プロフィール
SAKAI DE JUN
フォトグラファー 1992年⽣まれ、⾹川県出⾝。多摩美術⼤学卒業。横浪修師事、2021年独⽴。
展示作品の一部とステートメント、メッセージ
どこか拍子抜けして思わず笑ってしまう。それが、エアギターなのかもしれません。
フィンランド北部の街・オウルでは、1996年から毎年エアギター世界大会が開催されています。
楽器を持たず、ステージを駆け回りながら演奏するその姿は一見“滑稽”に見えるかもしれません。
しかし大会の根底には、明確で力強い理念があります。
「MAKE AIR NOT WAR」
このスローガンのもと選手たち、そして街全体が「愛」と「平和」と「笑顔」に包まれてゆきます。
“戦争なんてくだらないことはやめて、音楽を楽しもう”それこそが大会のコンセプトとなっています。
私はオウルという街とエアギターの魅力にすっかり魅せられました。
近年、戦争のニュースがますます身近なものとなってしまいました。
戦争は決して繰り返してはならないです。
本展では第二次世界大戦中に使用されたコンバットカメラを中心に、軍用カメラのみを使用してエアギター世界大会を撮影しています。
かつて戦場を記録したカメラで、今度は笑顔と愛に満ちた平和の瞬間を記録する。悲しい過去を、幸せの祭典で上書きしたい。そんな願いを込めてシャッターを切りました。
戦争といえば小学校低学年の頃寝ていると、父が部屋に入ってきて夜中にテレビをつけ「テロだ」「テロ」と連呼して叩き起こされたことが記憶に残っています。
当時、テロの意味すら理解しておらずとんでもない飛行機の事故が起きたという認識でしかなかったのですが理解も追いつかぬままテレビでは中東の銃を持った兵士や空爆で焼かれていく街の映像を目にしました。
戦争といえば歴史の教科書で少し見ていたくらいでいまいちピンときていなかったのですが連日テレビから流れている映像を見て子供ながらナーバスになった記憶があります。2022年から始まったウクライナ侵攻。それがまた戦争について考えさせるきっかけにもなりました。
戦争が長引けば長引く程、どちらが悪いのか何のために戦っているのか、正解がわからなくなってしまいます。
どちらか一方を支持すると、もう一方が傷つくかもしれない。
募金をしたらそのお金が戦争の一部に使われてしまうかもしれない。
現地に足を運んで現実を目の当たりにしていないので真相はわからない。
かと言って、他人事では終わらせたくない。
複雑な気持ちでモヤモヤしていたところ、エアギターって平和だったな、オウルの街をまたみたいなと思い、いてもたってもいられず渡航し撮影をすることにしました。相変わらず、愛と平和と笑顔で溢れていたのでこのままずっと写真を撮り続けたいなと思いました。
武器を持って有無を言わさずに強制させられたら嫌でも戦地に向かうしかないのだと思います。悲しいけれどそれが現実なのだとも思うのですが戦争をしたくて、人を殺めたくて向かっている人はいないのではと信じたいです。
戦争の記録をすることが二度とないよう、平和な世界で上書きされていって欲しいと強く願っています。
年に一度しか開催されないのですが、世界大会が開催されるたびに渡航して写真を撮影し、微力ながらこの活動が世界に広まって何かの拍子でくだらない戦争を、立ち止まって考えさせられるきっかけになってくれたらと思います。
「MAKE AIR NOT WAR」を信じて。
── SAKAI DE JUN
SAKAI DE JUN 写真展「MAKE AIR NOT WAR」情報
開催日時
2025年12月16日(火)~12月21日(日) 11:00~20:00
入場料
無料
会場
8/CUBE
- 〒150-8510 東京都渋谷区渋谷 2-21-1 8階
- Google Map
行き方・アクセス
<電車>
JR線・京王井の頭線「渋谷駅」と2階連絡通路で直結
東京メトロ銀座線「渋谷駅」と1階で直結
東急東横線・田園都市線・東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」B5出口と直結