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【#想いを運ぶ写真術:2】saki

自分なりの「作風」を持って、感性豊かに表現をするクリエイターたち。その作品からは、多くのものが伝わってきます。オリジナルの手法を持つ6人に、その表現に行きついた理由やテクニックを伺いました。
2人目は、オールドレンズで人間味のある写真を撮る、sakiさんです。

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saki

宮崎県出身。カメラ歴18年。
愛用カメラ:OLYMPUS PEN-F、OLYMPUS PEN EES、Canon EOS 6D
愛用レンズ:F.ZUIKO Auto-S 38mm F1.8、G.ZUIKO Auto-S 50mm F1.4、G.ZUIKO Auto-W 35mm F2.8

「オールドレンズ」で撮る写真は不完全だからこそ人間味がある

「冬の森の中で撮影。躍動感が欲しくて何度も跳んでもらいました。フレアを出したいときは、光の入る角度を意識します。レンズによって、フレアの色や形が異なるのも面白いです。カメラはCanon EOS 6D、レンズはG.ZUIKO Auto-S 50mm F1.4を使用しています」。

幼いころから写真を撮るのが好きだったというsakiさん。
「高校生くらいのころにトイカメラブームがあり、初めて自分でHOLGAを買いました。しっかり撮るようになったのは、星が撮りたくてフルサイズ一眼を使うようになってから。その後フィルムカメラで主に撮るようになりましたが、傍らに空気のように当たり前にカメラがあることはずっと変わりません。私の写真には特定のスタイルがあるわけではないと思っています。見たもの、感じたことをシェアしているくらいの感覚で、何かを強く伝えたいと思って撮ることはあまりありません。でも、私が誰かの写真を見たときそう感じるように、見る側は自由に何かを感じたり受け取ったりするもので、それが面白いなぁと思います。見てくれた人に何かが伝わっているのなら、それはその人の感性のおかげだし、私自身をほんの少し知ってもらえた気がして温かい気持ちになります。私にとって写真は“記憶と記録の間”。人でも物でも風景でも、何かを撮ることで、たぶん私自身のことを撮っているんだと思います」。

Q1 オールドレンズで撮影をするようになったのはどうしてですか?

「独特のボケ感やフレアに憧れてオールドレンズを使いはじめました。もう随分前ですが、初めて虹色のフレアが出たときは、ファインダーを覗きながらドキドキしたことを覚えています。今では古いフィルムカメラを使うことが多いので必然的にオールドレンズでの撮影になりますが、オールドレンズをデジタルカメラに着けることもあります。言葉で表現するのは難しいけれど、不完全で、だけどそこが人間味があるような感じで気に入っているのだと思います」。

「植物が好きなので、歩いていて花があればいつも撮ってしまいます。ちいさな紋黄蝶が花にとまるのをしばらくじっと待っていました。カメラはOLYMPUS PEN F、レンズはF.ZUIKO Auto-S 38mm F1.8を使用しています」。

Q2 オールドレンズの選び方、購入の際に気をつけるべきことを教えてください。

「レンズによってボケ感や色味など個性が全く違うので、購入前に作例を確認しておくと、好みのものが見つけやすいかもしれません。比較的安価なものもたくさんあるので、まずはそういうものから始めてみるのもいいと思います(ただし、安価だと軽く考えて始めると深い沼があるので注意です!)。今はマウントアダプターもいろいろあるため選択の幅は広がっていますが、一番気をつけなくてはいけないのは、使用するカメラに取り付けることができるか確認すること。また、古さゆえカビや曇りがあるものや、リングが重く回しにくいものもあるので、できれば実際に実物を確認してから購入を」。

何かが伝わっているのなら、それは見てくれた人の感性のおかげ

「光がとても綺麗な日で、葉に透けた指の影が撮りたくて。玉ボケが美しい背景になるようにと考えて撮影しました。人の手が好きなのでよく撮ります。カメラはOLYMPUS PEN F、レンズはG.ZUIKO Auto-S 50mm F1.4を使用しています」。

Q3 写真を撮るときに大切にしていることを教えてください。

「露出とピントはほとんど気にしません。少しくらいずれてる方が(思い切りずれていても)、それはそれで面白い。現像から戻って来たときに、あまりにも露出オーバーな写真やどこにピントが合っているかわからないような写真を見て笑えるのも楽しいんです。そういう想定外の写真の方がなぜかお気に入りになったり。それくらい気楽にシャッターを切るのが、今の自分には合っている気がします。楽しいがいちばん」。

「春の日に桜と友人を。やわらかい光に包まれているようにしたくて、見上げるように撮った記憶があります。カメラはOLYMPUS PEN F、レンズはF.ZUIKO Auto-S 38mm F1.8を使用しています」。

オールドレンズの独特のボケ感やフレアに憧れて

Q4 二台のハーフカメラはどのように使いわけをしていますか?

「OLYMPUS PEN Fはどちらかというときちんと撮りたいものを、OLYMPUS PEN EESはかなりゆるくスナップ感覚で撮ることが多く、感光させたりするのはEESです。多重露光する場合はデジタルカメラを使用することが多いです。ある程度完成形がみえるし、あとからでも重ねられるのが良いところだと思います」。

「ハーフカメラで撮ったものは2コマずつデータにしてもらうので、並んだときのことを考えて撮ることもあります。私の写真に逆光のものが多いのは、光のあたった輪郭とか、フレアが好きなせいかもしれません。カメラはOLYMPUS PEN F、レンズはF.ZUIKO Auto-S 38mm F1.8を使用しています」。

「思ったとおりに感光できた一枚。おかげで見慣れた景色も幻想的に感じます。カメラが古いため勝手に光漏れしていることもありますが、ほとんどはわざと裏蓋を開けて感光させています。カメラはOLYMPUS PEN EESを使用」。

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GENIC vol.61 【あの人たちの感性から学ぶ 想いを運ぶ写真術】
Edit:Izumi Hashimoto

GENIC vol.61

テーマは「伝わる写真」。
私たちは写真を見て、何かを感じたり受け取ったりします。撮り手が伝えたいと思ったことだけでなく、時には、撮り手が意図していないことに感情が揺さぶられることも。それは、撮る側と見る側の感性が交じり合って起きる化学反応。写真を通して行われる、静かなコミュニケーションです。

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