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世界に伝えたい美しき古都の情景 山田悠人(京都)|連載「写真家が選んだ、最高の旅先」第10回

どんな思考回路で「最高の旅先」を選ぶのか。人それぞれだからこそおもしろい。15名が選んだBest Destinationには、熱き想いとたくさんのストーリーが詰まっています。誰かの旅をなぞりながら、「いつか自分の目で」とウィッシュリストに書き加える。そんな楽しみ方をしてみてください。全15回の連載、第10回はベルリンに住みながら日本の美しさを世界に発信し続ける、写真家の山田悠人さんが届ける京都です。

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目次

プロフィール

山田悠人

写真家 東京都出身、ベルリン在住。2013年にドイツの首都ベルリンに移住。2018年にドイツを中心に世界中の廃墟を撮影した写真集「Silent World」を出版。2019年より日本の美しさを写真を通して世界に伝えたいという思いから日本の撮影を始め、2022年に日本全国を撮影した写真集「JAPANISM」を出版。Adobe Lightroomのアンバサダーに選ばれ、国内外のクライアントワークも行う。
愛用カメラ:Leica SL2、Sony α7R IV、Canon 5D Mark IV
愛用レンズ:24-70mm f2.8,、70-200mm f2.8、50mm f1.4

世界に伝えたい美しき古都の情景

神々しく美しい情景に感動するとともに、それを撮れることに感謝の気持ちが湧いてくる

「京都でしか見ることのできない景色です。ある夜、カメラ片手に歩いていると後ろから下駄の音が聞こえ、次の瞬間、美しい舞妓さんが通り過ぎたので、すかさず撮らせてもらいました。雨に濡れた石畳と美しい着物のコントラストを捉えることができ、嬉しかったのを覚えています」。

「桜と日本猿を撮影しようと、嵐山モンキーパークを訪問。肝心の猿が寝そべってばかりで木に登る気配がなかったので、そろそろ帰ろうかと思った直後に猿の喧嘩が勃発。その流れでこのシーンに出会えました」。

「山や川など自然の風景も京都の魅力。伏見の川辺の桜と十石舟もそんな魅力を表現した1枚。光が差し込んだ瞬間のコントラストを切り取っています」。

「漁師町、伊根を冬に訪れた際に桜の巨木を見つけ、この木が満開になったら素晴らしい写真が撮れると思い、春に再訪。150年の歴史を持つ見事な桜が、夕暮れの漁師町にライトアップされており、ユニークで美しい写真に仕上がりました」。

被写体を前にした高揚感は作品にも現れる

「嵐山にて、京都の自然と伝統が織りなす美しい場面を切り取りました。上部には紅葉の木々をフレーム的に使い、その下には保津川下りの船を配置。構図を決めてからこの1枚を撮るタイミングまで、何度も撮影したのを覚えています」。

「見たこともないほど大きな、岩戸落葉神社の巨木に惹かれて撮影。ワンポイントで着物の女性を入れることで、圧倒的なイチョウの木の大きさと、自然が作り出す見事な色合いを表現しています」。

「何度も通うほど好きな伏見稲荷大社。早朝に宮司さんが山から降りてくると聞き、時間もわからないまま訪ね、奇跡的に撮れたカット。真っ赤な鳥居と宮司さんの白い装束、雨のため持っていた白の和傘、とコントラストが効いています」。

「奥嵯峨の愛宕念仏寺にて。バックグラウンドの緑を含め、苔むすお地蔵様たちがドラマチックな印象に」。

「伏見稲荷大社の山頂に向かう早朝、中腹の開けた場所に着くと、まるで自分を招待しているかのように太陽の光が差し込みました。持つのが夢だったライカのカメラで、この神秘的な景色を撮影できることに、自然と感謝の念が湧いたことを覚えています」。

都市とは違った古き良き日本に魅せられ、帰国の度に京都へ

「初の京都はアメリカ留学から帰国したとき。海外では日本人と分かると京都の話題がよく出るのですが、当時は行ったことがなく話が続かなかったため、帰国後にまずは金閣寺や伏見稲荷大社などいわゆる観光名所を訪れました。都市とは違う落ち着いた雰囲気、歴史ある神社仏閣や日本庭園など、想像以上に古の時代から続く文化や風習、街並みが残っていることに感動し、以来ベルリンから帰国するたびに訪れています。第二次対戦中にアメリカ軍による爆撃を受けなかったこともあって、京都にはこうした古き良き日本を感じさせる建物や文化遺産などがたくさん残されています。おかげで通りを歩いているだけで昔の人々の生活に思いを寄せられる場面や情景に出会え、カメラ片手に街を散策するだけでも楽しいです。旅先では作品として、心を動かされた『絶景』を撮影しています。被写体を前にしたときの高揚感は作品にも現れ、そういった魂の入った作品には自分らしい世界観が生まれると思っています。例えば観光客が来る前の伏見稲荷大社の空気感。早朝、突然光が差し目の前の風景を照らすと、神々しく美しい景色が広がり、感動すると同時にそれを撮影できることに感謝の気持ちが湧くほどです。作品を見る人にも、自分がその瞬間に感じたときめきを伝えられたらと思っています」。

GENIC vol.77【Best Destination 写真家が選んだ、最高の旅先】
Edit:Satomi Maeda

GENIC vol.77

2026年1月号のテーマは「写真家が選んだ、最高の旅先」

どんな旅をしたらいい?
その答えは、As you like. お好きなように、自分らしく。ルートを持たない余白たっぷりの旅でも。行先を詰め込んだ時間割びっしりな旅でも。
だって、旅は表現だから。
さて、旅人でもある写真家たちが選んだ「最高の旅先」はどこでしょうか?何かがあなたの心を撫でたなら、そこは次の目的地かもしれません。
永久保存版、GENICらしい、新しい旅のガイドブックの登場です。

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