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人の営みを感じる風景 in 大分 藤島靖佳

住んでいるからこそ出会えた景色、撮り続けているからこそわかる昨日とはちょっと違う風景。いつも、いちばん近くにあるランドスケープを写真に収める4名に、愛する日常の眺めについて伺いました。
「Hometown Scenery 愛すべき日常の眺め」3人目は、写真家・フォトグラファーの藤島靖佳さんです。

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目次

プロフィール

藤島靖佳

写真家・フォトグラファー 1989年生まれ、大分県出身。家族の影響で幼い頃からカメラや写真に興味を持ち、20歳で自分用の一眼レフカメラを手に入れたのをきっかけに写真に没頭。会社員の傍ら撮影を楽しんでいたが、もっと多くの時間を写真に費やしたいという思いから2020年に独立し、写真家・フォトグラファーとして地元大分を拠点に活動している。ナチュラルな雰囲気のポートレートや身近な風景、旅先でのスナップを主に撮影。自治体・地域PRや企業PRの撮影をはじめ、旅記事の執筆や写真展の開催など幅広く活動を行っている。
Instagram @towahetoyomimasu で大分県大分市戸次の日常を発信中。
愛用カメラ:FUJIFILM GFX50S II、FUJIFILM X-T5、Nikon FM10
愛用レンズ:XF35mmF1.4 R、MINOLTA MC ROKKOR-PF 58mm F1.4、AI Nikkor 50mm f/1.4S

Hometown Scenery 愛すべき日常の眺め

人の営みを感じる風景 in 大分

「いつも買い物に通っている、戸次本町にある量り売り屋『からはな百貨店』。私にとっては見慣れた眺めで、まさに日常を表す写真」。

その土地の風土や暮らしが見えるものを撮りたい

「春の青々と広がる麦畑の風景は、戸次に移り住みたいと思ったきっかけになった眺めです。これは4月に撮影したものですが、5月にはこれが黄金色に変わり、季節の移り変わりを感じることのできる場所です」。

「歴史と自然、文化と日常が混在している大分市の戸次という町に惹かれ、去年1年間暮らしていました。現在は生活環境の変化により少し離れた場所に住んでいますが、車で20分程度なので、今でもよく訪れる場所です。私が思い浮かべる日常の眺めは、田んぼや出しっぱなしの箒、飲んだ後の空き瓶など、人の営みを感じる風景。大自然そのものというよりは、当たり前にあるようで、人の手が加えられている風景に目がいくので、写真でもその土地の風土や暮らしが見えるものを撮りたいと思っています。古い街並みも自然も残っており、暮らす人々が温かい戸次は、私が思い描く理想の日常が存在する町。その空気感や湿度、流れる時間のスピード、匂いまで伝わるような写真を撮影したいので、何より瞬発力を大切に、そして編集時には色味やコントラストにもこだわっています」。

カメラを持って宝探しをしている気持ち

「こちらも戸次本町にて、子育てをする燕。この町は春になると燕をよく見ます。ここに住んで初めて気がついた春を感じる眺めであり、瞬間を撮れた1枚です」。

「同じ道を撮るにしても、その先に入道雲が見えたり、早起きしたら影が長く見えたりと、季節やイベントの有無によっても眺めが違うので、時の流れを写すことができるのも楽しみ。人物や電柱、田んぼなど人の営みを感じるものは積極的に画角に入れるようにしていて、見るたびに違う風景が撮れるのも日常写真ならではだと感じます。新鮮さが失われると、こういったちょっとした変化に気づかず見過ごしてしまうこともありますが、カメラを持って、宝探しをする気持ちで撮影していると見過ごさずに済むので、最近はそういう時間を大切にするようにしています」。

「道端に咲く花を見つけ、いつもの風景が少し鮮やかな印象に。さりげなく咲いている花が、見慣れた風景を小さく変えてくれた気がして、思わずシャッターを切ったのを覚えています」。

「道端のお地蔵さんを見たとき、これを作った人と帽子やスタイを着せた人は違うかもしれないと思いました。そんなさりげない風景の中に、時を超えた人の優しさや温かさを感じ、心がときめきました」。

GENIC vol.72【Hometown Scenery 愛すべき日常の眺め】
Edit:Satomi Maeda

GENIC vol.72

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