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風の漂う町 in 茅ヶ崎 安江憲人

住んでいるからこそ出会えた景色、撮り続けているからこそわかる昨日とはちょっと違う風景。いつも、いちばん近くにあるランドスケープを写真に収める4名に、愛する日常の眺めについて伺いました。
「Hometown Scenery 愛すべき日常の眺め」4人目は、写真家の安江憲人さんです。

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目次

プロフィール

安江憲人

写真家 1996年生まれ、岐阜県出身。幼少期から、写真を趣味としていた祖父の影響でカメラに触れるようになる。大学時代に初めて自身で一眼レフを購入、在学中にそのカメラを相棒に世界をまわり、その旅で出会った風景や人々を撮影。現在は茅ヶ崎へ移り住み、ここを拠点にフリーランスで写真活動を続けている。
愛用カメラ:PLAUBEL makina67、PENTAX 67

Hometown Scenery 愛すべき日常の眺め

風の漂う町 in 茅ヶ崎

「風の強い日の海面。水飛沫が夕日に照らされてとても綺麗ですが、実際に海に入ってみるとその水の力はとても強い。そんな美しさと強さを同時に感じられた景色だったので撮りました」。

サーファーならではの視点で海岸沿いの風景を切り取る

「まるで生き物のように動いて風で形を変える植物。海岸沿いの植物は風の影響を直接受け、日に日にその形や姿を変えています。明日には風によって別の形になっているのだろうと思いながら、写真を撮りました」。

「春の風が強い日、茅ヶ崎の海沿いのサイクリングロードからの景色。強い海風にさらされ形を変えながらも、静かに佇む木の姿が印象的でした」。

「学生時代からサーフィンをやっていたので、大学卒業後に神奈川に引っ越すことになった時、毎日海に入れる環境を求めて茅ヶ崎に住むことを決めました。以来、砂浜で座って夕日を見ている人や錆びた自転車など、海岸沿いから見える風景が日常の眺めとなっています。普段から様々な茅ヶ崎の写真を撮っていますが、ここ最近は『風の漂う町』というテーマでの撮影も始めています。茅ヶ崎を含む湘南の海岸線沿いは、毎年強い南風に晒される地域で、生活を守るために砂防林も作られているほど。その海岸沿いの植物や海、雲、そして人の営みから風を認識し、それらが作り出す茅ヶ崎の風景を記録しようという試みです。これはほぼ毎日サーフィンをしながら、常に波や風の力を体感している自分ならではの視点だと思っています」。

茅ヶ崎のゆったりとした時間にはフィルムカメラが似合う

「梅雨の時期に撮った夕日です。1日中強い雨が降った日の夕方、いつも行く海岸で出会った風景です。ちょうど雨が止んで、夕日が雲の色を真っ赤に染めていました。見慣れたいつもの景色が別世界のようで、とても心に残っています」。

「そんな茅ヶ崎の風景は、なるべくフィルムカメラで撮るようにしています。撮るのにも、現像して写真が形になるまでも時間がかかる、そのスピード感が茅ヶ崎に流れるゆったりとした時間と合っている気がするからです。自然の力によっても、そして人の営みによっても刻々と変化し続ける海岸の景色を、これからも撮り続けたいと思っています。風や波など自然の力によっても、人の営みによっても変化していくので、その変わりゆく海岸の景色を見ていくのが楽しみです。また、海から見た景色も今後撮りたいもののひとつ。サーファーだからこそ見える海上からの景色は視界を遮るものが何も無く、本当に綺麗なんです」。

「夕方の茅ヶ崎。暑さが和らぐ夕方になると地元の人は犬の散歩に海に行きます。サーファーや海と並び、茅ヶ崎といえば頭に浮かぶ日常の眺めといえます」。

GENIC vol.72【Hometown Scenery 愛すべき日常の眺め】
Edit:Satomi Maeda

GENIC vol.72

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