびに『こんな風景に出会いたい!』と創作意欲が掻き立てられます(笑)。何も関係なさそうに思えることも、自分の表現の世界を広げることになるから。被写体も、表現もそうですが、一つのことに固執せず、柔軟さを持つことで開かれる道があると思います。ただ、写真は見る人の数だけ解釈が存在していると思うので、“自分らしさを伝える写真”よりも、“見る人が何かしらの感情を持つ写真”の方が好きです。『三谷さんの作品を見て、明日も生きてみようと思った』というメッセージを頂いたことがあります。自分の写真がどなたかの心境に良い影響を与えることが出来ているなんて信じられなくて、思わず泣いてしまいました。写真は自分自身だけでなく、他の方の人生をも豊かにしてくれる、欠かせない存在です」。

「夕暮れを舞う二匹のイルカをしっかりと捉えることを第一に、三分割構図を意識しました。夕日が沈む前に、何とか複数のイルカたちのシルエットを収めたく、何枚もシャッターを切りました」。

「3人の小さな魔女のポーズが絶妙で、あまりにも可愛すぎてとても気に入っている一枚。地面よりも空を広くしたことでファンタジー感が増したように思います」。

Information

三谷ユカリ写真集『幻想花世界』(玄光社)

淡く儚い色と、光の幻想的な表現で、メルヘンチックな花の世界へ導いてくれる自身初の写真集。

三谷ユカリ Instagram
三谷ユカリ Twitter

GENIC vol.64【あの人が見つけた“自分らしい”写真表現】
edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.64

GENIC10月号のテーマは「写真と人生」。
誰かの人生を知ると、自分の人生のヒントになる。憧れの写真家たちのヒストリーや表現に触れることは、写真との新たな向き合い方を見つけることにもつながります。たくさんの勇気とドラマが詰まった「写真と歩む、それぞれの人生」。すべての人が自分らしく生きられますように。Live your Life.

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