移住体験中のぽんず(片渕ゆり)さん
1991年生まれ。大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。
誰かと一緒にめぐる上川町
ふだんの旅はひとりで行くことが多いけど、誰かと一緒に行く旅は、ひとりでは気づかない発見にあふれています。
GENICの企画で短期移住を始め、気づいたらもう2ヶ月近く住んでいる町、北海道・上川町。今回は、伊佐知美さん・染谷ノエルさん・てい えみさんと一緒に上川町をまわりました。いつもはひとりでカメラを持って歩くことが多い上川町ですが、きっと、みんなの隣で見る上川町はまた違う美しさがあるのだろうなと、この旅を心待ちにしていました。
ふだん沖縄に住んでいる伊佐さんは、別世界を前にして「ほんっとうに寒いね……!」と感慨深そう。新潟ご出身なので、「北海道は雪の質が良い!」と、雪国育ちならではの感想も。
思い描いていた「ザ・北海道」な景色の中へ
「大雪 森のガーデン」で、人生初のスノーモービル。
冬の北海道と聞いたとき、一面の銀世界が真っ先に頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
「大雪 森のガーデン」を訪れた先に広がるのは、険しく連なる山々と、真っ白な雪原と、遮るもののない広く大きな空。「北海道」と聞いて頭に浮かぶ原風景のような景色が、まさにここにはあります。
ここ「大雪 森のガーデン」で楽しみたいのは、やっぱりスノーアクティビティ!
人生初のスノーモービルにもチャレンジ。まるで水の上を走るかのようになめらかにすいすい進むスノーモービルの乗り心地には、すっかり病みつきに。好奇心旺盛な我々4人は、あっという間にスノーモービルの虜に。
宿泊は、森の中に佇むヴィラへ。
今夜泊まるのは、「大雪 森のガーデン」内にあるヴィラ。壮大な山々を目の前にして泊まれるコテージです。
寝室はなんと2部屋。片方は、憧れのふわふわ天蓋つき!ほどよく覆われて心地よくて、写真を撮るためにちょっと横になろうとしたらつい眠ってしまいそうに。
北欧風の雰囲気に統一された室内は、大きな窓がたくさんあって、気持ちの良い自然光がたっぷり入ります。
お風呂からの眺めも壮観!ちょうどこの日の夜は月が綺麗で、うっかり藤原道長の気持ちを理解しそうになってしまいました。あぶない。この世を我が世と思い込むところでした。
「フラテッロ・ディ・ミクニ」で、すべてを忘れて食を楽しむ。
夕食は、ヴィラと同じく「大雪 森のガーデン」内にあるレストラン、「フラテッロ・ディ・ミクニ」でいただきます。
窓の外に広がるのは大自然の暗闇だけ。街のネオンにも終電にも邪魔されることなく、日常から切り離された場所でただひたすらに美味しい料理を楽しむことができます。
外食を楽しむ機会もめっきり減ってしまっていたからこそ、一品一品を大事に味わう時間は何にも代え難い幸せなひとときでした。
いつだって旅先の朝ごはんは楽しいものですが、フラテッロ・ディ・ミクニでいただく朝食は格別です。
青空と山々の美しさに思わず見惚れていたら、「もっと外の見える席にどうぞ」と、窓の目の前の席に変更していただけるという嬉しい出来事も。
積もったさらさらの雪が風にさらわれキラキラと舞うさまを眺めながらのコーヒー。早く外にでて撮影したい気持ちと、ずっとここでコーヒーを飲んでいたい気持ちが喧嘩してしまう。
青空と雪のツーショットを求めてガーデンの近くを撮りに。
空のやわらかなグラデーションや雪の独特な色合い、山の荘厳なかっこよさに歓声をあげる人が隣にいてくれると、やっぱり旅はいっそう楽しい。
上川町で、氷の世界に迷い込む
みんなでまわる「氷瀑まつり」。
冬の上川町といえば、はずせないのは「氷瀑まつり」。まるで建築のように作り上げられた巨大な氷の空間と、カラフルなライトアップが美しいイベントです。
すでに何度か撮影で訪れてはいたものの、毎回思っていたのは「ここに誰か立ってほしい!」ということ。光と氷の絶妙なバランスの中、モデルとなる誰かがいたら理想の写真が撮れるのにな〜、と妄想していたのです。
入り口や出口付近は、外の光が入ってきて、特に幻想的。未来に向けて歩いていくような、SFっぽい写真が撮れて大満足。そして氷という同じ材質でも、光でこんなに印象が変わるものかと、ファインダーを覗くたびに驚きます。
ついつい寒さも時間も忘れてしまうくらい、何枚でも写真を撮りたくなる場所です。
層雲峡の雄大な景色をひとりじめ!「ホテル大雪」。
氷瀑まつりが行われている層雲峡という場所は、北海道有数の温泉街。今回はみんなで、層雲峡の老舗ホテル「ホテル大雪」に宿泊しました。
クラシカルな照明が迎えてくれるロビーには、北欧風のラウンジもあります。
寒い地域の冬には、キャンドルがよく似合う。北海道に住み始めてからというもの、私も気づいたらキャンドルを買い揃えてしまっているんですよね。
さて、気になるお部屋へ。「千と千尋の神隠し」の油屋を彷彿とさせる廊下に、すでにわくわく!
今回泊まらせていただいたのは、露天風展望風呂付客室「和房 雪花」。
広々としたお部屋を前に、私も伊佐さんも大興奮……!新居に引っ越してきたばっかりのサツキとメイよろしく、つい歓声をあげてしまいそうなくらい。
お部屋にはなんと、層雲峡の景色をひとりじめできるお風呂が!露天風のこのお風呂、お湯は源泉から引かれているそう。
あたたかいお湯に足を浸すと、一日の疲れがすーっと癒されていくのを感じます。
窓からの眺めはこんな感じ。切り立った険しい崖が目の前にあって、その迫力には畏怖の念すら覚えるくらい。
夜、闇の中にぬっと現れる崖もまた良かったのですが、なにせまわりに明かりも少なくて暗いので、写真では撮ることができませんでした。この景色、ぜひこの場所で見てほしい。となりの伊佐さんが、「いろんな場所を見てきたけどこれはすごい……!」と驚嘆していたのが印象的でした。
フードにアートにアウトドア。上川町の旅で訪れたい場所
日本全国にファンがいる「上川大雪酒造」へ。
上川町でお酒をつくっている、上川大雪酒造。決して「流通に便利」とは言い難い北海道の大自然の中に酒造を作った理由は、この場所のきれいな水と空気に価値を感じたからなのだそう。
お酒づくりの環境にこだわって生み出されたここのお酒には、日本全国にファンがいるのだとか。
お酒を飲むこと自体は好きですが、そんなに日本酒には詳しくはなかった私も、北海道に来て魅力的な日本酒に出会う機会が増えました。
上川大雪酒造の印象的なロゴは、雪の結晶とアイヌの文様とを合わせてデザインされたものだそう。上川町という場所だからこそ生まれた味とデザインのお酒は、お土産にもぴったりです。
酒粕を使ったラーメン!?「あさひ総本店」でここだけの味を。
雪の中を歩いていると、体力を消耗しやすいのか、すごくお腹が空くんですよね。というわけで、お昼にはがっつりラーメンをば!
ここ、あさひ総本店には、上川大雪酒造の酒粕を使用したラーメンがあるんです。
こちらがその、「上川大雪酒造ら〜めん」。
ラーメンに酒粕?そしてアボカド……?と斬新な組み合わせに一瞬頭が混乱しますが、味はとってもまろやかで美味しいんです。酒粕は少しずつ、お好みでスープに溶かしながらいただきます。しっかりアルコールは飛ばしてあるので、酔う心配はありません。ふんわり香るお酒のなんとも言えない甘みが好きで、ついついスープをたくさん飲んでしまいました。
デジタルアートに触れよう。「大雪 かみかわヌクモ」でプログラミング体験。
廃校をリノベーションして作られた公共施設「大雪 かみかわヌクモ」。この「大雪 かみかわヌクモ」は、チームラボによるプログラミング体験もできて、子どもでも楽しくプログラミングの思考を学ぶことができるんです。
手書きのアナログイラストが、一瞬で電子空間へ。
コマンドを駆使しながら、オリジナルのイラストを縦横無尽に動かします。電子空間のイラストと、ハイタッチまで出来ちゃう不思議。今の子どもたちは、こうやって「アナログ」と「デジタル」のあいだを自由に行き来しながら育っていくんですよね。
「大雪 かみかわヌクモ」にはカフェスペースもあるので、ひと遊びしたあとは、しばしカフェタイム。みんなのドリンクを集合させてパシャリ。ちなみに私の一押しは手作りプリンです。
雪のキャンプ場はおとぎ話の世界。「層雲峡オートキャンプ場」。
今回、宿泊はしなかったのですが、層雲峡オートキャンプ場のグランピング施設をちょっぴり覗かせていただきました。
コロナの影響で2020年はキャンプを始める人が多かったと聞きますが、じつは私もそのひとり。広々としたテントと、居心地の良さそうな空間に、思わず羨ましい気持ちになります。
キャンプ場のランタンをお借りして、しばしキャンプ場内をお散歩。おとぎ話の中のような一枚が撮れました。キャンプ場というと無骨なイメージがあったのですが、層雲峡オートキャンプ場は施設もおしゃれで新しく、「かわいい」の言葉が似合うキャンプ場。カメラ片手に歩くと、町の中とは一味違う写真が撮れます。
旅の終わりに。
私はすっかり上川町というところが好きになってしまって、そろそろ東京に戻る日が近づいていることが寂しく思っています。そんな私の好きな景色を、一緒にまわったみんなが美しいと言ってくれたことが嬉しかったです。
「また来たいね」「すべての季節を見たいね」そんなことを話しながら終えた、写真好き同士でまわった今回の旅。
ほんとうに実現できることを祈りながら、家路についたのでした。