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My room and the time. 濱田英明

「時間の移ろいと光の質量の変化が見えた時、日本の片隅の小さな部屋の中にいても、地球や宇宙にいることを感じられる」と話す濱田英明。部屋とそこに流れる時間を写した作品、暮らしの写真への想いに触れる6ページです。

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目次

プロフィール

濱田英明

写真家 1977年生まれ、兵庫県淡路島出身。2012 年、35歳でデザイナーからフォトグラファーに転身。

My room and the time.

日本の片隅の小さな部屋の中にいても、地球や宇宙にいることを感じられる瞬間がある。

何もしなくても、何も生み出さないとしても、それでもよい、それがよいと思えるように。

自らを包みこむ暮らしの中で、安全で不安のない状態で撮影できるなら、それこそに価値がある。

今の、あるいはいつかこれからの自分自身を救ってくれる

「暮らしの写真は、仕事や作品制作としての撮影ではなく、生活の中で純粋に写したいと思えた時に撮っていて、そうやって撮ること自体が生活におけるひとつの営みだと捉えています。自らを包みこむ暮らしの中で安全で不安のない状態で撮影できるのなら、それこそに価値があると思います。そして、写すこと自体が今の、あるいはいつかこれから自分自身を救ってくれるはず。あらゆるものごとは常に移ろい、古くなったり壊れたり、失われていくものです。二度と戻らないがゆえに、すべての写真は、かけがえのないもの。暮らしの中で一番多く撮っていたのは、以前は二人の子供たちでした。今は、時間をかけてつくってきた部屋とそこに流れる時間そのものです。たとえよく知る自分の部屋でも常に時間は移ろっていて、その時々で見せる表情が変わります。時間の移ろいと光の質量の変化が見えた時、日本の片隅の小さな部屋の中にいても、地球や宇宙にいることを感じられる。そんな瞬間に、シャッターを切りたくなります。以前、SNSに投稿した子供の写真を見たシベリアの方から、『世界の市民の一員だと思えた』というコメントをいただいた時、撮っていてよかったと思えました。自分自身が何を捉えようとしているかを知っていること、それを一貫させて撮りつづけられているかどうかが、その人らしさのひとつになるはずだと考えています。誰もが、見たことはなくても知っている、どこかで見たような気がする、そう思えるものを、対象が変わったとしても撮ろうとしています」。

GENIC vol.74 【My room and the time.】
Edit:Chikako Kawamoto

GENIC vol.74

2025年4月号の特集は「It’s my life. 暮らしの写真」。

いつもの場所の、いつもの時間の中にある幸せ。日常にこぼれる光。“好き”で整えた部屋。近くで感じる息遣い。私たちは、これが永遠じゃないと知っているから。尊い日々をブックマークするように、カメラを向けてシャッターを切る。私の暮らしを、私の場所を。愛を込めて。

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