清水美由紀(Miyuki Shimizu)
フォトグラファー 長野県松本市出身、在住。2012年東京写真学園卒業後、雑誌&書籍、ウェブサイト、広告など、主に暮らしにまつわる撮影に携わる。2019年松本に住所を移す。この冬、女性と子どものためのクリエイティブスクール開講予定。著書に『二十四節気暦のレシピ』( 日本文芸社) がある。
カメラ歴10年。自身の写真やカリグラフィーを使い、アートワークとして仕上げた「風を纏うハンカチーフ」をSTORESで発売中。
愛用カメラ:Canon EOS5D Mark Ⅲ
MY HOME TOWN IS 長野・松本
信州ならではのクリアで刺すような光の透明感は、ハッとするほどの美しさ
「Capture the moment~ 美しい光に出会ったとき、まさにこの”掴む“という感覚の気持ち良さが私にとっては大切。何かを感じた瞬間、グリップ力強めに”掴む”のがいいと思います」と語る清水さん。高い山があり、空気が澄んだ信州のクリアで刺すような光と透明感にいつもハッとさせられるそう。
「見過ごしてしまうような景色の美しさに心打たれたり、新鮮に感じたりするのは、小さなことにも感動できる心や、どんな風に世界を見るのかという視点次第。美しいと感じる心がそこにあるからだと思うので、目の前の景色を美しく感じないときは、自分の中にノイズが溜まってないかを省みるきっかけにしています」。
そんな清水さんがカメラを通じて表現していることは、目の前にある何気ない風景の再構築。
「小さな地方都市・松本が、私にはこんな風に美しく見えるということを差し出せたらと思いますし、それが心に光が差して、そよ風が吹くような写真になったらうれしいです」。
身近なものの素晴らしさに感動できる自然と繋がった暮らしが心地いい
「美しい山々や森、近隣には湖もあり、温泉や湧き水も豊富な自然の恵みに溢れた松本は、幼い頃から私の遊び場で、自然の魅力を教えてくれた場所です。またクラフトの街としても知られ、ものづくりへの興味の芽を育ててくれた場所でもあります。
大学生になり、上京してから、とても刺激的で心満たされる時間を過ごしましたが、自然を求める気持ちはいつも私の中にありました。OLを辞めてロンドンに短期留学した際、街と自然の近さやバランスの良さに心躍ったのを覚えています。それから、自分にとってバランスのいい地を探しながら旅するようになりましたが、もともとフーテン体質の私。昨年住所を松本に移してからも、どこが本拠地とも言えない生活を謳歌していました。
自然の恵みに満ちた小さな地方都市、松本は生き方の選択肢の多い街
名実ともに松本にいると言えるのは、この春、移動が制限されるようになってから。松本に籠って暮らしてみて、改めて日々の心地よさを知りました。カッコウやウグイスといった鳥の囀りで目覚めること。遠く広がる景色の中で虹を見つけること。麦畑を吹き抜けた風が私のスカートを揺らすこと。そういった体感が松本にはあります。入れたくない情報が少ないので、いつも感覚は全開。
そして、ここには面白いことを考えている人がたくさんいて、気の合う人と繋がるのも比較的簡単です。またフットワーク軽く、やりたいと思ったことをすぐに形にできる面白さも。今は繋がりが繋がりを呼んで広がり、まわりとの関係性を深く築けていることに感謝しながら、“地元に帰った”というような感覚は一切なく、新しい暮らしを一から楽しんでいます」。
旅する人へ向けて…Welcome to 松本
「街歩きを楽しんだら湧き水で喉を潤し、市民芸術館の屋上庭園やあがたの森公園で人気のパン屋さんのサンドイッチをほおばり、夜は温泉へ。長く滞在して、自然と街を行き来しながら過ごす日々を体験してほしいです」。
GENIC VOL.57 【地方の町の素晴らしさは地元の人が知っている 好きよローカル】
Edit:Yuka Higuchi
GENIC VOL.57
テーマは「100人の旅という表現」。
表現者たちのオンリーワンな旅スタイルや、撮欲も満たすひとり旅、旅するように暮らす多拠点生活など、様々な旅する人とその想いに迫ります。