menu

愛しいもの・こと in 白馬 栗田萌瑛

住んでいるからこそ出会えた景色、撮り続けているからこそわかる昨日とはちょっと違う風景。いつも、いちばん近くにあるランドスケープを写真に収める4名に、愛する日常の眺めについて伺いました。
「Hometown Scenery 愛すべき日常の眺め」1人目は、フォトグラファーの栗田萌瑛さんです。

  • 作成日:
  • 更新日:

ADVERTISING

目次

プロフィール

栗田萌瑛

フォトグラファー 1994年生まれ、東京都出身。子供の頃に長野へと引っ越す。
2016年、武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科陶磁専攻を卒業。大学在学中にカメラと出会い、友人が作る作品の魅力や、その人柄を伝える術として写真に惹かれるように。卒業後は写真家の泊昭雄氏のもとに師事。翌年に独立し、現在は広告や雑誌などの撮影で活躍中。
愛用カメラ:日常の撮影で使用しているのはiPhone 12 mini、RICOH GR II

Hometown Scenery 愛すべき日常の眺め

愛しいもの・こと in 白馬

「去年の秋、隣の村の羊の牧場にお邪魔した時の1枚。シープドッグの役割ができるのかな?と期待して連れて行った愛犬の玄米は、興味津々で近づいてくる羊たちに追われる始末。性格がよく表れたシーンでした」。

撮る側が楽しんでいないと出会えない瞬間がある

「たぶん、カワラハハコという花だと思うのですが、犬の散歩に行く河原でよく見かける花。季節が変わりゆくと植物も次々変わっていくけれど、これだけは咲いている期間が長いように思います」。

「この1年半ほど、6歳から暮らした白馬で過ごす時間をできるだけ長く作っています。山が近くにあり、それを楽しめる人が多く住むこの地で暮らし、遊ぶことを優先してきました。そんな日常の中では、写真を撮ることを目的としないようにしているので、時には撮りたかったけど撮れなかったシーンもあります。でも逆に、遊びの中できちんと撮る側も楽しんでいるからこそ出会える瞬間もたくさんあります。だからこそシャッターを切れた写真は、その時間を思い出しながら楽しく現像します。そこに写っている日常の風景は、クライミング中のパートナーと愛犬の姿や、散歩中に見かける草花など、どれも白馬での愛しいものや、ことばかり。これが私のいつもの眺めです」。

シャッターを切りたくなるのは、好きなものが綺麗な光を浴びた時

「近所の湖は、水がとても冷たいので、毎年一番暑い時期に1度だけ泳ぎに行きます。初めは泳ぐのが嫌で困り顔で水に入っていた玄米だったけれど、2023年の夏にはついに少し楽しそうに。5歳にして少しだけ泳ぐ気持ちよさを知ったよう」。

「日常に限らず、仕事でも撮影する時は、常に好きな部分を見つけて撮るようにしているのですが、その好きな部分が綺麗な光を浴びた時、思わずシャッターを切りたくなります。ただ白馬では山を始め、天気が急変しがちな場所に行くことが多いため、もう手に入れることができないレンズのような、大切すぎる機材は持っていきません。転んだ時にカメラを守って怪我をしたり、重すぎて歩けなくては楽しめないので、できるだけ気軽に取り出して撮れる機材が日常の風景撮影での定番。そのため、もっとこんなレンズがあれば…と思うこともよくありますが、そんな時には、そっと心に景色を収めるようにしています」。

「ハーブをたくさん育てている知人宅の納屋をこっそり覗いて見つけた、陰干しされていたハーブたち。この写真を見ると、納屋の土っぽい匂いと、乾いていくハーブの香りを思い出します」。

「冬は山を滑ってばかりいます。白馬はコンディション次第で滑りに行く斜面を選べる、贅沢な場所。ここはいつも滑りに行く裏山で、小学校からの友人と滑りに行った日の写真です」。

GENIC vol.72【Hometown Scenery 愛すべき日常の眺め】
Edit:Satomi Maeda

GENIC vol.72

9月6日発売、GENIC10月号の特集は「Landscapes 私の眺め」。
「風景」を広義に捉えた、ランドスケープ号。自然がつくり出した美しい景色、心をつかまれる地元の情景、都会の景観、いつも視界の中にある暮らしの場面まで。大きな風景も、小さな景色も。すべて「私の眺め」です。

Amazon:GENIC|私の眺め vol.72
GENIC公式オンラインショップ

おすすめ記事

【GENIC|It’s my life. 暮らしの写真 vol.74 2025年4月号】特集詳細&編集長 藤井利佳コメント

少しの発見、新しい視覚。 Yuki Kamishima

次の記事