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【#地球を縦横無尽に旅する写真家:1】上田優紀

“世界”に焦点を当てた写真家たちをフィーチャー。
これまで私たちが目にしたことがないような景色や、想像したことのないような瞬間など、壮大で美しい、心奪われる地球の光景に出会ってください。
今回は、命をかけて世界の僻地や極地を撮影する写真家、上田優紀さんです。

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上田優紀

1988年生まれ、和歌山県出身。大学卒業後、24歳のときに世界一周の旅に出発し、1年半かけて45カ国を回る。帰国後、株式会社アマナに入社。2016年よりフリーランスとなり世界中を旅しながら僻地や極地の撮影を行っている。
2018年アマ・ダブラム(6856m)、2019年マナスル(8163m)、2021年エベレスト(8848m)登頂。
愛用カメラ:Canon EOS R5
愛用レンズ:RF15-35mm F2.8 L IS USM、RF24-70mm F2.8 L IS USM、RF70-200mm F2.8 L IS USM

僕たちが生きているこの地球上にこの風景は間違いなく存在している

「パタゴニア、フィッツロイ山近辺にて撮影。高い山を登るために、国内の低酸素室でトレーニングしたり、冬の富士山を登ったりして訓練しています。あとは現地で山を実際に登りながら学んだことががたくさんあります」。

構図やドラマチックな露出など、そんなことを考えて撮影しているような環境ではない

マナスルを登るソロクライマー。
「今回の写真は、僕の作品の大テーマでもある”想像もできない風景”という観点でセレクトしました」。

大学卒業後、24歳で世界一周の旅に出たとき、せっかく旅に出るのだからカメラくらい持っていくかと思ったのが写真を撮るようになったきっかけと話す上田さん。その後、広告ビジュアル制作や、画像ストックサイトでも有名なアマナで広告写真のアシスタントを経て、フリーランスとなってからは再び世界中を旅しながら僻地や極地を追って撮影している。昨年5月には世界最高峰のエベレスト登頂に成功し、荒々しくも美しい光景を写真に収めた。
「もともと山登りはしていました。想像もできない風景を求めて色々な場所を旅した結果、僻地や極地に行き着いたという感じです。最近はヒマラヤの8000m峰を中心に撮影しています」。

アマ・ダブラム登山中に見たヒマラヤの満月。

今回セレクトしてもらった写真たちからは、生死を感じずにはいられない。
「僕自身、写真を撮るときに大切にしていることは、生きて帰ってくること。そして、ほとんど人が立ち入らないような過酷な場所を、自分の足で歩き正確に記録することが自分らしい写真だと思っています。見てもらった人には、”想像もできない未知の風景”がこの世界にはあふれていることが伝わるといいですね。知らないと想像できないことですし、写真を通じて想像することで心は豊かになっていくと思っています」。

マナスルのデスゾーン。

写真を撮るときのこだわりとは?
「すべての写真に言えることですが、構図のこだわりやなぜこの瞬間にシャッターを切ったかなど特に理由はありません。いいな、と感じた瞬間に体が反応して撮影をしている感じです。というのも、構図だったりドラマチックな露出だったり、そんなことを考えて撮影しているような環境ではないことが多いからです。伝えたいことも見る人に委ねたいという思いがあります。想像もできない風景を目の前にしたときに感じることは人それぞれなので。強いて言えば、僕たちが生きているこの地球上にこの風景は間違いなく存在しているんだよ、ということでしょうか」。

マナスル。

上田優紀 Instagram
上田優紀 Twitter

GENIC VOL.61 【地球を縦横無尽に旅する写真家たちが ダイナミックな世界を伝える】
Edit:Yoko Tadano

GENIC VOL.61

テーマは「伝わる写真」。
私たちは写真を見て、何かを感じたり受け取ったりします。撮り手が伝えたいと思ったことだけでなく、時には、撮り手が意図していないことに感情が揺さぶられることも。それは、撮る側と見る側の感性が交じり合って起きる化学反応。写真を通して行われる、静かなコミュニケーションです。

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