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【たいせつな人、たいせつな時間:3】平田克広

撮り手の想いと相手との距離感が写し出された、他の誰にも撮ることができない唯一無二の写真。自分にとって「かけがえのない人」を撮る写真家たちに、カメラを向け続ける意味を伺います。3人目は、大切な日々の記録を写真に残す写真店店主、フォトグラファーの平田克広さんです。

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平田克広

フォトグラファー 1973年生まれ、熊本県出身。20代より父の経営する写真スタジオで経験を積み、2010年独立、フォトスタジオ『haco』 をオープン。
愛用カメラ:Hasselblad 500C/M、CONTAX G2、 CONTAX T2、PENTAX 67II
愛用レンズ:Planar 80mm F2.8、 Planar T* 45mm F2、PENTAX smc 67 105mm F2.4

父と子の距離感

子どもたちを撮る行為そのものが喜び

20代の頃、カメラと写真が当たり前にある生活でもプライベートではあまり写真を撮っておらず、その後結婚を機に撮りはじめ、子どもの誕生でさらにのめり込んでいった。写真に残すということの大切さを、平田さんは子どもたちの写真からより強く実感することができたそう。

「家族写真とは僕なりの愛情表現。形として残してあげることで、将来子どもたちがそれに触れた時、その想いを少しでも受け取ることができるのではないかと思っています。なので、娘の誕生以来、その時々の瞬間を写真に収めることができたこと、また撮るという行為自体が常に、僕にとっての喜びでもあります」。

「娘との程よい距離感が感じられる一枚」と平田さん。子どもたちを撮る時は、その時の状況や時間帯、季節などがわかるよう、周りの風景を入れた引きの構図が多いそう。

同じ場所で、同じポーズをした子どもたちの写真。5年の年月を経て。

距離を大切に子どもたちとカメラを通してその時間を共有する

「いい表情が撮れた時に嬉しいと感じるけれど、何もそれはにっこり笑っただけがいい表情というわけではない」と平田さん。目下反抗期中という息子さんの表情と、娘さんの気が抜けたような一瞬の素顔が魅力的に感じられるのも、家族写真ならでは。

「かけがえのない瞬間を残してこられたことは本当によかったなと思いますし、これから先も記念写真にしろ何気ない日常にしろ、日々の記録として写真を撮っていくと思います。ちなみに子どもたちの写真は、主にフィルムカメラで撮影しています。当初は普及し始めたデジタル一眼レフカメラを使ってたくさん写真を撮っていましたが、何かがしっくりこず......。以前使っていたフィルムカメラ・CONTAX G2を引っ張り出して撮影、現像してみたところ、その質感にはっとして、以来フィルムで撮るようになりました」。

「もちろん思春期や反抗期はあり、カメラから目を逸らしたり、ファインダーに収まってくれないこともあります。その時期の写真はめっきり少なくなりますが、僕は写真を撮る・撮らないにかかわらず、子どもたちとの距離感というのを常々意識していて、無理に撮ろうとは思いません。たまに出かけた時など、忍ばせたコンパクトカメラでさっと撮る感じです」。

平田克広 Instagram(@hiratakatsuhiro)
平田克広 Instagram(@haco_photo_studio)

GENIC vol.65 たいせつな人、たいせつな時間
Edit:Izumi Hashimoto

GENIC vol.65

GENIC1月号のテーマは「だから、もっと人を撮る」。
なぜ人を撮るのか?それは、人に心を動かされるから。そばにいる大切な人に、ときどき顔を合わせる馴染みの人に、離れたところに暮らす大好きな人に、出会ったばかりのはじめましての人に。感情が動くから、カメラを向け、シャッターを切る。vol.59以来のポートレート特集、最新版です。

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