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BLEND IN/古屋呂敏のFocal Length Vol.14

古屋呂敏<連載コラム>第3月曜日更新

その瞬間を永遠にしたいと願いながら、シャッターを切る。
心の揺れるままに、心の色のままに。
自分だけに見えていたその一瞬の世界は、
写真に残すことでさらに愛しく想えるものになる。
だから僕は、きっと永遠に写真を撮り続ける。

───俳優、カメラマンとして活躍する古屋呂敏の「Focal Length」。
連載を通して、写真だけではなく、
人との距離感、 生きるスタンスなど
さまざまな「焦点距離」をお届けします。
【撮影&テキスト:古屋呂敏 撮影機材:Nikon Zf】

  • 作成日:

Focal Length
今回のテーマは「BLEND IN」。

溶け込む。
役者の仕事は、時間に置いていかれることがある。

なぜこのような表現をするかというと…。

一つの作品に入ると長いもので3ヶ月、短いもので1ヶ月。その期間は作品と向き合い、撮影のことだけを考える。

撮影スタジオに一日中篭ることもあれば、ロケで何箇所も移動し、ロケバスで睡眠をとることもある。
自分のシーンがない時間には、次の撮影シーンの台詞を覚えて準備をする。
日々その繰り返しを行うと、目の前のシーンだけに集中し、次第に曜日感覚が薄れて、時には「あれもう夜なのか」と不思議に思うこともある。

器用な役者さんは別だと思うが、僕は振り返るといつも撮影期間は流れるように去っていく印象。
そんな時に自分だけ時間に置いてきぼりにされた気がする。

知らない間に夏が秋になり、そしていつの間にか雪が降り始める。
だから撮影のないオフの日には、目的もなく人がたくさんいる所に行くことがある。

Zf + AI AF Nikkor 50mm f/1.4D( + マウントアダプター FTZ II)

カメラを持って通り過ぎる人を見て、その中に溶け込む。
知らない間に、蕎麦屋さんがカレー屋さんになっていたり、工事中だったビルがオープンしていたり。

Zf + AI AF Nikkor 50mm f/1.4D( + マウントアダプター FTZ II)

Zf + AI AF Nikkor 50mm f/1.4D( + マウントアダプター FTZ II)

僕なりの時間のチューニング。

Zf + AI AF Nikkor 50mm f/1.4D( + マウントアダプター FTZ II)

Zf + AI AF Nikkor 50mm f/1.4D( + マウントアダプター FTZ II)

小さなズレが少し元に戻る。

Zf + AI AF Nikkor 50mm f/1.4D( + マウントアダプター FTZ II)

たくさんの情報をインプットして、また次の作品に向けて準備をする。

Zf + AI AF Nikkor 50mm f/1.4D( + マウントアダプター FTZ II)

Zf + AI AF Nikkor 50mm f/1.4D( + マウントアダプター FTZ II)

置いていかないで。

もがく自分を誰かに伝えたくて、シャッターを切った。

プロフィール

古屋呂敏

俳優・フォトグラファー1990年、京都生まれ滋賀/ハワイ育ち。2016年より独学でカメラを始める。NikonZfを愛用。父はハワイ島出身の日系アメリカ人、母は日本人。MBS/TBS「恋をするなら二度目が上等」(2024年)などに出演。俳優のみならず、フォトグラファー、映像クリエイターROBIN FURUYAとしても活動。2022年には初の写真展「reflection(リフレクション)」、2023年9月には第2回写真展「LoveWind」を開催。

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